

厚生労働省の資料の中でよく目にする「収支差率」というものがあります。
みなさんはこの言葉の意味や求め方を知っていますか?
今回は、介護事業において重要な指標「収支差率」について学んでいきましょう。
- 収支差率について知ることができる
- 収支差率の計算ができるようになる
- 訪問件数と収益の関係性について知ることができる
- 収支差率を上げるポイントが分かる
目次
収支差率とは
収支差率とは、収益額に対する収益と費用の差額の割合の事を言い、介護事業所の経営指標として用いられます。
こちらが収支差率の計算方法です。
収支差率=(収入-費用)/収入×100%
この計算式を利用し、売上に対しての利益がどれだけ出ているかを測ることができます。
収入から、人件費や固定費などの費用を引き、収支差率を求めていきます。
訪問看護サービスにおける収支差率
全国の訪問看護サービスにおける平均の収支差率は平成30年度の決算で4.2%となっています。
みなさんの事業所の収支差率はいかがでしょうか?
売り上げに対し、4.2%の収益が上がっていれば全国平均以上となりますね。
しかし、実際には訪問看護ステーション全体が4.2%に近い数字を出しているわけではありません。
こちらは全国の訪問看護ステーションにおける収支差率の分布を表した表です。
これによると、平均の4.2%の周辺を大きな山として、かなり広い範囲の収支差率の事業所があることが分かります。
では実際にどのような事で収支差率に差が生まれるのでしょうか?
訪問回数が何回以上から収支差率がプラスになるか
こちらは無作為に抽出された約500か所の訪問看護ステーションの情報をもとに、1事業所当たりの収支額を延べ訪問回数階級別に表したデータになります。
収支差率を表している部分にピンクのマーカーを、看護職員常勤換算数(常勤率)にブルーのラインを引いてあります。
ご覧の通り、月の訪問が100回以下の事業所の収支差率は-5.3%、400回以上の事業所の収支差率は6.8%となっており、実に12.1%もの差があるのです。
収支差率がプラスとなってくるのは訪問回数が月200回以上の事業所からです。
収益を上げるためには多くの訪問をこなすことが重要なのは当然の事ではありますが、これほどの差があることが数字として見えてきます。
そして同時に、人数が少ないステーションの収支差率が非常に低いことが分かります。
常勤看護師の人数の増加に伴い売り上げも上がっていきますし、もちろん看護師以外にもセラピストの雇用と、その稼働率の上昇が可能であれば、さらに収益は上昇します。
このサイクルをうまく進めていくことが事業としての収益を上げることに結びつきます。
収支差率を上げるポイント
具体的な目標を立ててみる
立ち上げ当初は訪問件数もほとんどありませんから、最低の常勤換算人数を満たした状態で開設される場合が多いと思います。
“訪問件数が増えてきた”
“看護師やセラピストの増員ができそう”
そんな状況になってきたときには、このようなデータから一人当たりの訪問件数を目安にしながら、月の目標件数を立ててみましょう。
そこから、毎月何件の新規の利用者さんを獲得し、または何件の訪問を増やせるような営業活動をしていこうか、というような目標を具体的に立てていきます。
目標がより具体的になり、日々の活動について評価しやすくなります。
月の途中で状況を試算してみる
訪問件数×訪問単価がその月の請求額となりますので、月の途中で訪問件数の変化が起きたら、試算して予測しておきましょう。
月中の状況を把握しておくことにより、余裕が生まれたり、やるべきことが明確になってくることも多いのです。
稼働率は50%以上をキープできるようにする
当然の事ですが、訪問件数が少ないと収益が上がりません。
先ほどの訪問回数階級別の月の訪問回数400回以上の事業所のデータによると、看護職員1人当たりの訪問件数は月83.6回でした。
毎月の公休が9日間、1日の労働時間を8時間、訪問1回を30分以上60分未満と仮定すると、稼働率は約50%となります。
まずは、この50%を目標としておかれるとよいのではないでしょうか。
また、終末期の方などが多いと、急に訪問件数がガクッと下がってしまい、収益にも影響が出ることがあります。
医療保険の方と介護保険の方の割合を日ごろからなるべくバランス良くしておくことや、今後の訪問件数の増減を見越しての営業活動、新規の受け入れをしていくことも重要です。
訪問回数や加算の見直しをする
契約当初の介護状態から状況が変わっている方や、もう少し介入が必要な方はいませんか?
ご高齢の利用者さんは徐々に介護度が上がってきますので区分変更の必要性や、訪問回数の増回などを考慮しましょう。
また、緊急時訪問看護加算を取っていなかった方も見直し、提案してもよいでしょう。
必要に応じて利用者さんやご家族に相談、ケアマネジャーに打診をしていきます。
一般のスタッフにもアセスメントをしてもらい、意見を聴いていきましょう。
全体の訪問件数を増やし、キャンセルや入院などのダメージを小さくする
開設時や訪問件数が少ない状況だと、一つのキャンセルに対する売り上げへのダメージが大きくなります。
しかし、訪問件数が増えてくると、多少のキャンセルなどが起こってしまっても全体に対する割合としては小さく、少々の事では売り上げに響かなくなります。
そのため、なるべく訪問件数を増やし、急なキャンセルに備えましょう。
いかがでしたでしょうか?
今回は収支差率についてご説明しました。
数字を確認しながら事業所の規模をどんどん大きくしてくことが経営の安定につながることが分かっていただけたのではないでしょうか?

経営に関わる用語はたくさんあり、まだ管理者・経営者として慣れていない方にはとっつきにくい部分もあるかとは思いますが、覚えてしまえばシンプルなものでもあります。
今後も一緒に学んでいきましょう!



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