訪問看護管理療養費には、重症者対応や24時間対応体制など、一定の実績・体制を満たしたステーションを評価する「機能強化型」という区分があります。令和8年度改定では、機能強化型4が新たに新設され、区分は4段階になりました。
この記事では、機能強化型1・2・3・4それぞれの料金・人員要件・実績要件を整理して解説します。
- 機能強化型訪問看護管理療養費の全体像
- 月初日・2日目以降の料金
- 機能強化型1・2の共通要件と固有要件
- 機能強化型3・4の要件(4は令和8年度新設)
- 自ステーションがどの区分に該当するかの考え方
目次
機能強化型訪問看護ステーションとは?
機能強化型訪問看護ステーションとは、24時間対応体制やターミナルケア、重症者・精神疾患患者の受け入れなど、一定水準以上の実績・体制を満たした訪問看護ステーションを評価する区分です。令和8年度改定により、機能強化型1・2・3に加えて機能強化型4が新設され、4段階の区分になりました。要件を満たさないステーションは「その他」の区分として、通常の訪問看護管理療養費を算定します。開業して間もないステーションが、いきなり最上位の機能強化型1を目指すのは現実的ではないため、まずは自ステーションの人員・実績に見合った区分から段階的にステップアップしていく考え方が一般的です。人員の採用計画や研修体制の整備には一定の時間がかかるため、目標とする区分を早めに定め、逆算してスケジュールを組んでおくと無理のない移行がしやすくなります。
月初日の訪問看護管理療養費
訪問看護管理療養費は、月の初日の訪問看護時に算定するものと、2日目以降に算定するものとで金額が分かれています。
| 区分 | 月初日の金額 |
|---|---|
| 機能強化型1 | 13,760円 |
| 機能強化型2 | 10,460円 |
| 機能強化型3 | 9,030円 |
| 機能強化型4 | 9,030円 |
| その他(機能強化型以外) | 7,710円 |
月2日目以降の料金
月2日目以降は、単一建物居住利用者数の区分に応じて金額が変わります。
| 単一建物居住利用者数 | 金額の目安 |
|---|---|
| 20人未満 | 3,010円 |
| 20人以上50人未満 | 2,510円〜2,210円(期間による) |
| 50人以上 | 2,410円〜2,010円(期間による) |

なぜ月2日目以降の金額に幅があるのか
月2日目以降の金額に「期間による」幅があるのは、単一建物居住利用者数が多いほど1人あたりの管理コストが下がると考えられているためです。同じ建物に多くの利用者がいる場合、看護師の移動時間や事務手続きの一部を複数の利用者で分担できることから、人数区分が上がるにつれて単価が下がる仕組みになっています。自ステーションがどの人数区分に該当するかは、月ごとに変動する可能性があるため、集計を怠らないようにする必要があります。特にサービス付き高齢者向け住宅等への訪問が多いステーションでは、月によって利用者数が増減しやすいため、請求前の確認作業を習慣づけておくと安心です。人数区分の境界付近(20人・50人前後)を推移している場合は、単価への影響が大きくなりやすいため、より丁寧な集計・ダブルチェックを行う体制にしておくと、請求誤りのリスクを抑えられます。
機能強化型1・2の共通要件
機能強化型1・2には、次の共通要件があります。
- 24時間対応体制加算の届出をしていること
- 同一敷地内に居宅介護支援事業所または相談支援事業所を設置していること
- 休日・祝日を含めた計画的な訪問看護を実施していること
- 人材育成に関する研修を実施していること
機能強化型1の固有要件
- 常勤看護職員7人以上
- ターミナルケア件数:年間20件以上、または重症児の受け入れ実績
- 別表第七に該当する利用者:月10人以上
機能強化型2の固有要件
- 常勤看護職員5人以上
- ターミナルケア件数:年間15件以上、または重症児の受け入れ実績
- 別表第七に該当する利用者:月7人以上

機能強化型1・2は、人員数とターミナルケア・重症児対応の実績の両方を満たす必要があります。年度の途中で要件を満たせなくなりそうな場合は、早めに人員計画を見直すことが大切です。

機能強化型1・2で見落とされやすいポイント
機能強化型1・2の要件のうち、「居宅介護支援事業所または相談支援事業所の設置」は同一敷地内であることが条件とされている点に注意が必要です。近隣であっても敷地が別であれば要件を満たさない可能性があるため、併設を検討する際は敷地の範囲を事前に確認しておくことをおすすめします。また、ターミナルケアの実績は年間の集計期間で判定されるため、単月の実績だけで一喜一憂せず、年間を通じた推移を管理することが重要です。
機能強化型3の要件
機能強化型3は、次の要件を満たす必要があります。
- 常勤看護職員4人以上
- 24時間対応体制加算の届出
- 重症患者や精神疾患患者の受け入れ:月10人以上
- 退院時共同指導加算の実績
- 地域の医療機関との連携実績
- 年2回以上の研修実施
機能強化型4の要件(令和8年度新設)
機能強化型4は、令和8年度改定で新たに設けられた区分です。既存の機能強化型3では評価しきれなかった、精神科分野への重点的な取り組みを独立した区分として位置づけたものと考えられます。「難病等の重症者受け入れ」と「重点的な精神科訪問看護」の両方を同時に担うことが絶対条件とされています。
- 常勤看護職員4人以上、看護職員割合60%以上
- 24時間対応体制加算の届出
- 重症度の高い利用者(別表第七・第八該当者)と精神疾患患者の双方について相当な訪問実績があること
- 保険医療機関との共同指導の実施
- 地域への研修・相談・情報提供等の実績
機能強化型4は、機能強化型3と月初日の金額(9,030円)が同額ですが、重症者対応と精神科訪問看護の「両方」を高い水準で満たす必要がある点が機能強化型3とは異なります。片方のみに強みがあるステーションは、機能強化型3の要件充足を目指す方が現実的な場合もあります。どちらの区分を目指すかは、自ステーションが得意とする利用者層(重症の身体疾患か、精神疾患か、あるいはその両方か)を踏まえて判断するとよいでしょう。
区分ごとの届出・変更手続きの考え方
機能強化型の区分は、一度届け出れば固定というものではなく、実績要件が変動すれば、区分の見直し・変更届出が必要になる可能性があります。年度単位・四半期単位など、決められた期間ごとに人員配置・実績を集計し、要件を満たしているかを定期的に確認する体制を整えておくことが望ましいとされています。
新たに機能強化型を目指す場合のステップ
- 現状の把握常勤看護職員数、ターミナルケア件数、重症者・精神疾患患者の受け入れ実績など、現状の数値を集計する。
- 目標区分の設定現状の実績・体制から、無理なく目指せる区分(機能強化型1〜4のいずれか)を検討する。
- 不足要件への対応人員採用、居宅介護支援事業所との連携、研修計画の策定など、不足している要件への対応を進める。
- 要件充足後の届出要件を満たしたことを確認したうえで、必要書類を整えて地方厚生(支)局への届出を行う。
自ステーションの区分を検討する際のチェックリスト
- 常勤看護職員数が各区分の人員要件を満たしているか
- 24時間対応体制加算を届け出ているか(機能強化型1・2・3・4共通の前提)
- ターミナルケア・重症児・別表第七該当者の受け入れ実績を集計しているか
- 精神科訪問看護の実績(機能強化型4を目指す場合)を集計しているか
- 居宅介護支援事業所等の併設状況(機能強化型1・2を目指す場合)を確認したか
- 単一建物居住利用者数の集計が月ごとに変動していないか、請求前に確認する運用になっているか
機能強化型の取得は、単に管理療養費の増収だけでなく、地域内での信頼性向上や、重症度の高い利用者の紹介を受けやすくなるという副次的な効果もあります。要件を満たすための人員・体制づくりは、中長期的な経営戦略の一環として位置づけるとよいでしょう。採用活動においても、機能強化型を取得している(または取得を目指している)ことを打ち出すと、キャリアアップを志向する看護職員にとって魅力的な訴求材料になり得ます。
よくある質問
機能強化型3と4はどちらの方が要件を満たしやすいですか?
一概には言えませんが、機能強化型4は重症者対応と精神科訪問看護の両方を高い水準で満たす必要があるため、どちらか一方にのみ強みがあるステーションには機能強化型3の方が現実的な場合があります。自ステーションの実績・体制に応じて検討する必要があります。
機能強化型の要件を満たさなくなった場合はどうなりますか?
要件を満たさなくなった場合は、届出内容を見直し、該当する区分(下位の機能強化型または「その他」の区分)で算定する必要があります。実績要件は集計期間があるため、定期的に充足状況を確認することが大切です。
機能強化型1・2の「居宅介護支援事業所の設置」は必須ですか?
機能強化型1・2の共通要件として、同一敷地内に居宅介護支援事業所または相談支援事業所を設置していることが求められます。機能強化型3・4にはこの要件はありません。
ターミナルケアの実績はどの期間で判定されますか?
ターミナルケア件数は年間の集計期間で判定されます。単月の実績だけでなく、年間を通じた件数の推移を継続的に記録・管理しておくことが重要です。

まとめ|4段階の区分と要件を正しく整理しよう
機能強化型訪問看護管理療養費は、令和8年度改定で機能強化型4が新設され、4段階の区分になりました。人員数・実績要件は区分ごとに異なるため、自ステーションの体制と照らし合わせて、どの区分を目指すかを検討することが重要です。要件は今後の改定でも見直される可能性があるため、最新の告示内容を定期的に確認する習慣をつけておくことをおすすめします。改定のたびに要件・金額が細かく調整されやすい分野でもあるため、自ステーションが該当する(あるいは目指す)区分については、改定情報を優先的にチェックする体制を持っておくと安心です。
- 機能強化型は1・2・3・4の4段階(令和8年度改定で4が新設)
- 月初日の金額は機能強化型1が最も高く13,760円、3・4は同額9,030円
- 機能強化型1・2は共通要件(24時間対応体制加算届出等)+固有の人員・実績要件がある。同一敷地内の居宅介護支援事業所等の設置有無も要確認
- 機能強化型4は重症者受け入れと精神科訪問看護の両方を高い水準で満たす必要がある
- 要件充足状況は定期的に確認し、満たせなくなった場合は速やかに区分を見直す
24時間対応体制加算・精神科訪問看護基本療養費の詳しい要件についても、関連記事をあわせてご確認ください。



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