訪問看護は、主治医からの指示により利用者さんに対して居宅での看護の提供を行います。
利用者さんに対して1人の主治医がいて、主治医が在籍する医療機関は大学病院から地域のクリニック、訪問診療などさまざまです。
今回は、訪問看護で医師と連携を図るためのポイントを詳しく紹介します!
訪問看護で初めて働く看護師さんはぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護における主治医とは?
訪問看護では、利用者さんに対して基本的に1人の主治医が訪問看護指示書を作成します。
私たち訪問看護師にとっての主治医は、訪問看護指示書を交付した医師のことを言います。
主疾患の他にも抱える疾患により利用者さんが複数の医療機関にかかっていることは珍しくありませんが、その中でも私たちが第1優先で連携を図るのは訪問看護指示書を交付した医師となります。
主治医以外の医師からの指示を仰ぐ場合には、基本的には訪問看護指示書を交付した医師に情報提供をしていただき、主治医がその情報を基に訪問看護指示書の記載を行うことが望ましいです。
大学病院や総合病院などでは、同一科の複数の医師が共同して利用者さんの治療にあたっている場合があります。
その場合には、複数の医師のいずれかが交付した訪問看護指示書に基づいて看護を提供します。
訪問看護で医師と連携を図る必要性とは?
訪問看護は、医師の指示の下で行われる業務です。
そのため、指示に対して訪問看護計画書及び訪問看護報告書により月に1回利用者さんの状況報告を行うことが望ましいとされています。
しかし、在宅で看護が必要な利用者さんは医療的管理が必要な心身の状態にあり、状態の急激な悪化が生じる可能性があります。
その際には、月1回の報告では不十分となるため、迅速な報告と指示による対応が必要となるのです。
急変時や状態悪化に備え、日頃から医師との連携を図っていく必要があります。
訪問看護で医師と連携を図るポイント
では、訪問看護で医師と連携を図るために、どのようなことに着目して業務にあたることが望ましいでしょうか。
次の3つのポイントにまとめて解説します。
その1 訪問看護指示書の内容を十分に把握する
まず、訪問看護を開始するために必須である訪問看護指示書の内容を十分に把握しておくことが大切です。
訪問看護指示書は、主治医が訪問看護を必要と判断することで交付される書類です。
訪問看護指示書には、主治医が「どのような点に注意して生活するべきなのか」、また「どのような状態になった場合には緊急で受信が必要となるのか」といった療養上の注意点が記されています。
もし訪問看護指示書の内容で疑問に思う部分や、具体的な指示が不足するところがある場合には事前に主治医に確認しておくといいですね。
利用者さんの状態変化において予測できる内容であれば、事前に症状に対する指示を出していただくこともできます。
例えば、疼痛の訴えがあった時に使用できる薬剤や、発熱時に使用する薬剤、便秘時の対応など病棟での看護と同様に事前指示があると、在宅でも落ち着いて行動することができます。
その2 医師との連絡方法を確認しておく
訪問看護指示書の交付を受けた際に確認しておきたいことの一つに、「緊急時の連絡先」、「不在時の対応」という項目があります。
それぞれの医療機関により対応方法が異なり、特に営業時間外は留守番電話になってしまうクリニックや診療所の場合には事前に「不在時の対応」を確認しておく必要があります。
大学病院や総合病院でも、「夜間休日は救急外来に連絡する」など時間帯や曜日によって診療科が異なる場合があるので注意が必要です。
その3 医師への報告は状況に合わせた方法で行う
訪問看護に入職し、つまずくことが多いのが「医師への報告」です。
病院での勤務をしてきた看護師さんは特に、顔を合わせたことのない医師への報告は緊張する方が多いのではないでしょうか。
また、利用者さんの状態変化があった場合に、どんな方法で報告することが望ましいのか判断に迷うこともあると思います。
報告の方法は、月に1回送付する訪問看護報告書、電話やFax、手紙、医療用のSNSなどを活用することもあります。
緊急の場合には、主治医に現地から電話で報告して指示を仰ぎ、必要があれば119番通報し医療機関への救急搬送を行います。
難しいのは、「今すぐの受診が必要ではないけど、状態の悪化がある場合」です。
その場合には、次回の診察までの期間を在宅療養で過ごせるのか、アセスメントします。
急ぎではないけれど、次回の受診まで待っていいのか判断に迷う場合には、主治医に「どのような状態まで経過観察していていいか」と相談することをお勧めします。
状態によっては受診の予約を早めてくださる場合もあります。
「急変ではないが、日常生活での困りごとがある場合」には、主治医へ手紙を作成して利用者さんの受診時に持参していただく方法があります。
訪問看護報告書の到着より先に受診の予定がある場合には、直接利用者さんから主治医の手に渡る手紙は有効です。
その際には、受診後に主治医から治療の変更や生活における助言がの有無や具体的な内容を必ず確認します。
利用者さんの状態に合わせた医師への報告を行い、連携を図っていきましょう。
まとめ
今回は、訪問看護で医師と連携を図るための3つのポイントを紹介しました。
訪問看護では、利用者さんの数だけ医師が存在するため、連携の方法は多岐にわたります。
利用者さんの状態は日々移り変わることが考えられ、訪問看護師と医師の連携により、迅速で適切な対応が求められます。
ビジケアでは、全国各地の訪問看護事業所の皆様から寄せられたお悩みに、訪問看護に従事している看護師や療法士がお答えしています。
医師との連携に悩む訪問看護関係者の方は、ぜひビジケアを活用してくださいね!