

訪問看護に携わってると時折聞く言葉ですよね。在がん医総診(ざいがんいそうしん)なんて略されることもある在宅がん医療総合診療料。経験をもとに解説していきますね!
①在宅がん医療総合診療料とは?
②在宅がん医療総合診療料の内容
②実際の関わり方と注意点
それでは解説していきましょう。
目次
在宅がん医療総合診療料とは
在宅がん医療総合診療料とは、末期がんの患者さんに対する24時間365日体制の医学管理を評価した診療報酬制度となります。
訪問診療、往診、訪問看護、処置、注射、検査などの料金が包括(一体的に提供)されるものになります。
訪問看護ステーションとして医療機関と連携していると、医療機関側から算定するの旨の連絡があるかと思います。診療所や病院が算定する診療報酬となりますが、算定できる医療機関は限られています。
在宅がん医療総合診療料の算定対象
算定できる医療機関
算定できる医療機関は、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院となります。
以下の要件を満たす保険医療機関が、地方厚生(支)局長に届け出た場合に、在宅療養支援診療所として認められます。
24 時間連絡体制の確保
当該診療所において、24 時間連絡を受ける医師または看護職員(以下 「連絡担当者」という)をあらじめ指定するとともに、連絡担当者や 連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等について、事前に患者や家族に説明し、文書により提供する。
24 時間往診体制の確保
当該診療所において、または別の保険医療機関(特別の関係にあるもの を含む)の保険医との連携により、患家の求めに応じて 24時間往診が可能な体制を確保し、往診担当医氏名・担当日等を文書により患家に提供する。
24 時間訪問看護体制の確保
当該診療所において、または別の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む)や訪問看護ステーション(特別の関係にあるものを含む)との連携により、患家の求めに応じ、当該診療所の保険医の指示に基づき、 24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、訪問看護の担当者氏名・担当日等を文書により患家に提供する。
緊急時の病床確保
当該診療所において、または別の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む)との連携により、緊急時に在宅において療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保する。
診療情報の提供・共有
別の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む)や訪問看護ステーシ ョン(特別の関係にあるものを含む)との連携する場合には、連携先において緊急時に円滑な対応ができるよう、あらかじめ患家の同意を得て、患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急の対応に必要な診療情報を連携先に文書(電子媒体を含む)により随時提供する。
その他
・患者に関する診療記録管理を行うにつき必要な体制が整備されていること。
・地域において、他の保健医療サービスおよび福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携していること。
・年1回、在宅看取り数等を地方厚生(支)局長に報告していること。
機能を強化した在支診療 (平成 24 年 4 月から)
上記に加え イ 常勤医師 3 名以上
ロ 過去1年間の緊急の往診実績 5 件以上
ハ 過去1年間の看取り実績 2 件以上複数の医療機関が連携(一定の要件あり)してイ~ハの要件を満たすことも可
引用:介護保険・医療保険訪問看護業務の手引 P123 より
訪問診療、往診を積極的に行い24時間356日稼働しているクリニックや病院となります。
対象の利用者さん
対象の利用者さんは、在宅や施設で療養している末期がんの診断を受けた方となります。
在宅で療養を行なっている通院が困難な末期の悪性腫瘍の患者(医師又は看護師等の配置が義務付けられている施設に入居又は入所している患者(給付調整告示等に規定する場合を除く)の場合を除く。)
引用:令和2年度診療報酬点数医科>第2章第2部第1節C003
要約すると、末期がんの診断があり、通院が困難で、医師や看護師等配置が義務付けされていない施設(サービス付き住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など)や自宅で療養されている方が対象となります。
算定条件・計算方法
在宅がん医療総合診療料の算定条件や報酬の計算方法は複雑となっています。
診療料の算定要件
対象の医療機関が、対象の利用者さんへ訪問する他に以下の要件があります。
①当該患者に対し、訪問診療又は訪問看護を行う日が合わせて週4日以上であること。
②訪問診療の回数が週1回以上であること。
③訪問看護の回数が週1回以上であること。
④日曜日を基準とした土曜日までの1週間を単位として、基準を全て満たした場合に算定。(つまり、1週間ごとの算定となります。)
・同一日において訪問診療及び訪問看護を行った場合であっても1日とする。
・1週間のうちに全ての要件を満たさなかった場合は算定できない。
・1週間のうちに在宅医療と入院医療が混在した場合は原則算定できない。ただし、対象の医療機関に病床があり、一時的に対象の医療機関に入院する場合で、算定要件を満たしている場合は算定できる。この場合には、入院医療に係る費用は算定できない。
引用:令和2年度診療報酬点数医科>第2章第2部第1節C003
診療料の計算方法
診療料は以下のようになります。病床を有するか有しないか、処方箋を発行するかしないか等で差があります。
引用:日医工医療行政情報
訪問診療と訪問看護を組み合わせて、1週間のうち4日以上訪問実績があれば算定可能。訪問が4日間でも7日間でも算定額は同じです。
対象の医療機関が在宅がん医療総合診療料を算定する場合は訪問看護ステーションとしては診療報酬(訪問看護基本療養費等)を算定できません。そのため、訪問看護ステーション側から指示書をもらっている医療機関へ診療報酬相当額を請求して、振り込んでもらう形が一般的です。
訪問看護ステーションとしては、医療機関の算定の有無であまり影響はない(メリットとして事業所に入る収入が早くなる程度)ですが、利用者さんやその家族に対しては費用負担軽減の側面がある場合があります。
70歳医療費自己負担2割の利用者さんで、高額療養費制度の自己負担が月に18000円で、週1回の訪問診療、毎日の訪問看護であった場合。
①在宅がん医療総合診療料の算定なし
A診療所の費用負担 18.000円
B訪問看護ステーション 18.000円
合計36.000円
②在宅がん医療総合診療料の算定あり
A診療所の費用負担 18.000円
B訪問看護ステーション 0円
合計18.000円
医療機関のみの包括請求の為、利用者さんの自己負担は軽減されています。
訪問看護ステーションとしての関わり方
ここからは実際と注意点について解説していきます。
実際の関わり方
まずは、対象の利用者さんが末期がんの診断であることから訪問看護ステーションで関わる場合は厚生労働省の定める別表7の疾患に該当するので医療保険での訪問看護となります。
対象の医療機関と連携していても必ずしも在宅がん医療総合診療料を算定するとは限りません。基本的に医療機関の判断で算定するかどうかが決まるので、急に連絡が来たりすることもあります。末期がんの診断がある利用者さんであれば、事前に算定するかどうか確認しておくのが良いでしょう。
対象の医療機関が在宅がん医療総合診療料を算定する場合は訪問看護ステーションとしては診療報酬(訪問看護基本療養費等)を算定するわけではありません。初めに医療機関との業務委託契約を締結します。訪問看護ステーションは医療機関から委託金として報酬を受けます。記録等は通常の訪問看護と同様に残しておきます。医療機関によっては毎回の訪問時の記録をFAX等で送信したり、訪問の有無のみを連絡したりします。
算定する場合医療機関から利用者さんやその家族に説明がありますが、制度が複雑なので理解に至らないことも多々あります。訪問看護ステーションとして、関わる際に補足説明していくことが大切と考えます。
注意点
指示書には必ず診断名に末期がんの記載があるか確認が必要です。
訪問看護ステーションの報酬は、診療報酬ではなく委託金として報酬を受けるため、料金に関しては医療機関と訪問看護ステーションとで金額決定します(訪問看護が医療保険で請求している場合の金額であったり、加算相当額の考慮なく、一律1回訪問で○○○○円など)。算定の連絡が来た際はあらかじめ確認が必要です。
トラブルを避けるためにも医療機関と訪問看護ステーションとで契約書を交わしましょう。
加算の有無(ターミナルケア加算等)で、その月で算定する、しないと連絡がある医療機関も存在します。
訪問看護ステーションは医療機関側へ請求書の発行が必要です。
まとめ
今回は在宅がん医療総合診療料について解説しました。
①訪問診療や訪問看護を包括した診療報酬制度であること。
②算定要件や計算方法は複雑ですが、利用者さんへのメリットもあること。
③連携する上で注意点も多いこと。
医療機関が算定する複雑な診療報酬制度ですが、訪問看護に携わる者として理解しておくことが大切です。
理解しておくことで、医療機関との連携が密に図れ、トラブルを未然に防ぐことができ、結果的に利用者さんやその家族への良い支援に繋がるのではないでしょうか。
























クリニックと連携していて在宅がん医療総合診療料を算定するって言われたけど、何のことかさっぱりわからないんです。