このような悩みを解決する記事です。
訪問看護師として仕事をしていて、以下のような経験をしたことはありませんか。
- 清潔ケアをさせてくれない
- 丁寧に説明しても反論されてしまう
- 帰ってくれと言われてしまう
利用者さんが望ましい生活を送れるように支援を進めたいと思っていても、このように拒否的な態度をとられてしまうことがあります。
実はこういった拒否は、訪問看護師が対応を工夫することで解決可能です。
今回は、訪問看護で拒否的な態度を示す利用者さんの対応について、ポイントをわかりやすく紹介します。
利用者さんに拒否されてしまい対応に悩んでいる訪問看護師は、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護で拒否をする利用者さんの特徴
訪問看護で拒否的な態度をとる利用者さんには、次のような特徴が挙げられます。
- 看護師との会話が弾みにくい
- 愛想がなさそうである
- 本心を語りたがらない
これらの特徴から、拒否的な態度を示す利用者さんとは「他人と親密な関係を築くことが苦手である」と解釈できます。
そのため、こういった特徴に配慮したコミュニケーションをとることで、関係を築いていくことが重要です。
訪問看護で拒否をする利用者さんの対応のポイント
訪問看護で拒否をする利用者さんの対応のポイントは、以下の3つです。
- 雑談などの他愛もない会話から関係性をつくる
- 要望は「I(アイ)」メッセージで伝える
- 自由意志を尊重した提案をする
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
雑談などの他愛もない会話から関係性をつくる
拒否的な言動を減らすためには、他愛もない会話をとおして関係性をつくることが大切です。
コツとしては、看護師が自己開示を積極的に行うことです。
趣味や休日の過ごし方など、できる範囲で人間性が伝わるように話してみましょう。
特に自分の弱みを話してくれる人に対して、相手は心を許す傾向があるため、抵抗がなければ話してみるのもひとつです。
雑談の中で、徐々に利用者さんが自身の感情や考えを話し出すようになれば、しっかりと傾聴するように心がけましょう。
傾聴や雑談を行う際のポイントについては、以下の記事も参考にしてください。
要望は「I(アイ)」メッセージで伝える
親しく会話ができるようになったら、利用者さんの健康を維持するために、看護師から要望を伝えてみましょう。
では、1週間排便がない利用者さんに要望を伝えるときの例で解説します。
まずは、以下の伝え方を見てみましょう。
このように相手を主語にしたメッセージのことを「You(ユー)メッセージ」といい、拒否を示す利用者さんにとってはあまり適切な伝え方ではありません。
「自分を責められた」と、とらえてしまうことがあるからです。
拒否がある利用者さんは、他人からコントロールされたくないと考えている可能性があるため、命令されているように解釈し、反射的に拒否してしまうことがあります。
そのため、要望を伝えるときは「I(アイ)メッセージ」を使いましょう。
Iメッセージとは、Youメッセージが相手を主語にしているのに対し「自分を主語にしたメッセージ」のことをいいます。
同様に1週間排便がない方へ要望を伝えるときは、以下のようになります。
このように、Iメッセージで伝えると感情が共有され、相手は自分ごととして行動を起こせるようになるのです。
自由意志を尊重した提案をする
利用者さんの問題点や課題に対して改善策を伝える場合は、自由意志を尊重した提案が有効です。
たとえば、1週間清潔ケアを行っていない利用者さんを想定して見てみましょう。
一般的な提案の方法は、以下のとおりです。
このような提案でも、利用者さんとの関係が良好であれば悪くはありません。
説得に応じてくれる可能性もありますが、以下のように利用者さんの自由意志を尊重した提案をすると、より承諾してくれやすくなるでしょう。
人間は行動を強制されると、それに反発したくなる「心理的リアクタンス」が働きます。
一方で、自身に選択権を与えられると、行動しやすくなると考えられています。
そのため、自由意志を尊重した提案を心がけましょう。
まとめ
今回は、訪問看護で拒否がある利用者さんの対応のポイントについて紹介しました。
拒否がある利用者さんを「頑固で他人の話を聞いてくれない人」というレッテルを貼って見てしまうと、看護師も対応がぎこちなくなり、関係性がうまくつくれません。
拒否がある利用者さんは、人の話を聞かないのではなく、他人と親密になることが苦手なのです。
そのため、訪問看護師は利用者さんと親しい関係を築くことから始め、徐々に提案や要望を伝えていくことが大切です。
あらためて、拒否のある利用者さんへの対応のポイントを見てみましょう。
- 雑談などの他愛もない会話から関係性をつくる
- 要望は「I(アイ)」メッセージで伝える
- 自由意志を尊重した提案をする
上記のポイントを念頭に、拒否がある利用者さんに対しても寄り添ったケアを心がけてみてください。