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精神科訪問看護は対症療法と考えてみる
対症療法とは病気の根治を目指す治療ではなく、つらい症状を和らげる治療になります。
風邪症状やがんの痛みなどのつらい症状を和らげるために薬物療法を行いますが、症状の程度や副作用の出方などによって、薬剤の使用方法が異なっていきます。
精神科訪問看護の支援も、対症療法と似ています。
精神障がいの多くが未だ原因不明で、利用者さんによって性格や考え方、精神症状も異なるため、オーダーメイドの看護が必要になってきます。
そのため、精神科訪問看護の「やり方」ではなく「あり方」を学ぶと良いと考えます。
精神科訪問看護の「あり方」では、利用者さんの潜在意識を洗い出してもらうこと=カタルシスが大事になっていきます。
潜在意識とは、利用者さんの心の奥にある感情や願望、悪い経験、希望になります。
その中でも、希望に注目していくことが重要と考えます。
精神障がいを持つ利用者さんの希望の重要性
精神障がいを持つ利用者さんに希望について聞いてみると、多くの利用者さんが「希望なんてないよ。」と言うことが多いです。
「その理由はなぜか?」
精神疾患を発症する前、入院から退院までの生活や心情から考えてみましょう。
自分の気持ちを抑圧してきた人生だったと考えられます。
ストレスをため込んで吐き出すことができずにいた結果、精神疾患を発症してしまいます。
精神疾患を発症した直後は「病気ではない」と本人が否認するが、強制的に入院や拘束されてしまいます。
入院中は、自分の思い通りに生活できないため、主張や意見を言うことを無意味に考えるようになるかもしれません。
主張や意見を言わないまま、一定のルールの中で入院生活を送ってきたことから、希望について自己認知が難しくなるかもしれません。
精神障害を持つ利用者さんの多くが、上記のようなことを経験していると考えます。
希望を言うこと自体がトラウマ化していたり、認知機能障害により希望について考える力がなくなっている可能性があります。
しかし、希望とは生まれてからずっとそばにあるものです。
希望に向かってその人らしい人生を歩むことは、精神障がいを持つ利用者さんにとって精神症状の軽減や緩和=リカバリーに繋がります。
リカバリーでは、精神症状に対抗する力や思い通りにいかなくても再起する力=レジリエンス、強みを活用して生活のしづらさを改善させる=ストレングが支えになっています。
そして、「人生は山あり谷あり」のように思い通りにいかない時もあるが徐々に良くなっていき、あるきっかけが転帰となり、大きく改善することもあります。
精神科訪問看護の関わり方の基礎
精神科訪問看護の関わり方の基礎は、利用者さんが主体的に人生を生きることを手助けすることになります。
主体的に生きるためには、利用者さんの希望が大事になります。
関わりの取っ掛かりでは、再発や社会的な生活のしづらさについて会話を深めていくことで、希望を見つけ出しやすいです。
ここで、注意しなければいけないことがあります。
看護師は専門家になりますが、利用者さんの問題点や解決策、目標を決めたり、生活指導などを積極的に行うのは望ましくないです。
あくまでも利用者さん自身の意思で考えて行動することに重きを置き、対等な立場で補佐的に援助していくことが良いと考えます。
精神科訪問看護では、利用者さんと看護師との相互作用を通して、少しずつ利用者さんの持つ生きる力を湧き出せるように、エンパワメントの促進を図っていきましょう。
関係性の発展
エンパワメントの促進を図る上で、利用者さんと看護師の関係性が重要になります。
この関係性は、下図のように発展していくものになります。
一緒に考えていける人になるためには、看護師自身が利用者さんのリカバリー=精神症状の軽減や緩和を信じることがポイントになります。
例えば、「薬をちゃんと飲まないと再発してしまいますよ。」のように脅かしてしまうのではなく、「〇〇な時には、薬を飲むといいですよ。」のように利用者さんを信じている=利用者さんに自己選択を促す声かけをしていきます。
ストレングの見つけ方
ストレングスの見つけ方は、利用者さんの自分らしさや健康な部分に注目することです。
下図のゆで卵理論(饅頭理論)で説明します。
精神科訪問看護において、看護師の関わり方で利用者さんの困りごとに注目ばかりしてしまうと、利用者さんは苦しくなってしまいます。
そのため、利用者さんの自分らしさや健康な部分に注目し、それに対する気づきや認識の拡大を図っていきます。
そして、困り事よりも自分らしさや健康な部分が大きいと感じられると利用者さんの強み=ストレングがあると自覚し、困り事への対応ができると考えます。
コミュニケーションの構造
精神科訪問看護では、ただただ利用者さんと会話をしているだけと思われやすいです。
コミュニケーションの構造から、会話の役割を説明します。
コミュニケーションの構造では、自分の話した言葉が相手に伝わるだけでなく、自分の耳にも届いていきます。
言葉を発するためには脳で考えるだけでなく、心も反映されます。
また、言葉を聞くことで脳で考え、心で感じます。
このように考えると、利用者さんとの会話には、感情や思考を整理する役割があります。
ストレスと障がい、薬の関係
精神科訪問看護のあり方では、利用者さんの希望=心の声を聞き出せるような関係性を構築することが大事であると説明してきました。
だからといって、薬を内服しなくても良いという訳ではありません。
最後に、薬の役割についてダムモデルを用いて説明します。
雨がストレス、ダムの水が溜まっているストレス、堤防がストレスに対する抵抗力を表しています。
ダムに溜まった水が堤防から溢れてきてしまった状態が、精神疾患の発症や再発により、生活に影響が出てしまった状態となります。
精神疾患の薬の役割とは、ストレスに対する抵抗力を向上させる対症療法になります。

今回は、精神障がいを持つ人の看護のあり方について紹介させていただきました。
精神科訪問看護において大事にするべき、知っておくべきポイントについて、理解していただけたでしょうか?
次回は、日本の精神科医療の歴史や法律について解説し、今や未来の精神科医療、訪問看護について紹介していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

























精神科の訪問看護について紹介させていただいています。
第1回の講座では、精神障がいの捉え方からアセスメントのさわりまでを簡単に説明させていただきました。
第2回では、精神障がいを持つ人の看護のやり方ではなく、あり方について紹介していきます。
精神科訪問看護において大事にするべき、知っておくべきポイントについて、学んでいきましょう!