病院や施設と異なり、訪問看護は1人で利用者さんと向き合わなければいけない状況になるので、誰しもが不安になると思います。
また、訪問看護に興味がある方も年々増加していますが、訪問看護の業務はどんな事をするのだろうと疑問に思う方も多いと思います。
今回は、実際に訪問看護ステーションで働いて感じた、訪問看護で働く強みと弱みを解説します。
私は理学療法士なので、主にリハビリ職目線でお伝えしたいと思います。
今から訪問看護に就職する事を検討されている方々の参考になれば幸いです。
目次
訪問看護の強みは?
1.土日祝の休みがある
これは事業所によりますが、病院や施設と違い土日祝が休日と指定されているステーションが多いです。
病院や施設はシフト制で、病院によって365日リハビリを行う所もあります。
しかし、訪問看護は平日勤務もしくは月曜日~土曜日までと規則的に働く事ができます。
必要時の緊急訪問やオンコール待機など、訪問看護独自の対応はありますが、土日祝はご家族がお休みのためサービスを必要とされる方は比較的少ないです。
お子さんがいる方や親の介護がある方など、家庭の事情がある方にとって働きやすい点は、訪問看護で働く強みと言えます。
また、土日祝には研修会や学会などが開催される事が多いので、自己研鑽する機会を設ける事もできます。
2.コミュニケーション力や連携力が向上する
訪問看護はいろいろな事業所や行政、医療機関などとやりとりをする事が多く、電話での連絡や直接会って話す機会が病院に比べ増えます。
利用者さんや家族さんだけでなく、他職種とやりとりするため、医療用語でのやりとりでは理解できない事もあるので、噛み砕いた内容や分かりやすい内容で伝える能力も要します。
そして、いろんな人と話すためコミュニケーション能力も上がります。
相槌の仕方やその人に合った対応の方法などが身につくようになります。
実際に、病院勤務の時私はそこまで深く考えず患者さんとコミュニケーションをとっていましたが、訪問看護で働いて、あらゆる事業所や職種の方たちと関わるようになり、自分のコミュニケーションの取り方も見直す事ができ、当時とは大きく変わったと感じられます。
いかに利用者さんや家族さんに寄り添った対応をするかで、信頼度も異なります。
失言や態度、言葉遣い一つで信頼を失い、担当変更を依頼される事もある世界でもあります。
技術や知識ももちろん大切ですが、コミュニケーションや連携は利用者さんと関わる上でそれ以上に重要なポイントと言えます。
3.さまざまな技術や知識を身につける事ができる
訪問看護はリハビリのみでなく、看護技術の名称や方法、疾患の特徴や薬の知識を理解しなければいけません。
リハビリ職は手技や動作指導など身体の使い方や骨格筋の作用に詳しいですが、医療的ケアや医療処置に使用する材料や器具の事は養成校で学ぶ機会がほとんどありません。
訪問看護では、看護師が実際に行っている処置場面や物品を見る事ができ、名称や使い方を指導して頂ける環境が整っています。
病院で直接看護師から指導を受ける事はなかなか厳しいため、より近くで学ぶ事ができる訪問看護は非常にありがたいです。
4.さまざまな年代の支援に携われる
訪問看護は主に在宅での医療に携わるため、高齢者のみならず、小児で医療的ケアの支援を要する方への訪問も行っています。
このように幅広い年代への訪問が行える事も訪問看護で働く強みです。
高齢者と小児では、考え方や関わり方が大きく異なります。
『余生をどのように過ごすか、自分らしく生活するにはどうするべきか』
『これからの成長にどう携わっていくか』
利用者さんを担当する場合、支援に関する法律や制度を知っておくことも重要です。
これらの制度を把握し利用者さんに周知する事で、あらゆる負担を減らす事が可能となります。
訪問看護の弱みは?
1.オンコール対応がある
夜勤がないことは上記で示しましたが、訪問看護独自のオンコールという対応があります。
緊急時に備えて自宅で待機する勤務形態の事を言いますが、当番時は緊張感がある事や不規則な生活になる事もあり、ストレスに感じる方も多いようです。
オンコールを対応していない事業所を選ぶ方もいらっしゃるようですが、最近ではほとんどの事業所で取り組んでおります。
オンコール対応できる看護師が少ないと一部にかかる負担が大きいので、弱みとして受け取られる事があります。
オンコール当番の看護師の負担を軽減するような対策として看護師だけでなく、リハビリスタッフがサブのオンコールを対応する事業所もあり、転倒時や相談等を行う事があります。
また、事案によっては電話相談で終了するケースもあります。
オンコール対応は、夜間の勤務が難しい方にとっては働く上での弱みになるとも言えますが、オンコールを経験することで訪問看護師として着実にスキルアップできたり、困っている利用者さんの力になれた時はこの上ない喜びを感じることもあります。
一概に弱みとは言い切れませんが、就職希望される事業所がどのような体制をとっているのかをしっかり確認し、納得した上で入職を決めれると良いと思います。
2.車での移動が多く運転時間が長い
訪問看護は、地域によって差はありますが基本的に車での移動が主体となっています。
事業所から移動時間30分圏内を訪問エリアと指定されている事業所も多く、1日の訪問件数が多いとその分移動距離も多くなります。
運転が苦手な人にとっては、利用者さんの処置やリハビリ等に加え、車の運転もしなければならないため、訪問看護で働く際の弱みと捉える方もいらっしゃるかもしれません。
2人体制で移動する場合は交代で運転して負担を半減する事ができます。
3.専門的な教育体制が整っていない
病院では新人スタッフと中堅・ベテランスタッフとの教育体制がシステムとして導入されていますが、訪問看護ではシステムとして導入されていない事業所も多々あります。
特にリハビリ職は比較的少なく、リハビリ職が在籍していない事業所もあるため、学校卒業後に訪問看護へ入社する事で、実技や知識、考え方などの専門分野を学ぶ機会が病院に比べ少なくなります。
外部の勉強会や研修会もあるので、そこで手技や知識を習得する事はできますが、自分から動いて情報収集や他事業所のスタッフとの繋がりを持っていかなければいけません。
自分自身で学びたいことや情報量を増やしたいことを探すのも大切ですが、新人職員にとって先輩から直接教えてもらえる環境は心強いです。
教育体制が弱みと言える訪問看護ステーションもあるかもしれませんが、最近では、OJT(On The Job Training)を導入し、新人職員の教育体制を整えているステーションもあります。
新人職員が不安に思っている事や今の課題、そしてどのような研修会に参加すると良いのかをアドバイスして頂けます。
私が所属している事業所でもOJTを取り組んでおり、指導者・管理者を交えた面談を半年~1年にかけて行っており、その時期の課題に適した研修会を紹介して頂く事があります。
このように苦手とする分野を補い合って弱みを強みに変えていく取り組みも重要となります。
まとめ
今回は訪問看護で働く強み・弱みの点をリハビリ職目線でご紹介しました。
リハビリ職は看護師と同様な業務が行えないため、若干看護師の強み・弱みとは異なるかもしれません。
まずは、今後訪問看護を続けていく上で自身のライフスタイルに合っている事業所を選択できるよう、見学や説明を聞いて事業所の特徴を知る事が大切です。
ステーションによっては入社前に実際の訪問現場に同行訪問へ行ったり、事業所内を見学したり、スタッフと交流ができる所もあります。
また、ダブルワークや週1勤務を承諾しているステーションもあり、個人個人の求めている働き方に合わせて勤務できるので病院に比べとても融通が効く印象があります。
訪問看護で働く事を検討している方は、実際に見学して現場の雰囲気やスタッフの温かさに触れてみてください。
在宅医療を支えるスタッフの一員になってみましょう!