訪問看護を運営する際には、看護師をはじめ療法士や事務職員を雇用することになります。
その際に必ず行われるのが、「労働契約」の締結です。
今回は、訪問看護の運営における労働契約について詳しく解説します。
- 労働契約とは?
- 労働契約の5原則
- 労働契約書に明示するべき内容
- 口頭の明示でも良い内容
- 労働契約を変更するには?
- 労働契約書と就業規則ではどちらが優先される?
目次
労働契約とは?
事業主が職員(=労働者)を雇う際に必要となるのが、「労働契約」です。
「労働契約」とは、労働契約法に基づいて定められたルールの下で、事業主と労働者との間に交わされる労働条件に関する合意契約(約束)のことです。
労働契約は口頭でも成立しますが、労働条件の明示をしない、または明示したことを証明できない場合、労働法違反として罰則が科されてしまいます。
トラブルを避けるためにも、必要な条件を満たした「労働契約書」を取り交わすことをお勧めします。
「労働契約書」を取り交わさず口頭での契約を行う場合には、「労働条件通知書」を書面にして交付する義務があります。
労働契約の5原則
では、労働契約を結ぶ際には、どのようなルールに則って内容を定めれば良いのでしょうか。
労働契約法第3条では、労働契約の基本原則として、以下の5原則が定められています。
- 労使対等の原則
労働契約は、労使対等の立場における合意に基づいて締結・変更すべきものとする。
- 均衡考慮の原則
労働契約は、正社員、パート、契約社員といった就業の形態ではなく、就業の実態によって締結・変更されるべきものである。
- 仕事と生活の調和への配慮の原則
労働契約は、育児や介護などの問題を考慮して締結・変更されるべきものである。
- 信義誠実の原則
労使共に労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
- 権利濫用の禁止の原則
労使共に労働契約に基づく権利行使の濫用は許されない
労働契約書に明示するべき内容
労働契約書には、以下のような内容を文章の交付によって明示しておく必要があります。
- 労働契約の期間
- 就業の場所・従事する業務の内容
- 始業・就業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
- 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
厚生労働省では、このような労働契約書のサンプルを作成しています。
口頭の明示でも良い内容
労働契約書に記載せず、口頭での明示で良いとされている内容は以下の通りです。
- 昇給に関する事項
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
- 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
- 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
- 安全・衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰、制裁に関する事項
- 休職に関する事項
労働契約を変更するには?
一度締結した労働条件の変更は、職員と事業主が合意をすれば行うことができます。
しかし、就業規則に定める労働条件を下回ることはできません。
労働契約書と就業規則ではどちらが優先される?

就業規則とは、賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などを定めた職場におけるルールです。
労働契約法によると原則は労働契約が優先されます。
ただし、労働契約書に明示される労働条件が、就業規則で定める基準に達していない場合には、その部分は無効となり就業規則の内容が適用されます。
事業主が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。
なお、就業規則によって労働条件を変更する場合には、(1)内容が合理的であることと、(2)労働者に周知させることが必要です。
まとめ
今回は、訪問看護の運営における労働契約について解説しました。
労働契約での労使間トラブルが生じないように、十分にルールに則した契約書を作成してくださいね。
事業主と職員の皆さんが、お互いに気持ちよく働くことができるように引き続き知識を増やしていきましょう!























