
目次
腹痛の概要
急性腹症
突然の腹痛を主症状とし、緊急手術を要する場合や緊急手術を念頭に経過観察を要する状態です。
危険なリスク因子
65歳以上、心血管リスク、バイタル異常、免疫不全、悪性腫瘍、心房細動、呼吸器や循環器疾患・腎不全等の基礎疾患、最近の手術歴、骨盤内手術、アルコール依存症、脱水などがリスク因子としてあげられます。

ステロイドやNSAIDS、β遮断薬の内服、糖尿病などの症状をマスクする背景に注意しましょう。
危険な腹痛の症状
突然の発症、突然の激痛、腹痛出現後嘔吐頻回があります。
6時間以上(48時間以内)持続する体性痛(持続する刺すような痛み)は外科的な処置が必要な可能性が高いです。
妊娠可能な女性では、無月経や性器出血などの婦人科疾患も考慮しましょう。
危険な理学所見
腹壁緊張、不随意な防御、腸蠕動音消失、腹膜刺激症状(反跳痛、筋性防御)などがあります。
腹膜刺激症状
腹膜刺激症状とは、腹膜に細菌感染や出血、外傷、化学的刺激などによる炎症が波及したときにみられる症状です。

フィジカルイグザミネーションは、視診→聴診→打診→触診の順番で行いましょう。
反跳痛(ブルンベルク徴候)
反跳痛(ブルンベルグ徴候)は、腹部を押したときよりも離したときに痛みが強くなる症状です。
下のイラストのように、臍と腸骨を結んで腸骨から3分の1の位置にあるマックバーネーを押します。
Heel drop test
下の写真のように、かかとをあげてすとんと落とした際に、腹部に痛みがあるかないかを、陽性、陰性で判定します。
感度は93%で、症状がなければ腹膜炎等の可能性は低いと考えられます。
寝たきりの人は、かかとを叩いて代用することができます。
また、咳をして腹部の痛みの有無を判定する方法も代用できます。
忍者歩き
お腹を押さえて忍者のようにすり足で歩いている場合も腹膜刺激症状の可能性を考慮しましょう。
緊急対応のポイント
まずは、意識状態の確認をしましょう。
バイタルサインの確認をして、ショック症状があれば救急要請をしましょう。
以下の項目を確認して緊急性の判断をします。
- 痛む部位
- 痛みの種類
- 痛みの発生時間と持続時間
- 痛みの強さ(動けないなど)
- 腹部の硬さ(筋性防御)
- 痛みのタイミング(食事の前後、身体の向きを変えたとき等)
- 痛みのパターン(間欠性、持続性)
- 随伴症状(バイタルサインの変調、嘔気や嘔吐、冷汗、顔面蒼白)
- 既往の確認
痛みの緩和も重要です。
体位の変更など工夫をしましょう。
重症度に関係なく医師の診察を受けるよう促しましょう。
腹痛の原因と疾患
突然の腹痛は以下の要因が考えられます。
- 上腸間膜動脈閉塞
- 心筋梗塞
- 卵巣茎捻転
- 腹部大動脈瘤
- 異所性妊娠
- 卵巣出血
- 精巣捻転
- 腸閉塞
- 動脈解離
下記の図のように、腹痛を起こす疾患との鑑別もしましょう。
まとめ
- 突然の発症には要注意(急性腹症の可能性あり)
- 命に関わる緊急疾患(やぶれる、さける、つまる、ねじれる)を念頭に置いてフィジカルアセスメントを実施する
- 腹腔外疾患(心筋梗塞、胸膜炎など)も考慮
- ショック状態であれば緊急コール
- 腹膜刺激症状(反跳痛、筋性防御)をチェック
- 腹痛によるバイタルサインの変調がなくとも受診を勧める
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今回から腹痛について解説をしていきます。
腹痛へのアプローチ方法を知り、緊急対応に繋ぐことができるようにしましょう。