「医療機関から『退院時共同指導に参加してほしい』と連絡が来たけれど、これは訪問看護ステーション側で何か算定できるものなの?」「医療機関側の『退院時共同指導料』と、うちが算定する加算は同じもの?別物?」——退院支援に関わる中で、こうした疑問を持つ訪問看護師・事務担当者は少なくありません。
退院時共同指導料は医療機関側が算定する診療報酬であり、訪問看護ステーション側には別に「退院時共同指導加算」という訪問看護療養費上の加算が用意されています。この記事では、両者の関係と違い、算定要件、複数職種が関わる場合の加算まで、一次情報に基づいて整理して解説します。
- 退院時共同指導料1・2の違いと、それぞれの点数
- 訪問看護ステーションが算定する「退院時共同指導加算」との関係
- 3者以上が共同指導した場合の「多機関共同指導加算」
- ビデオ通話での参加の可否
目次
退院時共同指導料とは?
退院時共同指導料は、入院中の患者について、退院後の在宅療養を担う医療機関・訪問看護ステーション等の職員が、入院先の医療機関の職員と共同して在宅療養に必要な説明・指導を行い、その内容を文書で情報提供した場合に算定できる診療報酬です。算定するのは医療機関側であり、「退院時共同指導料1」と「退院時共同指導料2」の2種類に分かれます。
退院時共同指導料1とは?
退院時共同指導料1は、地域で患者の退院後の在宅療養を担う医療機関(在宅療養支援診療所等)側が算定する点数です。
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 在宅療養支援診療所の場合 | 1,500点 |
| それ以外の場合 | 900点 |
共同指導を行うことができる職種は、医師のほか、保健師・助産師・看護師・准看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、社会福祉士などです。算定は原則として入院中1回に限られますが、厚生労働大臣が定める疾病等(別表第七)に該当する患者については、入院中2回まで算定できます。
退院時共同指導料2とは?
退院時共同指導料2は、逆に入院先の医療機関側が算定する点数で、点数は400点です。両者の医師が共同で指導を行った場合は、医師共同指導加算として300点が加算されます。算定回数の考え方は退院時共同指導料1と同様で、原則入院中1回、対象疾病等に該当する場合は2回までです。

退院時共同指導料1と2、名前が似ていて混乱しやすいですよね。「1」は在宅側(訪問診療の医療機関など)が算定するもの、「2」は入院先の医療機関が算定するもの、と覚えると整理しやすいです。
退院時共同指導加算とは?(訪問看護ステーション側)
ここまでの退院時共同指導料は、いずれも医療機関側が算定するものでした。訪問看護ステーションが算定するのは、訪問看護療養費の「退院時共同指導加算」です。医療保険・介護保険どちらの訪問看護でも設けられており、額は8,000円です。
退院時共同指導加算は、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、入院・入所先の医療機関等の主治医または職員と共同して、患者本人またはその看護にあたっている家族等に対し、在宅での療養上必要な指導を行った場合に算定できます。指導の内容を文書で提供することも要件の一つです。
算定のタイミングは、退院・退所後に最初に行われた訪問看護の際です。回数は原則として退院・退所につき1回に限られますが、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する利用者については、2回まで算定できます。また、同じ退院・退所について、他の訪問看護ステーションが既にこの加算を算定している場合は、重ねて算定することはできません。

退院時共同指導料の医療機関と訪問看護ステーションの関係とは?
整理すると、退院時共同指導に関わる報酬は次のように役割分担されています。
| 算定する主体 | 報酬名 | 点数・金額 |
|---|---|---|
| 在宅療養を担う医療機関 | 退院時共同指導料1 | 1,500点(在支診)/900点(それ以外) |
| 入院先の医療機関 | 退院時共同指導料2 | 400点(医師共同指導加算+300点) |
| 訪問看護ステーション | 退院時共同指導加算 | 8,000円 |
訪問看護ステーションは診療報酬(点数)の体系には含まれないため、医療機関の点数表とは別に、訪問看護療養費・介護報酬の枠組みで独自に加算が設けられている、という理解が実務上分かりやすいポイントです。

「医療機関側が点数を算定しているから、訪問看護は何もできない」というわけではありません。同じ場に参加していても、算定する報酬の枠組みが違うだけなんです。混同しないようにしましょう。
多機関共同指導加算とは?
退院時共同指導に、入院先医療機関の職員に加え、在宅療養担当医療機関、歯科医師、保険薬剤師、訪問看護ステーションの看護師等、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、介護支援専門員、相談支援専門員のうち3者以上が共同して指導を行った場合、入院先の医療機関に「多機関共同指導加算」として2,000点が加算されます。
多職種が一堂に会して退院支援を行うケースを評価する加算であり、訪問看護ステーションが参加する場合も、この3者以上のカウントに含まれます。
退院時共同指導を行うことができる施設は?
退院時共同指導料1を算定できる「地域で在宅療養を担う医療機関」には、いくつかの類型があります。
訪問診療など在宅療養支援診療所の場合
在宅療養支援診療所として届出を行っている医療機関が該当し、点数は1,500点です。往診・訪問診療を担う医師が中心となり、患者の退院後の医学管理全体を見据えた指導を行います。
歯科医療機関の場合
歯科医療機関が在宅療養を担う場合も、共同指導の枠組みに参加できます。摂食嚥下機能の評価や口腔ケアの継続的な管理が必要な患者では、歯科医師・歯科衛生士が加わることで、退院後の口腔管理が途切れにくくなります。
保険薬局の場合
保険薬局の薬剤師も、在宅療養支援の一環として共同指導に加わることができます。退院時に処方内容が変更されるケースは多く、薬剤師が早い段階で情報を共有できることは、退院後の服薬管理の安全性向上につながります。
退院時共同指導料1を算定できる入院先の関係者は?
退院時共同指導料1側で共同指導にあたる職種は、医師のほか、保健師・助産師・看護師・准看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、社会福祉士など幅広く想定されています。訪問看護ステーションの看護師等も、在宅療養担当医療機関の保険医の指示のもとで共同指導に参加する形で関わることができます。
ビデオ通話での参加も可能?
退院時共同指導は、対面での実施が原則ですが、一定の要件のもとでビデオ通話等の情報通信機器を用いた実施も認められています。ただし、参加する職種や実施環境によって細かな要件が定められているため、実施を検討する場合は、算定要件の詳細を医療機関側と事前にすり合わせておくことが望ましいでしょう。

ビデオ通話での参加が認められているとはいえ、初回の顔合わせや、装着している医療機器の実物確認などは、可能な限り対面で行ったほうが後々のトラブルを防げます。移動時間の制約が大きい場合の選択肢、として捉えておくとよいと思います。
訪問看護ステーションが実務で押さえておきたい流れ
退院時共同指導加算を確実に算定するためには、当日の指導だけでなく、事前準備と事後の記録まで含めた一連の流れを押さえておくことが大切です。
- 医療機関からの連絡・日程調整退院時共同指導の依頼を受けたら、参加可能な職員の日程を調整し、対面かビデオ通話かの実施方法も確認する。
- 事前情報の確認入院中の患者の状態、使用中の医療機器、退院後に必要となる医療処置の内容を、可能な範囲で事前に把握しておく。
- 共同指導の実施入院先医療機関の職員と共同し、患者本人またはその看護にあたっている家族等に対して、在宅での療養上必要な指導を行う。
- 指導内容の文書化指導した内容を文書にまとめ、患者・家族に交付するとともに、事業所内の記録として保管する。
- 初回訪問時の算定退院・退所後、最初に行った訪問看護の際に、退院時共同指導加算を算定する。他のステーションが既に算定していないかも確認する。
「指導内容を文書により提供したか」は算定要件の核となる部分です。共同指導の場に参加しただけで満足せず、記録・交付まで一連の流れとして徹底しましょう。
よくある質問
退院時共同指導料と退院時共同指導加算は同じものですか?
別のものです。退院時共同指導料1・2は医療機関側が算定する診療報酬(点数)であり、訪問看護ステーションが算定するのは訪問看護療養費上の「退院時共同指導加算」(8,000円)です。同じ場面に関わる報酬ですが、算定の枠組みは異なります。
訪問看護ステーションの退院時共同指導加算は誰が算定できますか?
訪問看護ステーションの看護師等が対象ですが、准看護師は算定対象に含まれません。入院・入所先の主治医または職員と共同して、患者本人やその看護にあたっている家族等に在宅療養上必要な指導を行い、内容を文書で提供することが要件です。
退院時共同指導加算は何回まで算定できますか?
原則として、退院・退所につき1回に限り算定できます。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する利用者については、2回まで算定が可能です。なお、同じ退院・退所について、他の訪問看護ステーションが既にこの加算を算定している場合は算定できません。
多機関共同指導加算はどのような場合に算定されますか?
入院先の医療機関の職員が、在宅療養担当医療機関、歯科医師、保険薬剤師、訪問看護ステーションの看護師等、リハビリ職、介護支援専門員、相談支援専門員のうち、3者以上と共同して指導を行った場合に、入院先の医療機関に2,000点が加算されます。
診療報酬・訪問看護療養費の点数・要件は改定により変更されることがあります。実際の算定にあたっては、最新の告示・通知をご確認ください。
まとめ|退院時共同指導料と加算は「算定する主体」で整理する
退院時共同指導に関わる報酬は、医療機関側の「退院時共同指導料1・2」と、訪問看護ステーション側の「退院時共同指導加算」に分かれています。誰が、どの報酬を、どのような要件で算定するのかを正しく理解しておくことが、円滑な退院支援と適切な算定につながります。
- 退院時共同指導料1は在宅療養担当医療機関、2は入院先医療機関が算定する(医療機関側の診療報酬)
- 訪問看護ステーションは訪問看護療養費の「退院時共同指導加算」(8,000円)を別枠で算定する
- 3者以上が共同指導を行った場合は、入院先医療機関に多機関共同指導加算(2,000点)が加算される
- 准看護師は退院時共同指導加算の算定対象に含まれない点に注意する
退院支援は多職種連携が求められる場面だからこそ、それぞれの立場で算定できる報酬を正しく押さえておきましょう。

























