訪問看護ステーションに勤務し、徐々に慣れてくると、現場でより良い支援をしていく為にスキルアップをしていきたいと考える方も多いのではないでしょうか?
国家資格、民間資格と多種多様な資格がある中、実際に取得した資格、現場の経験からこの資格があると良いと感じた、訪問看護師がスキルアップするために取る資格について解説していきます!
目次
訪問看護師がスキルアップするために取る資格とは
数ある資格の中で、筆者が実際に取得して現場で活用できた資格、この資格があったら活用できると考えた資格は以下です。
①介護支援専門員(ケアマネジャー)
②終末期ケア専門士
③おむつフィッター
④特定行為研修
それぞれについて解説していきます!
介護支援専門員(ケアマネジャー)
いわゆるケアマネジャーの資格になります。
訪問看護師として働く中で、必ずと言っていいほど関わる職種であるケアマネジャー。介護保険制度の専門家です。正式名称は介護支援専門員となります。
要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者とされています。
また、要介護者や要支援者の人が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けた者とされています。
ケアマネジャーの試験合格率は以下になります。
職種別ですと介護福祉士が一番受講者数が多く、次いで看護師、准看護師となっています。
合格率はそこまで高くないですね。試験に合格まで至らなくとも、受験までに学んだ内容だけでも現場で活用できると考えます。
訪問看護師として介護保険の内容を深く知ることは有用であり、利用者さんやその家族から介護保険の事を質問される場面も多いです。その際に「ケアマネジャーへ聞いてみてください」と対応するよりも、その場である程度返答ができた方が信頼関係も深まり、訪問看護の支援が円滑に進むと考えます。筆者も資格を取得していたことで、ケアマネジャーと連携の際に、話が円滑に進む等を実感しました。
申し込み方法や受験方法は各自治体にお問い合わせください。参考:東京都福祉保健財団HP
終末期ケア専門士
一般社団法人日本終末期ケア協会が認定している終末期ケア専門士。2019年に始まった、比較的新しい資格制度となります。
臨床ケアにおけるスペシャリストを目指します。
エビデンスに基づいたケアの実践をおこない、患者・利用者様の一番近くで「支える人」を育成します。終末期ケアについて基礎から学ぶことができ、エビデンスがまだ十分に確立されていない分野の現状も知ることができます。必要なケアには個人差があり、必ずしもエビデンスが有効な手段であるとは限りません。しかし、エビデンスを知ったうえでケアの引き出しを増やすことは個別性のあるケアの実践につながります。
また、終末期ケアでは、答えが明確に出せない問題も多く、解決方法を見出すことが難しいケースに遭遇します。当協会では、倫理観を育成するプログラムを組み、「お互いの違いを認める」・「ありのままを受け入れる」・「ケアをする自分自身のことも認める」感性を養っていきたいと考えます。
訪問看護の現場では終末期にある利用者さんへの支援は多く、お見取りも行います。
終末期ケア専門士では、基礎的な知識からエンゼルケアの応用など幅広く学べる一方、ココリンクというアプリを使用し、全国の終末期ケア専門士と繋がれます。また、アプリから常に動画コンテンツを見ることができ、隙間時間に学びを深めることも可能です。
筆者は資格取得に際して、正しいエンゼルケアの方法を学び直すことができ、現場でも活用しています。
資格には上級資格もあり、学びをステップアップしていけます。
試験は年1回で、記事作成時点では第3回目終末期ケア専門士試験の受験希望者を募集しています。
おむつフィッター
株式会社はいせつ総合研究所 排泄用具の情報館むつき庵が認定している資格制度であるおむつフィッター1級〜3級。
排泄に何らかの支障が生じたとき、適切な提案や情報があればご本人や介護者はより快適な生活を送ることができます。しかし現状はどこへ行き、誰に相談すればよいかわからないのではないでしょうか・・・。
おむつフィッターとは排泄の困りごとに対して、おむつを含む排泄用具はもとより、医療や住環境、食事など幅広い視点からアドバイスできる人です。
むつき庵が実施する「おむつフィッター研修」を受講して、あなたも排泄ケアのスペシャリストになりませんか。
さまざまな職種の方がたとの出会いの機会にもなります。
QOL(クオリティオブライフ)に直結する排泄ケア。在宅の現場では、訪問看護師が利用者さんやご家族へ指導したり、連携している施設職員から助言を求められたりすることは多いです。
病棟時代や、今までの経験からなんとなくおむつ交換をやってきた方も少なくないのではないでしょうか。筆者はそうでした。おむつの種類は日々進化しており、正しい知識を得ることで、訪問看護の質の向上に繋がります。
ご興味ある方はこちらの記事も参考になります。
特定行為研修
看護師の専門性を発揮し、少子高齢化における国民のニーズに積極的に答えていくため、2014年の保健師助産師看護師法の改正により特定行為に係る看護師の研修制度が創設されました。
特定行為研修を修了した看護師は、俗に特定看護師とも言われています。
特定行為研修は、看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修であって、特定行為区分ごとに特定行為研修の基準に適合するものであること。
領域別パッケージの詳細は以下になります。
領域別パッケージの在宅領域は特に訪問看護の現場で活用できるのではないでしょうか?
令和4年度の診療報酬改定で専門管理加算が創設されました。自社に特定行為研修を履修した看護師が在籍することで、経営面でも増収となる可能性が高いです。
詳しくはこちらをご参照ください。
まとめ
今回は訪問看護師がスキルアップのために取る資格とはについて解説しました。
①介護保険制度を深く知るためにケアマネジャーの資格取得は有用
②正解が見つかりづらい終末期ケアに対して、終末期ケア専門士の資格取得は学びが深い
③おむつフィッターの資格取得で、排泄ケアを深め、利用者さんのQOL向上に貢献できる
④加算も新設された特定行為研修は、この先も求められていく可能性が高い
いかがでしたでしょうか?資格は取得することが目的とならないよう注意が必要です。
何のために取得していくのか?取得してどうしていきたいのか?そんなことを意識していくことが大切であると考えます。
ビジケアでは多種多様な経験、資格取得者が会員となり、交流の場があります。資格取得を思いついたらまずは実際に資格を取得している方々にお話を聞いてみるのも良いのではないでしょうか?
訪問看護に慣れてきたのでスキルアップをしたいのですが、資格が色々あってどれを学べば良いのか迷ってしまいます。