訪問看護師と病院看護師の違いを5つ紹介します!

 

「あなたは普通の看護師さんとどう違うの?特別な資格があるの?」

訪問看護の利用者さんに、こう聞かれることがよくあります。

病院やクリニックで働く看護師しか知らない利用者さんにとって、訪問看護師は今まで接してきた看護師と全く違う存在だと思われるようです。

訪問看護師として働くために、「看護師国家資格」以外の特別な資格は必要ありません。

病院看護師と同じ資格があれば訪問看護師として働くことができます。

一方で、訪問看護師と病院看護師では働き方や仕事の内容が全く異なります。

現在、病院で働いている看護師さんや訪問看護への転職を考えている看護師さんの中にも、訪問看護師と病院で働く看護師の違いが気になっている方がいるのではないでしょうか。

この記事では、訪問看護師と病院看護師の違いを6つ紹介します。

 

訪問看護師と病院看護師の違い

看護を提供する場所が違う

まずは、1番分かりやすい違いから解説します。

病院看護師は病院で看護を提供します。

訪問看護師は利用者さんの自宅で看護を提供します。

看護を提供する場所が異なることで、様々な違いが生じます。

病院には看護技術を提供するための専用の物品が豊富にありますが、自宅にはあまりありません。

訪問看護では、基本的に利用者さんのお宅にあるものを使用して看護を提供します。

清潔ケアや傷の処置などが必要になった時も、専用の物品を全て用意してもらうことは利用者さんの負担が大きくなります。

安価に準備できるものを提案したり、自宅にあるもので代用して看護を提供できるよう工夫することが必要です。

また、病院看護師は、患者さんを病院で迎える立場ですが、訪問看護師は利用者さんの自宅に出向きお邪魔させてもらう立場です。

訪問看護師は、利用者さんに受け入れてもらえなければ、看護を提供することはできません。

適切な看護を行うことに加えて、利用者さんに安心して受け入れてもらえるようなコミュニケーションや技術も求められます。

 

 

看護目標が違う

訪問看護師と病院看護師では、看護の目標の基準が異なります

病院では、疾患の治療や病状が回復することが優先されます。

そのため、治療が順調に進み、症状が改善することが看護目標になります。

一方で、訪問看護は、病気や障害を持ちながらも自宅で生活することを希望している人を支援します。

そのため、疾患を管理するだけでなく、疾患と付き合いながら自宅で生活をしていくことが目標になります。

 

必要とされる看護が違う

看護の目標が異なると、必要とされる看護も異なります。

病院看護では、疾患の専門的な知識、治療介助に関する技術や刻々と変化する状況の中で判断をする能力が必要です。

一方で、訪問看護では、疾患を限定しない幅広い知識や、普段の生活の様子から変化を逃さず観察する能力が必要です。

例えば、消化器外科病棟で働く看護師であれば、消化器疾患や治療に関する専門的な知識や手術後の全身状態や呼吸状態の管理に関する知識が重要です。

手術後の刻々と変わる状況の中で、患者さんの状態を瞬時に判断する能力も求められます。

訪問看護の現場でも、全身状態や呼吸状態の観察は必要ですが、入院している患者さんのようにバイタルサインが急激に変動するような方は多くありません。

バイタルサインだけではなく、家の中での動作の様子や、以前と比べ生活の様子で変わっていることはないか、そんな視点から状態をアセスメントをします。

また、疾患管理のために、利用者さんの行動を制限したり、生活の変更を促すだけではなく、利用者さんの意向や生活の楽しみを尊重し、価値観を受け入れた上で支援をすることが大切です。

 

 

働き方が違う

病院看護師は、日勤と夜勤があります。

訪問看護師は基本的に夜勤はありませんが、オンコール対応があります。

オンコールとは、訪問看護ステーションの営業が終了している時間も利用者さんからの電話に対応し、状態によって訪問する体制のことを言います。

オンコール当番の日は、勤務終了後は自宅へ帰宅しますが、緊急電話にコールがあったときは、電話対応をして必要時であれば夜間でも訪問をします。

病院の夜勤勤務後は、基本的に休みになりますが、オンコールの場合は翌日も通常通り出勤をします。

訪問看護師は基本的に日中の決まった時間に訪問するため、利用者さんの夜間の過ごし方は実際には分かりません。

夜間の様子を直接観察し、状態に合った看護を提供することは病院看護師にしかできない関わりです。

 

 

連携する人の範囲が違う

在宅でも病院でも、他職種と連携をする機会が多くあります。

病院看護師は院内の他職種と連携をすることが大半ですが、訪問看護師は他の事業所の他職種と連携するため、連携をする範囲が広くなります。

訪問看護師が連携をする先として、以下のような職種が挙げられます。

 

・居宅介護施設のケアマネージャー

・介護事業所の訪問介護職員

・病院やクリニックの医師、看護師

・薬局の薬剤師

・デイサービスのスタッフ

・保健所の保健師

・市役所の職員

・利用者さんのご家族 など

 

職種によって、働き方が異なるため連携、連絡の取り方も様々です。

また、医療や看護に関する専門性の高い内容は誰でも理解できるように言い換えるなど、伝えるための工夫が必要です。

 

デイ連携

 

まとめ

訪問看護師と病院看護師の違いを5つ紹介しました。

どちらにも、良い点もあれば大変な点もあります

利用者さんを支えるために、病院看護師と訪問看護師の連携が必要になることも多くあります。

その時に、違いを知っていれば、お互いの立場を尊重しながら関わることできます。

また、病院看護師から訪問看護師へ転職した際は、必ず病院勤務時の知識を生かすことができます。

訪問看護師から病院看護師に転職する際も同様です。

私は、病院勤務時に、病棟から入退院支援部門に異動し、その後訪問看護に転職しました。

訪問看護を経験することで、病院から退院する際の病院で行う支援の必要性を改めて理解することが出来ています。

どんな経験も糧になりますね。

この記事が皆様の可能性を広げるきっかけになれたら幸いです。

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ABOUT US
清水 千夏ライター
東京都在住/看護師・保健師/ 卒業後大学病院9年勤務 その後、派遣看護師としてクリニックやデイサービス、訪問入浴などを経験。 現在は訪問看護ステーションの立ち上げメンバーとして奮闘中です。