
前回の日本における精神科医療の歴史や法律については以下の記事を参照ください。
目次
日本と海外の精神科医療の違い
しかし、その環境は劣悪なものだったようです。
開放的処遇とは、病歴記載方法、高度の衛生管理、レクリエーション施設、作業療法、拘束の制限など、人権思想に関する手法が提示されたものになります。
道徳療法は人権を尊重し、様々な課題(作業)に取り組みながら規則正しい生活を送ることで精神症状の治療を行います。
この時のアメリカは、精神障害者への治療が薬物療法がメインになっていました。
ロボトミー手術とは前頭葉白質を切除し、精神疾患の陽性症状を抑えるために行われた治療になります。
精神科病院の新設、すでにある精神科病院への入院を禁止し、精神障害者の予防・治療は原則として地域精神保健サービスで行うものとしています。 やむを得ない場合は、総合病院に短期間の入院ができますが、現在もイタリアには精神科病院がありません。
日本の精神科医療の発展の歴史
前述したように、日本の精神科医療は海外に比べ遅れを取っていますが、それには理由があります。
日本の精神科医療は、海外との外交や事件をきっかけにして発展してきたためです。
ここでは、日本の精神科医療の発展に影響を与えた外交や事件について解説していきます。
鎖国から開国へ
日本が鎖国している江戸時代までは、精神障害者は寺などで暖かく見守られながら生活していたようですが、開国すると海外の方々の目を気にした日本人は、精神障害者や生活困窮者は小屋などに閉じ込めて、監禁するようになりました=私宅監禁。
多くの精神障害者は、不衛生で非人道的な環境に置かれていました。
相馬事件
明治時代に、相馬藩主であった相馬誠胤(そうま ともたね)がおそらく統合失調症であり、症状が悪化してしまったことで、家族により自宅で監禁されました。
約15年の監禁の末に、相馬誠胤は亡くなりました。
相馬藩主が監禁され、亡くなったことに対して、家族による不当監禁、義母弟による財産横領目的であったと告発された事件が相馬事件になります。
当時の日本の精神医療の診断が未熟であったこともあり、相馬誠胤が統合失調症ではないと主張した医師もいたことから、世間を大きく騒がせた事件になります。
この事件は、海外にまで伝わり、日本のずさんな精神科医療への批判が高まり、精神病者監護法の制定に至りました。
戦後の民主主義改革
戦後の民主主義改革で、精神衛生法が制定されました。
この時期に、WHOからイギリスのクラーク氏が日本に派遣され、日本の精神科医療を偵察しました。
日本の精神科医療の質が低く、精神障害者の脱施設化を提案したクラーク勧告が出されました。
しかし、ライシャワー事件が起きてしまい、クラーク勧告は無視されてしまいました。
ライシャワー事件とは、当時の駐日米国大使ライシャワー氏が統合失調症患者に襲われ、刺された事件です。
この事件をきっかけに精神科病院を増やし、精神障害者は病院に収容する日本の精神科医療が加速しました。
宇都宮病院事件
宇都宮病院に入院していた患者に対して、看護師が暴行を加えて死亡させた事件です。
この事件をきっかけに精神保健法が制定されました。
海外と日本の精神科医療情勢
1980年代の海外では脱施設化が図られていましたが、日本では精神科病院への入院が中心であったため、平均在院日数が300日となっています。
日本の平均在院日数が多いことは、10年以上入院している患者さんがいることが影響しています。
現在、精神科病院へ入院した際にも300日という訳ではありません。
日本と海外の精神科スタッフを比べたものが下図になります。
この図から分かることは、海外に比べて日本の精神科の医師、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカーの数は、圧倒的に少ないです。
特に日本の精神科医療では、臨床心理士が少なくなっています。
今後の日本の精神科医療
精神科の入院診療報酬の減少、病床数削減による報酬、精神科病院併設の訪問看護の増加、精神障害者自身の情報の手に入りやすさから、入院治療ではなく、地域医療が盛んになっていくと思います。
精神科の外来診療の点数の低さ、精神科訪問診療の未発展である現状から、精神障害者と医師が密に関わることが難しいと思われます。
そのため、訪問看護が精神障害者の治療の柱になってくると考えます。
また、デイケア等との連携の担い手としても訪問看護への期待があります。
現在の薬物療法以上の効果を示す認知行動療法などの精神療法が輩出されたり、iPS細胞の研究などから病態解明が進むことで新たな薬が創られりすることで、精神障害者の社会復帰が進んでいくとも考えています。

海外や日本における精神科医療過去・現在・未来については、以上になります。
海外の精神科医療から遅れを取っている日本は、海外の成功事例を参考にしながら入院期間の短縮、地域医療への移行が積極的に行われるようになってきています。
地域で精神疾患の方が生活する上で、訪問看護が柱になると思います。
みなさんで、精神科訪問看護を盛り上げていきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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精神科の訪問看護について紹介させていただいています。
前回は、日本における精神科医療の歴史や法律について解説しました。
現在の精神科医療がどのような経緯で作られたのか・・・
未来の精神科医療を考えるためには、歴史を学ぶことが大事であると考えます。
そして、歴史から学ぶにあたっては日本だけでなく、海外との違いを知ることで未来について考えやすくなります。
今回の講座では、海外と日本の精神科医療の歴史的変遷の違いを学び、これからの精神科医療のあり方について考えていきましょう。