
目次
症例紹介

フィジカルアセスメントを行い、緊急性を判断し、適切な対処に繋げましょう
フィジカルアセスメントの原則
「いつもとなにか違うな」という感覚は大事です。
その感覚を、ABCD評価やショック徴候などの枠組みを用いて状況を見直すと、見落としがなく適切に対処ができます。

緊急を要するか否かは、ABCDEアプローチを用いましょう。
A:気道
- 声が出ていたことから、発声は問題ないと考えられます。
- 胸も上がっているので、胸郭の上がりも問題ありません。
- 気道狭窄音も吸気性連続性副雑音や嗄声がないため異常なしと考えます。吸気性連続性副雑音とは、ストライダーといわれる吸った時の詰まったような音のことです。
以上のことから、気道は開通していると判断できます。
B:呼吸
- 呼吸回数は25回/分とだいぶ速いです。
- 呼吸努力は呼吸補助筋である肩の筋肉を使って呼吸しているので、呼吸努力があると判断します。
- 肺音は全体に水疱音があるため、肺が間質に滲出液がたまっている可能性があります。
- SPO2は92%で少し低酸素な状態です。
以上のことから、低酸素状態で肺水腫の可能性を検討します。
C:血圧
- 血圧は100を切っています。90以上あれば大丈夫と思われる方もいるかもしれませんが、100を切っていれば循環は悪いと考えられます。
- 脈拍は100回/分。
- CRT(爪床充満時間)とは、親指の爪を圧迫して白くなった爪が何秒でピンク色に戻るのかの時間のことで、2秒未満の場合異常はありませんが、今回は2.5秒なので抹消循環が悪いと判断できます。
- 尿量も半日に1回なので、尿量が減少しています。併せて食事・水分などのinの状態を問診しましょう。
- 末梢は冷たく、冷や汗があります。
以上のことから、ショックの徴候にひっかかっていることがわかりショック状態であると考えられます。発熱していることから敗血症も疑われ、それを表す臓器不全スコアもあるので、そちらも併せてみていきます。
D:意識
- 時間が言えないことから、JCSは2と判断します。
- GCSは開眼しているのでE4、時間が言えないのでV4、指示には従えるのでM6となります。
- 麻痺はなく、瞳孔の左右差なく、縮瞳も散大もしていません。
以上のことからレベルは下がっているが、麻痺、瞳孔所見に異常はないので、今のことろは緊急に対応する脳の障害はないと考えられます。
E:体温
体温は38.5℃で高体温です。
ショックの5P
- 皮膚・顔面蒼白はCRTが該当します。チアノーゼが出ているかも観察します。
- 冷汗も出ています。
- 意識レベル低下しているので、精神的虚脱も該当します。
- 脈拍が速いことから、触知困難ということではありませんが該当すると考えます。
- 呼吸回数は22回/分以上であるため、呼吸不全にも該当します。
1個だけでも認めたらショックの可能性が高いので、ショック状態にあると考えられます。
網状皮斑
網状皮斑ですが下の写真のように、膝小僧をみたとき、大腿部まで広がったり、膝を越えて周辺にまだら模様が広がっていたら、そこで重症度がわかるので併せて観察してください。
敗血症の新診断(2016)
感染疑いに加えて、上記の呼吸、血圧、精神状態の変化の症状があれば注意しましょう。
事例の患者もこれらの症状が該当しているので、敗血症が疑われます。
意識の評価 JCSとGCS
Japan Coma Scale:ジャパン・コーマ・スケール
- 数値が大きくなると重症
- 例:「100」、「Ⅲ−100」と表現
今回の症例ではⅠ−2です。
Glasgow Coma Scale:グラスゴー・コーマ・スケール
- 外傷性脳障害の評価に長けている
- 敗血症評価にも使用されている
- 一点でも下がったら要注意!!
- 8点以下:重症
敗血症疑いの際の治療
心拍出量の3要素
- 敗血症の場合、心拍出量は正常です
- 循環血液量は低下します。炎症が起こった際、血管の中の血漿成分が外に漏れ出てしまいます。これは菌を排除するため、白血球や好中球を感染部に送るためです。感染に対しては効果的ですが、血液量は減ってしまいます。
- 血管抵抗は異常に拡張します。血管拡張物質が全身にまわるために生じます。
代償として、頻脈になります。
血管が拡張した際、抹消は温かくなります(ウォームショック)が、その後末梢は冷たくなります(コールドショック)。抹消冷感の方が重症度が高いと言われています。
対応法としては、血液量が不足するため、生理食塩液等の大量の輸液を入れ、拡張した血管を収縮するため、昇圧剤を投与します。また、菌の原因をたたくため抗生剤を投与します。
敗血症を疑ったときの3つの行動
①声をかけて意識を確認しよう
→傾眠だけでなく、興奮も見逃さない
②脈に触れ、速さと血圧予測
→頸動脈60mmHg以上、大腿動脈70mmHg以上、橈骨動脈80mmHg以上
③呼吸数をまねして数えよう
→早いか遅いか、規則的かなどの異常に気付きやすい
- 十分な輸液と昇圧剤
- 感染巣のコントロール
- 迅速な抗菌薬投与(その前に培養)

在宅でこのような患者さんがいたら、早急に病院に搬送して、適切な治療に繋げましょう
★抗菌薬の投与が1時間遅れるごとに、死亡率が5%程増えると言われています
まとめ
症例のまとめ
フィジカルアセスメントのまとめ
①看護師の行うフィジカルアセスメントはヘルスアセスメントに含まれる
②患者の異常は症状や徴候となって表れる
③ABCDEアプローチなどの枠組みを用いて、緊急度を判断する
④よく遭遇する症状や臓器別の病態治療を把握する
⑤患者にとって、最良が何かを常に考える

以上、フィジカルアセスメントの解説でした
























今回のテーマは「フィジカルアセスメント まとめ編」です。
フィジカルアセスメントの基礎、呼吸、循環、意識のおさらいをしながら事例を用いながら検討していきます。