看護小規模多機能型居宅介護のデメリットは以下になります。
- 制度自体がわかりづらい
- 小規模多機能型居宅介護より利用料は割高
- 介護度が高くてもサービスが希望通りにならない可能性がある
- ショートステイに空きがないことも多い
- 様々な疾患、状態の利用者さんが共同利用される
それでは解説していきます!
目次
看護小規模多機能型居宅介護のデメリットとは
制度自体がわかりづらい
平成24年度から創設された比較的新しい事業形態で、まだまだ知らない方も多いと思います。
病院や居宅介護支援事業所に営業に行っても「名前は聞いたことあるけどどんなサービスなの?」「わかりづらい」なんて言葉も耳にします。
また指定権者が市町村にて、まだまだローカルルールも点在し、地域ごとに運営方針も異なるのが現状です。
医療介護福祉関係者でもまだまだ認知が獲得できていない為、利用者さんやその家族、これから利用を考えている方々にはよりわかりづらいと考えます。
どんなサービスをどれくらいの頻度で、どのくらいの費用負担で利用できるかなどきちんと利用者さんへ説明できるように事業所職員は制度を理解しておく必要があります。
複雑なサービスであるため、利用者さんやその家族から苦情が来やすい事業形態です。契約時にきちんと説明と同意を得ておくことが重要となります。
看護小規模多機能型居宅介護の概要が知りたい方は以下へ。
小規模多機能型居宅介護より利用料は割高
訪問介護(ホームヘルパー)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)を一体的に運用する小規模多機能型居宅介護。そこに訪問看護をプラスしたのが看護小規模多機能型居宅介護となります。
単純に1つのサービスを追加しているので単価も増額となっているのですが、比較が以下の通りです。
看護小規模多機能型居宅介護の介護報酬(令和6年度介護報酬改定後)
小規模多機能型居宅介護の介護報酬(令和6年度介護報酬改定後)
分かりやすく比較します(同一の建物に居住する者以外の者に対して行う場合)。
()内は介護報酬改定前
要介護1:1989単位(2015単位)
要介護2:2045単位(2085単位)
要介護3:2122単位(2181単位)
要介護4:3089単位(3164単位)
要介護5:4199単位(4269単位)
介護度が上がれば上がるほど、単位の差が大きくなっています。
報酬改定で単位の差は縮まってます。
あくまで基本報酬の差なので、実際は加算の有無、実費の有無等で自己負担額の差は大きく変わります。
介護度が高くてもサービスが希望通りにならない可能性がある
看護小規模多機能型居宅介護は、サービス利用について制限がありません。
その為できるだけ多くのサービスを使いたいと考える利用者さんやその家族もいらっしゃいます。
しかし、事業所のマンパワーは限られており、複数の利用者さんもサービスを利用しているので必ずしも希望通りにサービスが利用できるとは限りません。
一般的には必要な時に必要なサービスを提供している事業所が多いので以下に例を挙げます。
・退院直後で状態が安定するまで2週間程度毎日頻回のサービスを利用し、リハビリも功を奏し徐々に安定してきたので自宅で過ごす時間を増やしていき、サービスを減少させ自立支援に向けていく。
・主介護者が体調を崩してしまい、療養期間頻回のサービスを組み、体調が回復したらサービスを徐々に減少させていく。
・普段は自宅で少なめのサービス利用であるが、夏場は熱中症や脱水のリスク高いため毎日の通所サービスを利用して、気温が落ち着いてきたら元のサービス量に戻していく。
利用者さん、ケアマネジャー間で看護小規模多機能型居宅介護に求める事や、現状、背景などをしっかり話し合っておくことが大切です。
ショートステイに空きがないことも多い
看護小規模多機能型居宅介護のサービスの中で比較的求められる事が多いのが短期入所生活介護(ショートステイ)です。
建物内の宿泊部屋は最大で9部屋であり、依頼の多くはショートステイ利用を念頭に置いたものも多いです。
退院直後や、集中的な医療ケア、家族のレスパイト目的、施設の空き待ち等利用目的は多岐に渡ります。
看護小規模多機能型居宅介護の事業所が少ない地域は常に宿泊部屋が埋まってる事も珍しくありません。
ショートステイに空きがないと、依頼をいただいてもお断りせざるを得ない状況も出てくる為、ショートステイの運用方法や空きをいかに作っていくかは、これからの課題となっています。
宿泊部屋の設置は最大が9部屋であり、事業所によっては5部屋、6部屋の設置にしている所もあります。
また、すぐに埋まりやすい為、併設のサービス付き高齢者住宅や、住宅型有料老人ホームを設置する法人も増えています。
様々な疾患、状態の利用者さんが共同利用される
医療的なケアに対して対応が可能な看護小規模多機能型居宅介護。
認知症の高齢者から、医療機器を装着した40代の方まで幅広く利用されるのが特徴です。
「小規模」と記載があることから想像できるように、デイサービスのフロアなどは広大とは言えない事業所が多々あります。
通所の際下記のようなフロアに、上記のような様々な年齢層、疾患の方々が一堂に会するので、会話が噛み合わなかったり、雰囲気に慣れない方もいらっしゃいます。
状態や年齢が近い人で通所の曜日を調節する、ホール内のエリアわけをしてみる、様々な状態の方が参加できるレクリエーションを考えてみる等工夫が必要になってきます。
まとめ
今回は看護小規模多機能型居宅介護のデメリットについて解説しました。
- 複雑なサービスであるため、スタッフ各々が制度を理解し、契約時にきちんと説明と同意を得ておくことが大切。
- 介護度が高くなればなるほど小規模多機能型居宅介護との差額が大きくなる。
- 事業所のマンパワーは限られているので、サービスが使い放題とはなりにくい。
- ショートステイは埋まりやすいので、運用方法や空きを作る工夫が必要。
- 様々な利用者さんが利用されるので、対応に創意工夫が求められる。
デメリットを理解することで、より良い事業所運営に生かすことができるのではないでしょうか。
皆さんこんにちは!看護小規模多機能型居宅介護の元管理者の野代です。
年々増加している看護小規模多機能型居宅介護。
新規参入を考えている事業所さんも多いのではないでしょうか?
良い情報を目にすることも多いですが、実際のデメリットはどうなのか気になりますよね。
実際に運営していて学んだデメリットについて解説していきます!