「在医総管」「施設総管」という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんな仕組みで点数が決まっているのか、訪問看護の現場からは見えにくいという方も多いのではないでしょうか。
在宅時医学総合管理料(在医総管)と施設入居時等医学総合管理料(施設総管)は、訪問診療を行う医療機関が算定する診療報酬で、利用者がどこに住んでいるか・訪問頻度・医療機関の届出区分によって点数が大きく変わる複雑な制度です。この記事では、その基本的な仕組みを、告示の原文にもとづいて整理して解説します。
- 在医総管・施設総管、それぞれの対象となる患者と医療機関
- 点数を左右する「単一建物診療患者数」という考え方
- 医療機関の届出区分によって点数がどう変わるか
- 主な加算項目と、在医総管・施設総管の関係
目次
在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料とは
どちらも、通院が困難な患者に対して、計画的な医学管理のもとで定期的な訪問診療を行った場合に、月1回に限り算定できる診療報酬です。両者の違いは、対象となる患者の居住場所にあります。
| 項目 | 在宅時医学総合管理料(在医総管) | 施設入居時等医学総合管理料(施設総管) |
|---|---|---|
| 対象患者 | 自宅等で療養する通院困難な患者(施設入居者等を除く) | 特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等に入居する通院困難な患者 |
| 算定できる医療機関 | 診療所、在宅療養支援病院、許可病床数200床未満の病院(在宅療養支援病院を除く) | 同左 |
| 算定頻度 | 月1回 | 月1回 |
| 同一患者への併算定 | 施設総管を算定している月は算定不可 | 在医総管を算定している月は算定不可 |
つまり、同じ患者について在医総管と施設総管を同じ月に重ねて算定することはできません。利用者が施設入居者等に該当するかどうかで、どちらを算定すべきかが決まる仕組みです。
施設総管の対象となる「施設入居者等」とは
施設総管でいう施設入居者等には、特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホームのほか、サービス付き高齢者向け住宅(有料老人ホームに該当するものを含む)など、入居して療養を行う施設が広く含まれます。一方、自宅で療養している患者や、グループホーム等であっても施設入居者等に該当しない場合は、在医総管の対象になります。

「施設に入居している=すべて施設総管」というわけではなく、対象となる施設の種類が定められている点に注意が必要です。連携する医療機関がどちらで算定しているか、事務担当者と共有しておくと安心ですね。
「通院が困難なもの」「計画的な医学管理」とは
在医総管・施設総管は、単に訪問診療を行えば算定できるわけではありません。患者本人の同意を得たうえで、計画的な医学管理の下に、定期的な訪問診療を行っていることが要件です。通院が困難かどうかは、患者の心身の状態や病状に応じて医師が総合的に判断するものとされています。

点数を左右する「単一建物診療患者数」とは
在医総管・施設総管の点数は、単一建物診療患者数によって大きく変わります。これは「患者が居住する建物に居住する者のうち、同じ保険医療機関が訪問診療を実施し、医学管理を行っている人数」を指します。同じ建物(マンションや施設等)に複数の患者がいて、同じ医療機関が訪問診療を行っている場合、1人あたりの点数は下がる仕組みです。

同じ有料老人ホームに複数の利用者さんがいて、同じ医療機関が訪問診療をしている場合は、単一建物診療患者数が2人以上になり、1人あたりの点数は下がります。逆に、戸建てにお住まいの方でその医療機関が担当している患者さんがその方だけなら、単一建物診療患者数は1人です。
単一建物診療患者数の区分は、①1人、②2人以上9人以下、③10人以上19人以下、④20人以上49人以下、⑤50人以上(その他)の5段階です。人数が多いほど、1人あたりの点数は低くなります。
医療機関の届出区分によって点数が変わる
在医総管・施設総管は、算定する医療機関の届出区分によっても点数が3つに分かれます。
| 医療機関の区分 | 内容 |
|---|---|
| 区分1 | 在宅療養支援診療所・病院のうち、在宅医療の実績等について別に厚生労働大臣が定める基準に適合するもの(いわゆる機能強化型等) |
| 区分2 | 区分1以外の在宅療養支援診療所・病院 |
| 区分3 | 区分1・2に該当しない医療機関(在宅療養支援診療所・病院の届出をしていない診療所等) |
さらに区分1については、病床の有無によっても点数が分かれます。区分が上(区分1に近い)になるほど点数は高く設定されています。
具体例:月2回以上訪問診療を行っている場合(単一建物診療患者1人)の点数比較
| 医療機関の区分 | 在医総管 | 施設総管 |
|---|---|---|
| 区分1・病床あり | 4,485点 | 3,185点 |
| 区分1・病床なし | 4,085点 | 2,885点 |
| 区分2 | 3,685点 | 2,585点 |
| 区分3 | 2,735点 | 1,935点 |
この例からもわかるとおり、同じ「月2回以上の訪問診療」でも、医療機関の届出区分によって点数は大きく異なります。さらに、月1回訪問の場合や、厚生労働大臣が定める重症の状態にある患者(末期がん・気管切開・人工呼吸器使用等)に月2回以上訪問している場合など、訪問頻度・患者の状態に応じてさらに細かく点数が分かれています。
月1回訪問の場合・重症患者の場合はどうなるか
月1回のみ訪問診療を行っている場合は、月2回以上の場合よりも点数は低く設定されています。例えば区分3(一般の診療所等)で単一建物診療患者が1人の場合、月1回訪問では在医総管が1,745点となり、月2回以上訪問(2,735点)より低くなります。
一方、厚生労働大臣が定める状態(末期の悪性腫瘍、気管切開・気管カニューレを使用している状態、在宅で人工呼吸器を使用している状態等、重症度の高い状態)にある患者に対して月2回以上訪問診療を行っている場合は、通常の月2回以上訪問よりもさらに高い点数が設定されています。区分3・単一建物診療患者1人の場合、この区分では3,435点となり、通常の月2回以上訪問(2,735点)を上回ります。
単一建物診療患者数が増えるほど、1人あたりの点数は下がります。例えば区分3(一般の診療所等)で月2回以上訪問診療を行っている場合、単一建物診療患者数が1人なら2,735点ですが、2人以上9人以下では1,460点、50人以上では555点まで下がります。

主な加算項目
在医総管・施設総管には、さまざまな加算が設けられています。代表的なものを紹介します。
- 頻回訪問加算:特別な管理を必要とする患者に月4回以上の往診・訪問診療を行った場合(初回800点、2回目以降300点)
- 包括的支援加算:別に厚生労働大臣が定める状態の患者について、150点を加算
- 在宅移行早期加算:在宅医療への移行後3か月以内、月1回に限り100点を加算
- 在宅療養移行加算:常時往診を行う体制等を確保したうえで訪問診療を行った場合に加算(体制の区分に応じて316点・216点・216点・116点)
- 在宅データ提出加算:診療報酬の請求状況等を継続的に厚生労働省へ提出している場合、50点を加算
- 在宅医療情報連携加算:多職種で患者の診療情報等を共有し計画的な医学管理を行った場合、月1回100点を加算

以前は「継続診療加算」という名前で呼ばれていた加算は、現在は「在宅療養移行加算」という名称に整理されています。古い資料を参照するときは、名称が変わっている点に注意しましょう。
このほかにも、在宅療養支援診療所・病院の届出区分に応じた「在宅医療充実体制加算」「在宅療養実績加算」など、施設基準に応じた加算があります。加算の種類・点数は改定のたびに見直されるため、実際の算定にあたっては最新の告示・通知を確認することが欠かせません。
在医総管・施設総管を算定すべき医学管理を行った場合、別に厚生労働大臣が定める診療に係る費用および投薬の費用は、原則として所定点数に含まれます。何が包括され、何が包括されないかという具体的な区分については、別記事で詳しく解説しています。
よくある質問
在医総管と施設総管は同じ月に両方算定できますか?
できません。同じ患者について、在医総管を算定している月に施設総管を算定することはできず、逆も同様です。利用者が施設入居者等に該当するかどうかで、どちらを算定すべきかが決まります。
単一建物診療患者数とは何ですか?
患者が居住する建物に居住する者のうち、同じ保険医療機関が訪問診療を実施し、医学管理を行っている人数のことです。この人数が多いほど、1人あたりの点数は低く設定されています。
同じ訪問頻度でも医療機関によって点数が違うのはなぜですか?
在宅療養支援診療所・病院のうち在宅医療の実績等の基準を満たすものと、それ以外の在宅療養支援診療所・病院、さらにそれ以外の一般の医療機関とで、点数の区分が3段階に分かれているためです。実績のある医療機関ほど高い点数が設定されています。
継続診療加算という名前を聞いたことがありますが、今もありますか?
現在の点数表では「在宅療養移行加算」という名称に整理されています。常時往診を行う体制等を確保したうえで訪問診療を行った場合に、体制の区分に応じて加算される仕組みです。
サービス付き高齢者向け住宅の入居者は在医総管と施設総管のどちらになりますか?
有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅であれば、施設入居者等として施設総管の対象になります。該当するかどうかは住宅の類型によって異なるため、判断に迷う場合は連携先の医療機関に確認するとよいでしょう。
点数・算定要件は診療報酬改定のたびに見直されます。実際の算定にあたっては、最新の告示・通知をあわせてご確認ください。
まとめ|届出区分・単一建物診療患者数・訪問頻度の3要素で点数が決まる
在医総管・施設総管は、患者の居住場所(自宅か施設か)で在医総管か施設総管かが決まり、そこに医療機関の届出区分・単一建物診療患者数・訪問頻度という3つの要素が組み合わさって点数が決まる制度です。
- 在医総管と施設総管は、同一患者・同一月での併算定はできない
- 単一建物診療患者数が多いほど、1人あたりの点数は下がる
- 医療機関の届出区分(在宅療養支援診療所・病院の実績等)によって点数が3段階に分かれる
- 頻回訪問加算・包括的支援加算・在宅療養移行加算など、状態や体制に応じた加算がある
訪問看護ステーションとして連携する医療機関がどの区分に該当するかを把握しておくと、在宅療養支援の全体像がより理解しやすくなります。
























