「訪問診療の先生と情報共有はしているが、在宅患者連携指導加算を算定できているか自信がない」「令和8年度に新しくできたICT系の加算とは何が違うのか分からない」——医療保険の在宅患者連携指導加算について、こうした疑問を持つ訪問看護ステーションの経営者・管理者は少なくありません。
この記事では、在宅患者連携指導加算(医療保険)の算定要件・料金・留意点を整理し、令和8年度診療報酬改定で新設された「訪問看護医療情報連携加算」との違い、「特別の関係」がある場合の注意点まで現役看護師の視点で解説します。
- 在宅患者連携指導加算とはどんな加算か
- 算定要件(情報共有の相手先・回数・指導の実施)
- 料金と留意点
- 令和8年度新設「訪問看護医療情報連携加算」との違い
- 「特別の関係」がある場合に注意すべき点
目次
在宅患者連携指導加算とは?【医療保険】制度の概要
在宅患者連携指導加算とは、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、利用者またはその家族等の同意を得たうえで、訪問診療実施機関・歯科訪問診療実施機関・訪問薬剤管理指導実施薬局のいずれかと文書等(電子メール・ファクシミリでも可)により情報共有を行い、共有された情報を踏まえて療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り3,000円を加算できる制度です(確度高・厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」区分番号02注8で確認済み)。
在宅で療養しながら通院が困難な利用者に対して、訪問看護と訪問診療・訪問薬剤管理指導がそれぞれ個別に動くのではなく、情報を共有しながら連携して支援する体制を評価する加算と位置づけられています。

「情報を送っただけ」「受け取っただけ」では算定要件を満たしません。共有された情報をふまえて、実際に利用者やご家族への指導に反映させることまでがセットだと考えてください。
在宅患者連携指導加算の算定要件
算定要件を整理すると、次のとおりです。
- 利用者またはその家族等の同意を得ていること
- 月2回以上、医療関係職種間で文書等(電子メール・ファクシミリ可)により診療情報を共有していること
- 共有された情報を踏まえて、利用者またはその家族等へ療養上必要な指導を行っていること
- 看護師等(准看護師を除く)が対応していること
情報共有の相手先
情報共有の相手先として想定されているのは、次のいずれかです。
- 訪問診療を実施している保険医療機関
- 歯科訪問診療を実施している保険医療機関
- 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局
「単なる情報交換」では算定できない
厚生労働省の告示・通知の趣旨として、単に医療関係職種間で利用者に関する診療情報を交換しただけの場合は算定できないとされています。他職種から情報提供を受けた場合は、できる限り速やかに利用者またはその家族等への指導等に反映させることが求められます。訪問看護記録書には、共有した情報の内容と、それを踏まえてどのような指導を行ったかを具体的に記載しておく必要があります。
例えば、訪問診療医から「今月から利尿薬の投与量を増量した」という情報提供を受けた場合、それを受け取った記録だけでは算定要件を満たしません。その情報を踏まえて、利用者に対して「体重の変化や浮腫の有無をより注意深く観察し、変化があればすぐに連絡してほしい」といった具体的な指導を行い、その指導内容までを記録に残して初めて要件を満たすことになります。単発の情報共有で終わらせず、月2回以上のやり取りを積み重ねていく運用が求められる点も見落とされがちなポイントです。

在宅患者連携指導加算の料金と留意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 3,000円(確度高・厚生労働省告示で確認済み) |
| 算定頻度 | 月1回限り |
| 担当職種 | 看護師等(准看護師を除く) |
| 複数ステーションでの算定 | 要件を満たせば複数の訪問看護ステーションでそれぞれ算定可能とされています(確度中) |
同一月内に複数の連携先(訪問診療機関・歯科訪問診療機関・訪問薬剤管理指導実施薬局)と情報共有を行った場合でも、加算できるのは月1回のみです。連携先ごとに複数回算定できるわけではない点に注意してください。
令和8年度新設「訪問看護医療情報連携加算」との違い
令和8年度診療報酬改定では、在宅患者連携指導加算とは別に、訪問看護医療情報連携加算(月1回1,000円)が新設されました。他の保険医療機関等の関係職種がICTを用いて記録した利用者の診療情報等を活用したうえで、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に評価される加算です(確度高・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」で確認済み)。
| 項目 | 在宅患者連携指導加算 | 訪問看護医療情報連携加算(新設) |
|---|---|---|
| 情報共有の方法 | 文書等(電子メール・ファクシミリ可) | ICTを用いた記録の活用が前提 |
| 料金 | 月1回3,000円 | 月1回1,000円 |
| 算定要件の中心 | 共有情報を踏まえた指導の実施 | 過去90日以内にICTで記録された情報を1つ以上取得したうえでの計画的管理 |
| 施設基準 | 特段の届出要件の記載なし | 連携機関5以上、ICTでの一元管理体制、ウェブサイト掲載等の要件あり |
| 経過措置 | 該当なし | 令和8年9月30日までウェブサイト掲載基準を満たすものとみなす経過措置あり |
両加算を同一月に併算定できるかどうかについては、参照した厚生労働省資料の範囲では明記されていませんでした。実際の運用にあたっては、管轄の地方厚生(支)局や最新の疑義解釈で確認してください。

「特別の関係」がある場合の算定への影響
連携先の訪問診療実施機関やその他の医療機関が、自ステーションと「特別の関係」にある場合、算定できる加算や併算定の可否に制限がかかることがあります。在宅患者連携指導加算のように他機関との連携を前提とする加算では、連携先との資本関係・人的関係がないかを事前に確認しておくことが望ましいといえます。
特に、同一法人グループ内に訪問診療クリニックと訪問看護ステーションを併設しているケースでは、経営者・管理者が意識しないまま「特別の関係」に該当してしまっていることがあります。連携指導加算を含め、他機関との連携を前提とする加算を算定する前には、グループ内の資本関係・役員構成を一度整理しておくと安心です。
算定でつまずきやすい実務ポイント
- 情報共有の記録を残すいつ、誰と、どんな内容の情報を共有したかを訪問看護記録書に明記します。
- 指導内容との対応関係を明確にする共有された情報を踏まえてどのような指導を行ったかを、情報共有の記録と紐づけて記載します。
- 月2回以上の共有回数を満たしているか確認する単発の情報交換1回だけでは要件を満たさないため、月内の共有回数を管理します。
- 准看護師のみでの対応になっていないか確認する算定できるのは准看護師を除く看護師等であるため、担当者の資格を確認します。
よくある質問
在宅患者連携指導加算は誰が算定できますか?
訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、利用者またはその家族等の同意を得て、訪問診療実施機関等と情報共有し、それを踏まえた指導を行った場合に算定できます。
在宅患者連携指導加算は月に何回算定できますか?
月1回に限り算定できます。月内に複数の連携先と情報共有を行った場合でも、加算できる回数は月1回です。
単に情報を交換しただけでも算定できますか?
算定できません。共有された情報を踏まえて、利用者またはその家族等へ療養上必要な指導を実際に行っていることが要件です。
訪問看護医療情報連携加算とは何が違いますか?
在宅患者連携指導加算は文書等による情報共有と指導の実施を評価する加算(月1回3,000円)であるのに対し、訪問看護医療情報連携加算は令和8年度診療報酬改定で新設された、ICTを用いた記録の活用を前提とする加算(月1回1,000円)です。施設基準や算定要件の中心となる考え方も異なります。
複数の訪問看護ステーションが同じ利用者について算定できますか?
各ステーションがそれぞれ算定要件を満たしていれば、複数の訪問看護ステーションで算定できるとされています。ただし個別の事例については、管轄の地方厚生(支)局で確認することをおすすめします。
准看護師が情報共有や指導を担当した場合はどうなりますか?
在宅患者連携指導加算は「看護師等(准看護師を除く)」が対象とされているため、准看護師が単独で対応した場合は算定要件を満たしません。保健師・助産師・看護師が対応する必要があります。

まとめ|在宅患者連携指導加算は「情報共有」と「指導への反映」がセット
在宅患者連携指導加算は、訪問診療実施機関等と月2回以上の情報共有を行い、その情報を踏まえて利用者への指導を実際に行った場合に月1回3,000円を算定できる制度です。単なる情報交換だけでは算定要件を満たさない点、准看護師は対象外である点に注意が必要です。令和8年度診療報酬改定で新設された訪問看護医療情報連携加算とは、情報共有の方法(文書ベースかICTベースか)や料金が異なる別制度である点も押さえておきましょう。
- 在宅患者連携指導加算は月1回3,000円、担当は准看護師を除く看護師等
- 情報共有の相手先は訪問診療実施機関・歯科訪問診療実施機関・訪問薬剤管理指導実施薬局
- 単なる情報交換のみでは算定できず、指導への反映が必須
- 令和8年度新設の訪問看護医療情報連携加算(月1回1,000円・ICT前提)とは別制度
- 連携先との「特別の関係」の有無も算定への影響として確認しておくべき
訪問診療・訪問薬剤管理指導との連携が発生する利用者については、情報共有の記録と指導内容の記録をセットで残す習慣をつけておきましょう。



















