「訪問看護報告書って、結局いつまでに、誰に出せばいいの?」訪問看護計画書とセットでよく話題に出る書類ですが、提出先や頻度について意外と曖昧なまま運用している事業所も少なくありません。
この記事では、訪問看護報告書の役割から、提出先・提出期限の有無・望ましい提出頻度まで、公的機関の見解をもとに整理して解説します。ケアマネジャーへの提出義務についてもあわせて確認していきましょう。
- 訪問看護報告書に記載すべき項目
- 訪問看護報告書は誰に提出する義務があるのか
- 提出期限は法令で決まっているのか
- 実務上望ましい提出頻度・タイミングの目安
- 訪問看護計画書との違いと役割分担
目次
訪問看護報告書とは?記載する内容
訪問看護報告書とは、訪問看護指示書を交付した主治医に対して、実際に提供した訪問看護の内容や利用者さんの状態を報告するための書類です。訪問看護計画書が「これから何をするか」を示す計画書であるのに対し、報告書は「実際に何を行い、どうだったか」を報告する書類という位置づけになります。
記載する主な項目は次のとおりです。
- 訪問を行った日
- 提供した看護の内容とサービス提供の結果
- 主治医の指示に基づく療養状況の変化
- 特別訪問看護指示書に基づく訪問の場合は、病状・心身の状態の変化と、頻回訪問の必要性

報告書は「主治医に状況を伝えるための連絡手段」でもあります。淡々と事実を並べるだけでなく、指示書の見直しにつながるような変化があれば、そこが伝わる書き方を意識したいですね。

訪問看護報告書は誰に提出する?
訪問看護報告書の提出先として法令で明確に定められているのは主治医です。指定訪問看護の事業者は、主治医との連携を図り適切な訪問看護を提供するため、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならないとされています。
ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)への訪問看護報告書の提出については、熊本県看護協会の公開Q&Aで「居宅介護支援事業所に訪問看護指示書や報告書を提出する義務はない」と明記されています。ただし、ケアマネジャーから個別サービス計画の提供を求められた場合は、その求めに応じて提供することとされています。
義務ではないものの、報告書には利用者さんの状態変化が具体的にまとめられているため、主治医だけでなくケアマネジャーや相談員にも共有している事業所は少なくありません。連携をスムーズにする目的で、事業所の判断として共有範囲を広げるのは有効な工夫といえます。
提出期限はある?
「訪問看護報告書には明確な提出期限が決まっていない」というのが、確認できる範囲での実情です。月末までの訪問状況をまとめて報告する性質上、翌月のどのタイミングで提出するかは各事業所の運用に委ねられています。
「期限がない=いつ出してもよい」という意味ではありません。報告書は主治医が訪問看護指示書の内容を見直す際の判断材料にもなるため、提出が遅れるほど連携のタイムラグが大きくなります。事業所内で目安となる提出タイミングを決めておくことが実務上は重要です。
訪問看護報告書の望ましい提出頻度・タイミング
熊本県看護協会の見解では、「訪問看護計画書と訪問看護報告書の主治医への提出は、作成したつど行う必要はなく、少なくとも月1回行うとよい」とされています。月1回のペースを基本に、次のようなタイミングで提出している事業所が多いようです。
| 提出タイミング | 特徴 |
|---|---|
| 翌月初旬(1〜7日頃) | 月初にまとめて作成し、できるだけ早く主治医へ共有する運用。連携のタイムラグが小さい |
| 翌月10日頃まで | 月初〜10日頃に前月分をまとめ、送付する運用。書類作成の余裕を確保しやすい |
| 状態変化があったとき | 月次の定期報告とは別に、症状悪化・指示書変更などのタイミングで随時報告 |

「月末までの内容は、翌月なるべく早いタイミングで」を意識しておくと安心です。医療機関によっては報告書の到着が唯一の情報共有の機会になることもあるので、遅れすぎない運用を事業所全体で決めておきましょう。

訪問看護計画書との違い
訪問看護報告書とセットでよく話題になるのが訪問看護計画書です。どちらも主治医への提出が定期的に必要な書類ですが、役割は異なります。計画書側の詳しい作成ルール・利用者への説明義務については、関連記事で個別に解説していますので、あわせてご確認ください。
| 項目 | 訪問看護計画書 | 訪問看護報告書 |
|---|---|---|
| 役割 | これから行う看護の計画を示す | 実際に行った看護の内容・結果を報告する |
| 利用者への対応 | 主要な事項を説明し、同意を得て交付する | 特に説明・同意・交付の規定はない |
| 主治医への提出 | 定期的に提出(目安:月1回) | 定期的に提出(目安:月1回) |
| ケアマネへの提出義務 | 明文の提出義務はない | 明文の提出義務はない |
訪問看護報告書の作成で気をつけたいポイント
- 「訪問した」という事実だけでなく、利用者さんの状態変化が伝わる具体的な記載を心がける
- 特別訪問看護指示書に基づく訪問の場合は、頻回訪問の必要性が伝わる記載を忘れない
- 計画書の目標に対して、報告書でどう変化があったかを対応させて書くと主治医に伝わりやすい
- 提出タイミングを事業所内で統一し、担当者が変わっても運用がぶれないようにする
まとめ|提出期限はないが、月1回を目安に早めの提出を
訪問看護報告書は、法令上の明確な提出期限こそありませんが、主治医との連携を支える重要な書類です。
- 提出先は主治医。ケアマネジャーへの提出は義務ではないが、求めがあれば協力する
- 提出期限は法令上定められていない
- 実務上は「月1回」を目安に、翌月なるべく早いタイミングでの提出が望ましい
- 訪問看護計画書とは役割が異なるが、提出頻度の目安は共通している
期限がないからこそ、事業所ごとに提出ルールを明確にしておくことが、主治医との信頼関係につながります。

よくある質問
訪問看護報告書は毎月必ず提出しないといけませんか?
法令上「毎月必ず」という明確な規定はありません。ただし、少なくとも月1回程度の頻度で主治医に提出することが望ましいとされています。作成のたびに提出する必要はなく、一定期間分をまとめて提出する運用が一般的です。
訪問看護報告書をケアマネジャーに提出しなかった場合、問題になりますか?
訪問看護報告書をケアマネジャー(居宅介護支援事業所)に提出する義務は定められていません。そのため未提出自体が問題になることは基本的にありませんが、ケアマネジャーから個別サービス計画の提供を求められた場合は、その求めに応じて協力することとされています。
訪問看護報告書の提出が遅れてしまった場合はどうすればいいですか?
提出期限そのものが法令で定められていないため、遅れたこと自体に対する罰則規定はありません。ただし主治医との連携に支障が出ないよう、遅れた理由を伝えたうえで、できるだけ早く提出することが望ましいです。事業所内で遅延時の対応ルールを決めておくと安心です。
訪問看護計画書と訪問看護報告書は同じタイミングで提出すべきですか?
必須ではありませんが、どちらも主治医への提出頻度の目安が「月1回程度」で共通しているため、あわせて同じタイミングで提出している事業所が多いです。計画書は今後の方針、報告書は実施結果という役割の違いを踏まえて作成しましょう。
特別訪問看護指示書が交付されている利用者さんの報告書は何が違いますか?
特別訪問看護指示書に基づく訪問の場合、報告書には病状や心身の状態等の変化と、頻回な訪問看護を行う必要性、それに対して提供した看護内容・サービス提供結果を記載することが求められます。通常の報告書よりも状態変化の記載が重要になります。























