訪問看護におけるネガティブな利用者さんの対応ポイントを紹介します!

訪問看護では、「どうせ良くならない」「何をしても無駄」「生きていても仕方ない」など、ネガティブな言葉を繰り返す利用者さんに出会うことがあります。

病気や痛み、不安、生活環境の変化などが重なり、悲観的になるのは自然なことですが、看護師としてどのように対応すべきか悩む場面も少なくありません。

本記事では、訪問看護におけるネガティブな利用者さんへの関わり方や、信頼関係を保ちながら気持ちを少しずつ前向きに導くためのコミュニケーションポイントを丁寧に解説します。

訪問看護でネガティブな利用者さんが多い理由とは?

訪問看護では高齢者や慢性疾患の患者さんが多いため、身体的・社会的・心理的な要因からネガティブ思考に陥りやすくなります。

1.身体的な痛みや不調が続いている

慢性的な痛みや体調不良は、気力を奪い、悲観的な感情を強めます。

2.孤独感や社会的なつながりの減少

高齢者や独居の利用者さんは、話し相手が少なく孤独感が強くなるため、ネガティブな発言が増えます。

3.生活の変化や喪失体験が多い

病気、死別、引っ越し、役割の喪失など、生活の変化は大きなストレスとなり、悲観的になる要因になります。

4.自尊心の低下や不安の増大

「迷惑をかけている」「できないことが増えた」という感覚から自己肯定感が低下し、ネガティブな発言につながります。

まずは、ネガティブな感情の背景を理解することが、適切な対応の第一歩です。

 

ネガティブな利用者さんへの対応ポイント

1.ネガティブな感情を否定せず、まず“受け止める”

「そんなこと言わないでください」「もっと前向きになりましょう」は逆効果です。

利用者さんは、自分の気持ちを否定されると余計に悲観的になってしまいます。

まずは、
「つらいお気持ちなんですね」
「そう感じてしまうのも無理はないですよ」
と、感情を受け止める姿勢が大切です。

受け止めてから初めて、“次のステップ”に進めます。

 

2.小さな変化を見つけてポジティブな面に気づいてもらう

ネガティブな方は、小さな改善や成功を見落としがちです。

看護師が積極的にポジティブな変化を伝えることで、気づきを促すことができます。

例:
「昨日よりも足のむくみが少し良いですね」
「今日は表情がいつもより明るいですよ」
「この前より立ち上がりがスムーズでしたね」

本人の努力を肯定し、達成感を感じてもらうのがポイントです。

 

3.無理に励まさず、“寄り添いながら”話を聴く

励ましすぎると「分かっていない」と捉えられ、距離ができることがあります。

利用者さんのペースで感情を吐き出してもらうことが、結果的に前向きな気持ちにつながります。

沈黙を恐れず、落ち着いて寄り添う姿勢が信頼感を高めます。

 

4.具体的な選択肢を提示し、自分で選んでもらう

ネガティブな人は、選択肢がないと感じていることが多いです。

そこで、
「今日はストレッチと歩行練習、どちらからやってみましょうか?」

と具体的な選択肢を示すことで、自己決定の感覚が戻り、自信を取り戻しやすくなります。

 

5.日常のルーティンを一緒に作り、安心につなげる

不安の強い方には、“決まった流れ”が安心感を生みます。


・起床後の体操
・服薬のタイミング
・訪問スケジュールの固定化

など、日常の流れが整うことで、気持ちが安定しやすくなります。

6.家族やケアマネと連携して環境面から支える

ネガティブ発言が多い背景には、

・介護負担
・経済的不安
・家族関係のストレス

など、環境面の問題が隠れていることがあります。

必要に応じて、家族やケアマネと情報共有し、環境調整を行うことが重要です。

 

7.医師との連携を行い、うつ症状の可能性も検討

ネガティブ思考が強く、


・食欲低下
・不眠
・興味・意欲の低下
・涙もろい

などの症状が見られる場合は、うつ状態の可能性があります。

必要に応じて主治医へ報告し、適切な評価や治療につなぐことが必要です。

ネガティブな利用者さんに言ってはいけないNG対応

「気にしないで」「もっと頑張って」

軽く励ますつもりでも、相手の気持ちを否定してしまうことがあります。

「そんなこと言ってたらダメですよ」

否定は逆効果で、さらに悲観的になる原因になります。

「他の人はもっと大変ですよ」

比較は不満や怒りにつながりやすいNG対応です。

「考え方を変えたらいいのに」

価値観の押しつけは、信頼関係を壊す原因になります。

 

ネガティブ利用者さんと向き合うための看護師のセルフケア

ネガティブな発言を受け続けると、看護師自身が疲れてしまうことがあります。

そのためには、

・1人で抱え込まない
・スタッフと共有する
・吐き出す場所を作る
・境界線を引く

ことが大切です。

「利用者さんの感情は利用者さんのもので、看護師の責任ではない」

と意識することで、心の負担を軽減できます。

 

まとめ|ネガティブでも“受け止める・寄り添う”が基本

ネガティブな利用者さんへの対応は、テクニックだけでなく“姿勢”が大切です。

まず感情を受け止め、寄り添い、小さな変化を一緒に見つけていくことで、少しずつ前向きな気持ちを取り戻すことができます。

対応のポイントまとめ

・否定せず気持ちを受け止める
・小さな改善を一緒に見つける
・無理に励まさない
・選択肢を示して主体性を引き出す
・ルーティン作りで安心感を提供
・家族・チームと連携
・必要時は医師へ相談

訪問看護は“心のケア”も重要な役割です。

丁寧なコミュニケーションを通じて、ネガティブな感情に寄り添いながら、利用者さんの生活を支えていきましょう。

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