訪問看護(リハビリ)は基本利用者さんのお宅に伺いサービスを提供しています。
デイサービスや病院と違い、利用者さんの生活スペースに入り対応する事になるので、利用者さんとの関係性作りは非常に重要です。
臨床経験上、訪問看護でリハビリを希望される利用者さんには3つの特徴があると思います。
今回は、利用者さんの特徴をお伝えし、良好な関係作りや良質なサービス提供に繋がればと考えております。
目次
訪問看護(リハビリ)の利用者の特徴3選
基礎疾患を抱えている
訪問看護(リハビリ)は病気や障がいがある方に対し、医療的ケアやリハビリテーション等の在宅生活に必要なサービスを提供し、住み慣れた地域での生活を支援しています。
私たちが携わる利用者さんは基礎疾患を抱えている方がほとんどです。
基礎疾患の中で、利用者傷病別内訳は以下の通りとなっています。
- 脳血管疾患(脳卒中、脳出血など)
- 認知症(アルツハイマー病も含む)
- 悪性新生物(悪性腫瘍など)
- 筋肉骨格系(骨粗鬆症、骨折、変形性関節症、廃用症候群など)
- 統合失調症
また、高齢者の割合が多く利用者さんの平均年齢は82歳といわれています。
基礎疾患を抱えていると、健康状態や身体機能面、活動状況が衰えてしまう傾向があります。
『今までは出来ていたのに・・・。』
『前はこんなに辛くなかったのに。家で生活を送る事がどんどん大変になってきた。』
このように、悲観的な思いを抱きながら生活を送る利用者さんと出会う事が比較的多いです。
残りの人生をどのように送りたいか、何十年も過ごされてきた在宅で生活を続けるにはどうしたら良いか、利用者さん・ご家族の思いを尊重し、専門職として支援する事ができるのが訪問看護(リハビリ)の強みです。
公益財団法人日本訪問看護財団 『訪問看護の現状とこれから 2022年版』
幅広い年齢層、そして様々な疾患を抱えている
訪問看護(リハビリ)は新生児から高齢者まで、年齢等を問わず医療的ケアやリハビリを必要とする方々が訪問サービスの対象となります。
最近では先天性疾患や難病を患い、吸痰・胃瘻の管理・経管栄養などを要する「医療的ケア児」への小児訪問看護のニーズが高まっています。
また、成長に伴い身体機能の向上や変形・拘縮の進行予防、発語や発達の促進のため、リハビリの早期介入も重要視されています。
退院後、在宅に戻られたご家族は『どのように関わっていけばいいんだろう。ちゃんと育てていけるのか。』と不安な想いを抱えている方が多くいらっしゃいます。
まずは在宅で不安なく過ごされるために、以下の点をリハビリ職としてお伝えする事が大きな役割です。
- 必要な道具(ベッドやバギー)の選定
- ベッド上でのポジショニングの指導
- 遊びの中での身体・認知機能の向上
もちろんご家族の気持ちや考えを傾聴し、安心した時間を過ごせるような関係性作りも必要です。
訪問看護(リハビリ)だけでなく、医療機関や障害福祉サービス、教育機関など様々な機関と連携しながら支援していく事をしっかり伝え、自分たちだけで抱え込んでいないか訪問時の様子をしっかり観察する事も重要です。
小児のみならず、高齢者へのニーズも高く、難病や進行性疾患を患っている方への訪問看護(リハビリ)も重要をなっています。
進行する症状や身体機能の変化、生活する環境の形、余生の過ごし方など、利用者さんやご家族が苦悩されるポイントを一緒に考え支援していく事も在宅の支援者の役割です。
サービス提供にあたり、介護保険・医療保険どちらでの介入かを把握しておく事も大切な事です。
難病であっても医療保険で介入する事ができないケースもあるので、事前に厚生労働大臣が定める疾病を確認しましょう。
こちらの記事は非常に分かりやすく説明されているので、参考にしてください。
外での活動や通所サービスの利用に抵抗がある
日頃、ケアマネージャーや相談員から依頼がある際に、以下のような内容で相談を受ける事があります。
「以前のように外で活動する事に自信がなくなってしまったようで・・・。」
「活動量が減少しており、外に出る機会として通所サービスを勧めるも拒否されてしまうんです。」
訪問看護(リハビリ)を利用されている方の多くが高齢者の方で、どうしても在宅から出る意欲が低下されてしまう傾向があります。
活動する事や人と関わる事に抵抗感を示す方が多く、ご家族や支援者もお手上げ状態になっている場面が見受けられます。
実際、私も訪問介入時にケアマネージャーやご家族から『デイサービスに行けるよう体力と意欲をつけてほしい。』といった要望を受ける事があります。
まずは利用者さんを知る事が大事です。
- 利用者さんの生活歴を把握
- 過去に興味・関心があった趣味や余暇活動はあったか
- 過去に勤めていた職業は何か
- 知人や近所の方との交友関係はあるか(交友があると同じデイサービスに行くきっかけにもなるかも・・・)
ケアマネージャーも利用者さんの生活歴を全て把握しているかというとなかなか難しいです。
そこでリハビリ職の強みでもある活動・個人因子・環境因子を把握する時です。
以前紹介した興味・関心チェックシートを活用する等して利用者さんを把握していくと、活動の提供材料を見つけたり、利用者さんが好む活動(麻雀や園芸、外出など)を強みとするデイサービスを勧める事に繋がります。
まとめ
今回は訪問看護(リハビリ)サービスを受ける利用者さんの特徴を挙げさせて頂きました。
実際の現場では、様々な特徴がある利用者さんがいらっしゃいます。
在宅という利用者さんの生活スペースに入るため、病院や施設と異なる点は多いと思います。
看護・リハビリのサービス提供するにあたり、利用者さん・ご家族の想いを優先し、住み慣れた住宅でどのように生活を送ると良いのか常に考えています。
サービス提供時に、利用者さんの特徴を把握し、関係性が良好に築き上げるために活用できる一つの参考資料として見て頂けると幸いです。