訪問看護における拒否がある利用者さんの対応のポイントを紹介します!

「清潔ケアをさせてくれない。」
「丁寧に説明しても、反論されてしまう。」
「帰ってくれと言われてしまう。」

訪問看護師は、利用者さんの望ましい生活が送れるように専門的な知識と技術で支援を進めていきますが、ケアをさせてくれない、話をしてくれない、提案を聞いてくれないなどの拒否がある利用者さんの対応で困った経験はありませんか?

実は、訪問看護師の対応を少し工夫することで、拒否的な態度を軟化させることができることがあります。

そこで今回は、訪問看護における拒否がある利用者さんの対応のポイントについて紹介します。

 

 

拒否がある利用者さんとは?

 

拒否がある利用者さんには、以下のような特徴が挙げられます。

 

拒否がある利用者さんの特徴
  • 看護師との会話が弾まない
  • 不愛想
  • 利用者さん自身の考えや意見などの本心を語らない。

 

つまり、拒否がある利用者さんとは「他人と親密になることが苦手である」と解釈できます。

そのため、上記の特徴に配慮したコミュニケーションを行うことで拒否的な態度を軟化させられると考えます。

 

拒否がある利用者さんの対応のポイント

拒否がある利用者さんの対応のポイントは、以下の3つになります。

 

ポイント
  1. 親しく会話できるようになる。
  2. 要望は、アイメッセージで伝える。
  3. 提案は、自由意志を尊重する。

 

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

 

親しく会話できるようになる

 

訪問看護の仕事では、週に1~2回の頻度で利用者さんのケアに入ることが多いため、毎回の訪問時に看護ケアや相談にのったり、アドバイスをするなど必要と考えられる支援を提供していきます。

しかし、拒否がある利用者さんの場合は、他人と親密になることが苦手、つまり、他人に意見に耳を傾けることも苦手になるので、看護師の支援を受け取ってくれません。

そこで、第1段階として利用者さんと親しくなることから始めると良いと思います。

親しい関係とは、お互いのことを良く知っている関係になるため、雑談を通して利用者さんの感情や考えを傾聴してみましょう。

この雑談では、利用者さんが話しやすい雰囲気を作り出すために、看護師から自己開示を積極的に行うことをおススメします。

傾聴や雑談を行う際のポイントについては、以下の記事を参照してみてください!

 

要望は、アイメッセージで伝える

 

利用者さんと親しく会話ができるようになると、第2段階として看護師の要望を伝えたくなると思います。

要望とは、看護師が利用者さんにしてほしいと考える望みを伝えることになります。

例えば、1週間、排便がない利用者さんがいたとします。

この時、一般的な要望の伝え方では、以下のようになると思います。

 

「〇〇(利用者)さんは、便秘の薬を飲むか、もう少し水分を取った方が良いですよ。」

 

上記の要望の伝え方は”ユー(you)メッセージ”と言われ、拒否のある利用者さんにとってはハッキリと言われた=自分を責められたと感じさせる可能性があります。

また、拒否がある利用者さんは、他人からコントロールされたくないと考えている可能性もあるため、”ユー(you)メッセージ”を命令と解釈してしまい、反射的に反発=拒否してしまうかもしれません。

そのため、看護師からの要望は、以下のような”アイ(I)メッセージ”で伝えることで感情共有の機会になります。

 

「〇〇(利用者)さんが便が出なくて苦しいのではないかと心配です。私は、薬を飲んだり、もう少し水分を取ると出るようになると思いますよ。」

 

提案は、自由意志を尊重する

 

看護師が要望に対して利用者さんが耳を傾けてくれるようになったら、次に具体的な提案を行っていきます。

提案とは、看護師が考える利用者さんの問題点や課題に対して改善策を伝えることになります。

例えば、1週間、清潔ケアを行っていない利用者さんがいたとします。

この時、一般的な提案の伝え方では、以下のようになると思います。

 

「〇〇(利用者)さん、お風呂に入ってさっぱりしましょうか?」

 

上記の提案でも、利用者さんとの関係が良好になっていれば、説得に応じてくれるかもしれませんが、利用者さんの自由意志を尊重すると、看護師の提案に承諾してくれやすくなります。

人間には「人が自由を制限された時、それに抵抗しようする性質=心理的リアクタンス」があるため、行動を強制されると反発、自主性を強調されると行動しやすくなると考えられます。

そのため、利用者さんの自由意志を尊重した提案は、以下のようになります。

 

「〇〇(利用者)さんの体をきれいする手伝いがしたいです。私の付き添いでお風呂に入るか、温かいタオルで体を拭いてもいいですか?〇〇さんが嫌であれば、今日行わなくても構いません。

利用者さんの自由意志の尊重では、”提案に選択肢を設けること”と”断ることの権利”について、明確に言葉で伝えていきましょう!

 

まとめ

 

今回は、拒否がある利用者さんの対応のポイントについて紹介しました。

拒否がある利用者さんは、「頑固で他人の話を聞いてくれない人」というレッテルを張ってしまうと看護師自身が恐る恐る対応してしまい、いつまでも拒否的な態度を変えてくれないと思います。

拒否がある利用者さんはすべての他人の話を聞かない人ではなく、「他人と親密になるのが苦手な人」と考えられます。

そのため、利用者さんと看護師が親しい関係になってから、看護師の要望や提案を伝えていく対応が望ましいと思います。

対応のポイントは以下の3つにあります。

  1. 傾聴や雑談を行いながら、親しく会話できるようになる。
  2. 命令と思われないように、アイ(I)メッセージで要望を伝える。
  3. 提案をする時には、選択肢を設けたり、断る権利を伝え、自由意志を尊重する。

 

上記のポイントを念頭に入れ、拒否がある利用者さんに対しても寄り添たケアができると良いと思います。

ビジケアでは、様々な利用者さんに応じた対応について運営メンバー、全国の訪問看護師とチャットでリアルタイムに相談することができます。

是非、一緒に悩みの解決を図っていきましょう!

 

 

 

 

 

 

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