
目次
病態別ショック分類
前回、酸素供給が減少する時は、酸素を「含む」か「運ぶ」に問題があるということをお話しました。
「含む」はヘモグロビンか酸素飽和度に原因があり、「運ぶ」は心拍出量に問題があります。
「運ぶ」を規定する3要素
「運ぶ」を規定する3要素に「心拍出量」、「血液循環量」、「血管抵抗」があります。
これらのうちどれか一つでも破綻すると、循環不全、つまりショックとなります。
循環血液量減少性ショック:出血、脱水
出血が起こると、体外に血液が出ていくため循環血液量は低下します。
ここで代償のメカニズムが働きます。
心拍出量を増やそうと、頻脈になります。
また、重要臓器に優先的に血液を送るため、末梢の血管抵抗を高めます。
そのため、末梢冷感が生じます。
治療としては、強心薬よりも輸液(細胞外液、血液製剤)を優先します。
心原性ショック:心不全、不整脈
心原性ショックは、心臓の動きがなんらかの理由で悪くなることで起こります。
代償として、循環血液量減少性ショックと同様に頻脈と末梢血管抵抗が起こります。
体内の循環血液量は変わりませんが、血液を送り出すことができません。
そのため、血液が肺にうっ血していき肺水腫になります。
さらに、進むと下肢浮腫や頸静脈の怒張が起こります。
この時、輸液をすると逆効果になり、心不全が悪化します。
昇圧剤や強心薬、不整脈薬を投与します。
血液分布異常性ショック:敗血症、アナフィラキシー
血液分布異常性ショックは、敗血症やアナフィラキシーにより起こります。
免疫が活性することで、サイトカインなどが放出され、血管が異常に拡張します。
血管が拡張すると通り道が広くなり、血液の流れが遅くなります。
また、血管には隙間があるのですが、その隙間が異常に開き細胞内に血液の成分が流れ、循環血液量が低下します。
これらの原因により、ショックとなり、代償として頻脈になります。
他のショックでは末梢冷感になりますが、炎症性物質により最初は末梢は温かいです。
血液分布異常性ショックは2段階あり、手足の温かいウォームショックからコールドショックへと移行します。
治療は、大量の輸液と昇圧剤の投与を行います。
心外閉塞性・拘束性ショック:心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓
心外閉塞性・拘束性ショックは、心臓以外の血管が閉塞したり、拘束することで起こるショックです。
心タンポナーデでは、心臓破裂などにより心臓の周りに血液が溜まり、心臓が拡張することができなくなります。
そのため、心臓に血液を溜めらなくなり、送り出すことができずショック状態となります。
血液を前に送り出すことができないため、頸静脈怒張が起こります。
対処法としては、ドレナージをして改善を図ります。
緊張性気胸は、肺が急激に萎み、心臓に還ってくる血管がひしゃげてしまい、心臓に血液が戻らなくなります。
対処としては、胸腔ドレナージをして空気を外に出すことで、肺を膨らまし改善を図ります。
肺塞栓は、血管内に血栓が詰まることで循環が阻害されます。
対処としては、血栓溶解(プラスミン製剤)をし、改善を図ります。
酸素需要が増加したときの原因と対応
酸素需要つまり酸素消費量が増加したときの対応について説明します。
原因は発熱、シバリング、セプシス(敗血症)、患者の不安・疼痛、呼吸困難などがあります。
発熱では、1℃あがるごとに酸素消費量は10%上昇します。
シバリングや痙攣では、酸素消費量が2倍、3倍に上昇することがあります。
重症の人に対して行うケアが、酸素消費量を上げてしまうこともあるため、ケアのタイミングには注意しなくてはなりません。
ショックのまとめ

数回にわたりショックついて学んできました。
以下に要点をまとめます。
- 酸素の需要・供給のバランスが崩れることで、組織の酸素不足が起こり臓器不全となり、最終的に死に至る
- 対応は、酸素の供給を増やして、需要を減らすこと
- ショックに気付く、心拍出量・循環血液量・血管抵抗を適正化する、血液中の酸素を増やす、酸素消費量を減らすことで対処
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前回に引き続き『ショック』についてお話します。
今回は、ショックの分類と治療について解説します。