訪問看護とデイサービスの連携|人員基準のみなし規定

「デイサービスさんから、看護職員の配置で困っているので協力してもらえないか、と相談を受けた」——訪問看護ステーションの管理者であれば、こうした相談を受けたことがあるかもしれません。地域によっては看護職員の採用が難しく、既存の看護職員だけでは通所介護の人員基準を満たせない事業所も少なくありません。

訪問看護ステーションが通所介護(デイサービス)と連携し、看護職員の人員配置基準を満たすための協力を行うという仕組みは、看護師不足に悩むデイサービスと、安定した収入源を確保したい訪問看護ステーション双方にとってメリットのある取り組みです。この記事では、その仕組みと実務上の注意点を、一次情報に基づいて整理します。

この記事でわかること
  • 通所介護の看護職員配置基準と「密接かつ適切な連携」の意味
  • 訪問看護ステーションとの連携で看護職員配置とみなされる条件
  • 委託契約・協定書に盛り込むべき内容と必要書類
  • 人員基準違反を避けるために気をつけたいポイント

通所介護の看護職員配置基準と「密接かつ適切な連携」

通所介護(デイサービス)には、サービス提供日には必ず専従の看護職員を配置しなければならないという基準があります。ただし、一定の条件を満たす場合には、看護職員の配置があるものとみなされる取り扱いがあります。認められるのは次の2パターンです。

  • 同一敷地内または隣接する敷地内等の同一法人が運営する他事業所との兼務による場合
  • 病院、診療所または訪問看護ステーションとの連携による場合

訪問看護ステーションが連携先になる場合、次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。

条件内容
健康状態の確認等看護職員が当該通所介護事業所内で、サービス提供日ごとに利用者の健康状態の確認等を行うこと
密接かつ適切な連携提供時間帯を通じて、当該事業所へ駆けつけることができる体制や、適切な指示ができる連絡体制を確保していること

なお、連携先として認められるのは病院・診療所・訪問看護ステーションに限られます。それ以外の介護サービス事業所等や、単なる自宅待機は連携先として認められません。

看護師 上妻
看護師 上妻

「駆けつけられる距離」について具体的な基準(何km以内、といった数字)はなく、地域の実情に応じて判断される、という整理になっています。数字で一律に決まっているわけではない、という点は押さえておきたいですね。

2つの連携パターンの違い

看護職員配置がみなされるのは、前述のとおり「同一敷地内他事業所との兼務」と「病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携」の2パターンです。訪問看護ステーションが関わるのは後者にあたりますが、両者の位置づけには違いがあります。

項目同一敷地内他事業所との兼務訪問看護ステーション等との連携
対象同一法人が運営する敷地内・隣接敷地内の他事業所病院・診療所・訪問看護ステーションに限る
勤務形態一覧表の氏名欄看護職員の氏名を記載し、備考欄に兼務先事業所名を記載交代制等で氏名が特定できない場合は「連携職員」と記載し、備考欄に連携先事業所名を記載
他職種との兼務密接かつ適切な連携が図られていれば、当該看護職員は他職種を兼務できる認められない(看護職員としての配置に限られる)

このように、訪問看護ステーションとの連携は、同一法人内の兼務よりも取り扱いがやや厳格に定められています。委託契約を結ぶ際は、この違いを踏まえておくことが大切です。

委託契約・協定書に盛り込むべき内容

訪問看護ステーションとデイサービスが連携する際は、協定書等の書面を取り交わす必要があります。協定書には、少なくとも次のような項目を明記することが求められます。

  • 協定先の事業所名
  • 提供日ごとに健康状態の確認等を行う旨
  • 提供時間帯を通じて看護職員が駆けつけられる体制の内容
  • 協定に関して利用者に賠償すべき事故が発生した場合の責任の所在
  • その他協定の適切な実施の確保に係る必要事項

また、協定内容が確実に履行されたことがわかる記録として、以下の書類を事業所内で保管しておく必要があります。

書類内容
勤務形態一覧表当該看護職員の氏名・勤務時間等を記載。複数の看護職員が交代制で氏名が特定できない場合は「連携職員」と記載し、備考欄に連携先事業所名を記載
勤務実績がわかる書類タイムカード等
看護師 上妻
看護師 上妻

看護職員に変更があっても、行政への変更届の提出は不要とされています。ただし資格証の写しや協定書は各事業所でしっかり保管しておく必要がある、という点は見落とされがちなので注意しましょう。

人員基準違反を避けるために気をつけたいポイント

連携による看護職員配置には、いくつか誤解しやすい落とし穴があります。

訪問看護ステーション側の勤務時間に含められない

訪問看護ステーションの看護職員がデイサービス事業所内で業務を行う時間は、当該指定訪問看護事業所の看護職員としての勤務時間に含めることはできません。訪問看護ステーションの常勤換算2.5人以上という人員基準を計算する際、デイサービスでの勤務時間を誤って算入してしまうと、人員基準違反につながるおそれがあります。

注意

連携により確保した看護職員は、あくまで「配置しているものとみなす」という扱いにとどまります。実際に配置されているわけではないため、この看護職員をもって加算の算定要件(人員配置に関するもの)を満たすことはできません。

機能訓練指導員としての兼務はできない

連携によって確保した看護職員がデイサービス側の機能訓練指導員を兼務することは認められません。連携による配置が認められるのは看護職員としての配置に限られます。

労働者派遣により看護職員を確保する場合

訪問看護ステーションからの連携ではなく、労働者派遣により看護職員を確保するケースもあります。この場合は、以下の書類を事業所で保管しておく必要があるとされています。

  • 法人間での労働者派遣契約が締結されていることが確認できる基本契約書等
  • 当該通所介護事業所に派遣される人員が特定できる個別契約書等
  • 派遣される人員の資格証
  • 派遣により配置された看護職員の勤務実績が確認できる書類(タイムカード等)

なお、新規指定申請の際は、このうち基本契約書・個別契約書・資格証の提出が必要とされています。訪問看護ステーションとの連携とは提出書類の扱いが異なるため、混同しないよう注意しましょう。

訪問看護師がデイサービスで担う業務内容

実際に訪問看護師がデイサービスで担う業務としては、健康状態の確認、創傷処置、服薬管理、褥瘡の処置、インスリン注射、摘便などが多いとされています。

訪問看護師は、健康状態の確認等の業務を行う時間帯は専従が必要ですが、その業務が終わった後は、デイサービス内に必ずしも常時待機しておく必要はありません。ただし、いつでも連絡・相談できる体制(密接かつ適切な連携)を確保しておくことが前提です。

POINT

「健康状態の確認等の時間は専従」「それ以外の時間は密接かつ適切な連携で足りる」という2段構えの整理になっている点がポイントです。この切り分けを曖昧にしたまま契約すると、後から「専従すべき時間に不在だった」と指摘されるトラブルにつながりかねません。委託契約の段階で、健康状態確認の時間帯をあらかじめ明確にしておくとよいでしょう。

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デイサービスとの連携と同様に、他事業所へ介入する際に押さえておきたい医療連携体制加算についても確認しておきましょう。

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よくある質問

「密接かつ適切な連携」とは具体的にどのようなものですか?

当該通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や、適切な指示ができる連絡体制などを確保していることを指します。駆けつけられる距離の具体的な基準はなく、地域の実情に応じて判断されます。

連携で確保した看護職員によって、加算を算定することはできますか?

できません。連携により確保する看護職員は、あくまで「配置しているものとみなす」とされているだけで、実際に配置されているわけではないため、当該看護職員によって加算を算定することはできません。

訪問看護ステーションの看護職員がデイサービスで勤務する時間は、訪問看護ステーション側の勤務時間に含められますか?

含められません。訪問看護ステーションの看護職員が当該指定通所介護事業所内で業務を行う時間は、当該指定訪問看護事業所の看護職員としての勤務時間に含めることはできないとされています。訪問看護ステーション側の常勤換算を計算する際は注意が必要です。

連携で配置される看護職員が、デイサービス側の機能訓練指導員を兼務することはできますか?

できません。病院、診療所または訪問看護ステーションとの連携による配置が認められるのは看護職員に限られるため、連携によって機能訓練指導員を配置することはできないとされています。

看護職員に変更があった場合、行政への届出は必要ですか?

連携により確保している看護職員に変更があった場合の変更届の提出は不要とされています。ただし、各事業所で資格証の写しや協定書等は適切に保管しておく必要があります。労働者派遣により看護職員を確保する場合は、これとは別に基本契約書・個別契約書・資格証等の保管が求められるため、混同しないよう注意しましょう。

出典・参考

連携の具体的な運用は自治体・地域の実情により異なる場合があります。実際の契約・運用にあたっては、所轄の指定権者(都道府県・市区町村等)にご確認ください。

まとめ|連携のルールを正しく理解し、双方にメリットのある協力関係を

訪問看護ステーションとデイサービスの連携は、看護師不足に悩むデイサービスと、安定収入を得たい訪問看護ステーションの双方にメリットがある仕組みです。ただし、勤務時間の取り扱いや加算算定の可否、機能訓練指導員の兼務可否など、誤解しやすいポイントも多くあります。契約を結ぶ前に、双方の担当者が制度上の整理を共有しておくことで、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

この記事のまとめ
  • 通所介護の看護職員配置は、病院・診療所・訪問看護ステーションとの「密接かつ適切な連携」によりみなされる場合がある
  • 連携先での勤務時間は訪問看護ステーション側の勤務時間には含められない
  • 連携で確保した看護職員によって加算を算定することはできない
  • 協定書・勤務形態一覧表等の記録を適切に保管することが求められる

ルールを正確に理解したうえで連携を進めることが、双方にとって無理のない協力関係につながります。

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