夜間・早朝加算、深夜加算とは?算定要件・単位数・実務ポイントを解説【介護保険】

「夜中や早朝に緊急訪問したとき、加算は取れるの?」「深夜加算って何時から何時まで?」——訪問看護の現場では時間帯に応じた加算の取り扱いは重要な実務知識です。特に介護保険の夜間・早朝加算深夜加算は、時間帯によって基本単位数への上乗せ割合が変わる加算で、正確な時間区分の把握が欠かせません。

この記事では、介護保険における夜間・早朝加算・深夜加算の時間区分・単位数の計算方法・算定要件・注意点を令和6年度介護報酬改定の内容をもとにわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 夜間・早朝加算と深夜加算の時間区分(何時から何時まで?)
  • 令和6年度改定後の加算割合(+25/100・+50/100の意味)
  • 実際の単位数の計算方法(具体例つき)
  • 算定できる条件と算定できないケース
  • 緊急時訪問看護加算との関係・併算定のルール

夜間・早朝加算、深夜加算とは?概要を確認

夜間・早朝加算と深夜加算は、一定の時間帯に訪問看護を提供した場合に、基本の訪問看護費に上乗せして算定できる加算です。夜間・深夜帯の訪問はスタッフへの負担が大きく、また確保が難しいため、こうした時間帯に対応する事業所を評価するために設けられています。

令和6年度介護報酬改定においても、この加算の仕組みは維持されています。

POINT:加算の名称は保険種別で異なる

介護保険では「夜間・早朝加算」「深夜加算」と呼ばれますが、医療保険では「夜間・早朝訪問看護加算」「深夜訪問看護加算」という名称です。仕組みは似ていますが、算定要件や計算方法が異なるため注意が必要です。この記事では介護保険の加算を解説します。

夜間に訪問看護師が利用者宅を訪問するイラスト

時間区分はこれで覚える!3つの時間帯を整理

介護保険における夜間・早朝加算と深夜加算は、次の3つの時間帯で区分されています。

時間帯の区分対象時間加算の名称加算割合
早朝午前6時〜午前8時夜間・早朝加算+25/100
夜間午後6時〜午後10時夜間・早朝加算+25/100
深夜午後10時〜午前6時深夜加算+50/100

つまり、早朝(6:00〜8:00)と夜間(18:00〜22:00)は同じ「夜間・早朝加算」(+25%)の加算区分です。深夜(22:00〜翌6:00)は「深夜加算」(+50%)とより高い割合になります。

看護師 上妻
看護師 上妻

「夜間・早朝加算」という名前なのに、実は早朝(6〜8時)も含まれているのが混乱しやすいポイントです。早朝と夜間(18〜22時)はどちらも+25%加算、深夜(22時〜翌6時)は+50%加算と覚えておきましょう。

「訪問開始時刻」で判断する

訪問が複数の時間帯にまたがる場合(例:22:30に訪問開始→23:30終了など)、どの時間帯の加算を適用するかは訪問開始時刻で判断します。22:30に訪問を開始していれば深夜加算(+50%)が適用されます。

注意:通常時間帯に開始して深夜にまたがる場合

例えば21:30に訪問を開始し、22:10に終了した場合、開始が「夜間」(18:00〜22:00)なので夜間・早朝加算(+25%)が適用されます。深夜にまたがっていても、開始時刻が基準になる点に注意してください。

単位数の計算方法を具体例でわかりやすく解説

夜間・早朝加算と深夜加算は基本の訪問看護費の単位数に対して一定割合を加算する仕組みです。「+25/100」は基本単位数の25%分を加算すること、「+50/100」は50%分を加算することを意味します。

訪問看護ステーションの場合の計算例

訪問看護ステーションが介護保険で訪問する場合の基本単位数(令和6年度)は以下です。

訪問時間区分基本単位数(看護師等)
20分未満313単位
30分未満470単位
30分以上1時間未満821単位
1時間以上1時間30分未満1,125単位

たとえば、30分以上1時間未満(821単位)の訪問を夜間(18〜22時)に行った場合の計算:

計算項目単位数
基本単位数(30分以上1時間未満)821単位
夜間・早朝加算(+25/100)821 × 25% = 205単位(端数切り捨て)
合計821 + 205 = 1,026単位

同じ訪問を深夜(22時〜翌6時)に行った場合は:

計算項目単位数
基本単位数(30分以上1時間未満)821単位
深夜加算(+50/100)821 × 50% = 410単位(端数切り捨て)
合計821 + 410 = 1,231単位
看護師 上妻
看護師 上妻

単位数の計算では端数処理(小数点以下切り捨て)が基本です。1単位の単価(地域区分によって11.05〜11.40円)を乗じて費用額を計算する際にも端数処理が生じますので、請求ソフトの計算結果を必ず確認しましょう。

准看護師が訪問した場合の注意点

准看護師が訪問した場合は基本単位数が×98/100(2%減算)になります。夜間・早朝加算・深夜加算はこの減算後の単位数に対して上乗せ計算します。

訪問看護の夜間・深夜時間帯をイメージしたイラスト

算定要件:「利用者・家族の求め」が必要

夜間・早朝加算と深夜加算の最重要の算定要件は、「利用者またはその家族等の求めに応じて」当該時間帯に訪問看護を行うことです(厚生労働省告示・解釈通知に基づく)。

具体的には次のいずれかの状況で求めがあった訪問が対象です。

  • 利用者・家族から夜間帯の訪問依頼があった場合
  • 訪問看護計画書に夜間・早朝・深夜帯の訪問が計画されており、計画どおりに訪問した場合
  • 緊急時に利用者・家族から連絡があり対応した場合(緊急時訪問看護加算との兼ね合いは後述)
注意:事業所側の都合による訪問は算定不可

訪問看護ステーションの業務上の都合(人員調整・スケジュール変更など)で夜間帯に訪問した場合は、夜間・早朝加算・深夜加算を算定することができません。あくまで「利用者・家族の求めに応じた訪問」が算定の前提です。

緊急時訪問看護加算との関係を整理する

夜間・早朝帯や深夜帯に緊急で訪問した場合、「緊急時訪問看護加算」と「夜間・早朝加算(深夜加算)」を同時に算定できるケースがあります。令和6年度改定の解釈通知では、次のように整理されています。

POINT:緊急時訪問看護加算との併算定ルール

緊急時訪問看護加算の算定対象となる「1月以内の2回目以降の緊急時訪問」については、早朝・夜間・深夜の時間帯に行った場合に夜間・早朝加算や深夜加算を算定できるとされています(令和6年度改定・解釈通知)。

一方、緊急時訪問看護加算の「1月に1回の緊急対応」分(訪問看護ステーションの場合)との関係については、保険者の解釈・運用が異なる場合もありますので、都道府県・保険者への事前確認をおすすめします。

看護師 上妻
看護師 上妻

緊急時の深夜訪問では単位数が大きく増えます。正確に算定・請求するためにも、訪問した時刻・目的・経緯を訪問看護記録書に詳細に記載しておくことが重要です。

支給限度額管理との関係

夜間・早朝加算と深夜加算は支給限度額管理の対象です。加算後の合計単位数が利用者の月の区分支給限度基準額の範囲内に収まるかどうか、ケアマネジャーと連携して確認が必要です。

特に夜間帯・深夜帯の訪問が複数回にわたる利用者では、月の支給限度額に影響が出やすいため、ケアプランの給付管理と事前の調整が欠かせません。

医療保険の夜間訪問加算との違い

医療保険でも夜間・早朝・深夜の訪問に対する加算があります。時間帯の定義は介護保険と同様ですが、医療保険は支給限度額管理の対象外である点が大きな違いです。

比較項目介護保険医療保険
早朝時間帯6:00〜8:00(+25%)6:00〜8:00(+25%)
夜間時間帯18:00〜22:00(+25%)18:00〜22:00(+25%)
深夜時間帯22:00〜翌6:00(+50%)22:00〜翌6:00(+50%)
支給限度額管理対象内対象外
算定単位基本単位数に対して割合加算基本点数に対して割合加算

よくある質問(FAQ)

計画訪問が偶然夜間時間帯にかかってしまった場合、算定できますか?

訪問看護計画書に夜間帯の訪問が計画されており、その計画どおりに訪問した場合は算定できます。利用者・家族の同意のもとで計画に位置づけられた夜間訪問であれば、「利用者等の求めに応じた訪問」と解されます。ただし「事業所の都合で夜間になった」場合は算定できませんので、計画への位置づけを明確にしておくことが重要です。

21:50に訪問を開始し、22:20に終了した場合、何加算になりますか?

訪問開始時刻が21:50(22:00前)のため、「夜間」(18:00〜22:00)の時間帯に該当します。したがって夜間・早朝加算(+25/100)が適用されます。訪問が22:00をまたいでいても、開始時刻が基準となります。

夜間・早朝加算と深夜加算は同じ月に両方算定できますか?

はい、同じ月内に夜間・早朝加算と深夜加算をそれぞれ算定することは可能です。それぞれの時間帯に対応した訪問ごとに、該当する加算を算定します。ただし、1回の訪問に対して夜間・早朝加算と深夜加算を同時に算定することはできません。

准看護師が深夜に訪問した場合、単位数の計算はどうなりますか?

准看護師が訪問した場合は基本単位数が×98/100(2%減算)になります。深夜加算(+50/100)はこの減算後の単位数に対して計算します。例:30分以上1時間未満の場合、821単位×98/100=803単位(端数切り捨て)が基本となり、803単位×50/100=401単位を加えた合計1,204単位が算定単位数となります。

1日に2回訪問し、1回目が通常時間帯・2回目が深夜だった場合、両方に加算できますか?

1日に2回の訪問がある場合、それぞれの訪問の開始時刻に応じた加算を算定できます。ただし、介護保険では1日に2回を超えて訪問看護を実施する場合は×90/100の減算が適用されますので、合わせて確認が必要です。

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算定した加算を正しく請求するために、介護給付費の請求の基本(国保連への請求の流れ・返戻・過誤申立て)も確認しておきましょう。

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夜間・早朝加算・深夜加算まとめ図解:時間帯・割合・計算方法

まとめ|夜間・深夜加算は「時間区分の正確な把握」と「求めに応じた訪問」が基本

夜間・早朝加算と深夜加算は、訪問看護ステーションが夜間・深夜帯に対応する体制を評価する重要な加算です。時間区分の正確な把握と算定要件の遵守が、適正請求のカギになります。

この記事のまとめ
  • 夜間・早朝加算の対象:早朝(6:00〜8:00)と夜間(18:00〜22:00)→ 基本単位数の+25%
  • 深夜加算の対象:深夜(22:00〜翌6:00)→ 基本単位数の+50%
  • 適用時間帯は「訪問開始時刻」で判断する(訪問が時間帯をまたいでも開始時刻が基準)
  • 算定要件は「利用者・家族等の求めに応じた訪問」であること
  • 事業所の都合による時間帯変更では算定不可
  • 支給限度額管理の対象のため、ケアマネジャーへの情報共有が必要

深夜帯の訪問は単位数が大きくなる分、記録の正確さと請求の精度がより重要になります。訪問時刻・依頼の経緯をきちんと残しておきましょう。

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