訪問看護のリハビリで活用できる評価表を紹介します

 

なんで訪問看護のリハビリで評価する事が大切なの?

 

訪問看護でリハビリを希望される利用者さんは各々が叶えたい目標をもって取り組まれていると思います。

例えば「足腰を鍛えて以前のように散歩をしたい。」「家族と電車に乗って〇〇温泉に行きたい。」「毎日料理を1品でも作って家族に食べさせてあげたい。」等々…。

目標を叶えるために、リハビリ職は“利用者さんを知るためのツール”として評価表を活用します。

 

そしてその結果をフィードバックし、目標を達成するために必要なリハビリ・環境調整を伝える、このやりとりが信頼関係を築くためにも大切な事です。

 

今回はリハビリ職が日頃臨床で活用している評価表や評価方法を紹介したいと思います。

目標立案に悩まれている方、日々の変化をどのように利用者さんに伝えるべきかを考えている方は参考にして頂けると幸いです。

 

評価表を活用するメリット、注意点は?

評価表を活用するメリット

まず、評価した結果を可視化し日々の変化を分かりやすく知ってもらう事ができます。

評価した結果をグラフや表にしてフィードバックする事で自分の状態を把握する事ができ、状態変化がリハビリのモチベーションに繋がると考えられます。

健康面・心身機能面が在宅生活へどんな影響を与えているのか、日々の変化をより近くで把握できる訪問看護スタッフだからこと評価を活用し経過を追うことができます。

「最初に比べてこんなに良くなったんだね!少し自信がついた。次はこんな事やってみたい。」  こんな言葉をかけられたら嬉しい限りですよね。

 

評価表を活用する際の注意点

評価も適切に使用しなければ信頼関係に亀裂が生じる事もあります。評価内容は各々異なるのでその人に必要な評価表を活用しなければなりません。

”旅行に行く事が目標だから歩行やバランスの評価が必要だけど、関節可動域(ROM)しか評価していない”となると、問題点を挙げる材料が足りず、プログラム立案時に頭を抱える事になってしまいます。必要な評価表の選出に自信がない場合は、他スタッフや上司に相談した上で取り組む事もおススメします。

また何の目的で評価をするのか、結果はどうだったのか、これからどんなリハビリを行うと良いのか等の説明が重要となります。説明が足りないと『リハビリをして欲しいのに何させられているんだろう。』と不審な思いを生じる可能性があります。特にサービス開始時に評価を行なう事が多いので信頼関係が構築されていない時に説明なく評価を行なわないよう注意が必要です。

 

おすすめの4つの評価表を紹介

 

では在宅でのリハビリで活用できる評価表を以下の4つを紹介したいと思います。

リハビリ職のみならず、訪問看護だけあって看護師の方々にも是非実践して頂きたいです。

 

Berg Balance Scale(バーグバランススケール)

 

身体リハビリで介入する際、歩行時のふらつきや転倒を繰り返されているような方を多く目にします。

環境も大切ですが、まず利用者さんの身体能力に問題はないか把握しなければなりません。

その時にこのバランスの評価表を活用できます。これはご高齢の方や脳卒中患者様、その他バランス機能が低下している方に対してバランス機能を評価する指標です。

「姿勢保持」「立ち上がり動作」などの簡単なバランス機能から「ファンクショナルリーチテスト」「タンデム歩行テスト」「片脚立位テスト」などの転倒のリスクを見る事が出来る項目まで計14項目があります。

応用的な動きが多いので実施時に転倒しないよう注意が必要です。また、種類も多く時間がかかる印象があるので全項目実施する事が難しい場合はいくつか厳選して行い、経過を追うようにしても良いと思います。

 

興味・関心チェックシート

 

計画書作成時に目標立案に悩む方も多いと思います。そんな時に興味・関心チェックシートをおススメします。

これは対象者のニーズを把握するための評価用紙になっています。

日常生活動作や家事動作、余暇活動や社会参加などの項目があり、本人様にチェックをつけて頂きこの用紙に基づいて面接を行います。

目標設定時に深掘りが出来るツールになるので多くのリハスタッフが使用している印象があります。

 

 

修正Borgスケール

 

これは安静時や運動時、動作時の呼吸苦や息切れ、疲労感を主観的評価として用いる事の出来る評価表となっています。

「何も感じない」から「非常にきつい」を0~10に0.5を加えた12段階で表す事ができ、血中酸素飽和度にも反映できます。

このスケールには運動時の疲労度を言葉で表現しており、その時の疲労度を確認する事ができます。心不全やCOPDなど呼吸器・心疾患を抱えてる方に使用する事があります。

同じ運動量を行って頂き、心拍数・血中酸素飽和度・修正Borgスケールを比較する事で心機能の全身の持久性の変化を知る事が出来ます。

担当の利用者さんが医療機関に入院された際、連携の一環として情報を伝えると心リハ実施時の参考になると考えられます。

 

MNA(Mini Nutritional Assessment:簡易栄養状態評価表)

 

これは「フレイル」と呼ばれる加齢により心身が衰え低栄養状態を招いた高齢の方に対して行う評価表となっています。

訪問時、「食べたくない。動かないから食欲もない。動く元気がない。」と悪循環になっている方はいませんか?

低栄養状態になると筋肉量が減少し日常生活活動や生活の質の低下、また免疫力が低下し全身状態が悪化する可能性があり、高齢者の低栄養状態は命に係わる重篤な問題と考えられます。

このMNAは血液生化学検査を用いずに評価する事が可能なので簡易的です。24点以上は「栄養障害なし」、17~23.5点は「栄養障害のリスクあり」、17点未満を「栄養障害あり」と判断されます。

MNAを活用し低栄養状態を招くと判断できると、栄養補助食品の提案や食事指導や運動指導がしやすくなるので目標体重や活動量向上に繋げるためにも定期的に評価する事をおすすめします。

 

 

まとめ

 

訪問看護でリハビリの依頼がある場合、身体機能面だけでなく基礎疾患や既往歴を抱えている方が多い印象があります。

運動機能面を評価する事も大切ですが、栄養面・心肺機能面のアセスメントも在宅生活を継続するには必要な所見です。

自身の変化をプラスに捉え、余生を楽しく過ごす事のできる手助けになれるといいなと思います。

 

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ABOUT US
西端 未歩
福井県在住/理学療法士/一般病棟・慢性期病棟での勤務を3年経験し、訪問看護ステーションに転職。現在8年目/営業や広報活動にも取り組んでおり、更なる強みとして自身を高められるよう日々精進中!