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令和3年度介護報酬改定!訪問看護の進捗情報
訪問看護においては、令和3年度介護報酬改定の論点が3つ挙げられました。
論点①:退院当日の訪問看護
論点②:在宅療養を支える訪問看護提供体制の強化(看護体制強化加算)
論点③:役割を踏まえたサービスの提供
3つの論点について説明をしていきますね!
退院当日の訪問看護
- 医療機関等から退院・退所した際に、在宅療養へスムーズに移行できるよう支援することは、在宅生活を支える観点から重要。
- 現行では、退院・退所当日の介護保険による訪問看護については、特別管理加算の対象に該当する者(厚生労働大臣が定める状態等にある者:第六号)に限って算定可能となっている。
- 独居や認知症高齢者の増加も見込まれるなか、要介護者等の在宅生活を支援する観点からどのような対応が考えられるか。
現行の訪問看護の退院当日の算定のルールは下記の通りです。
詳細はこちら↓の記事を参考にしてください。
議論の中では下記ような資料が出ております。
退院当日に訪問が必要であった利用者の入院・入所の理由となった疾患
- 末期がん:14.5%
- 呼吸器の病気:14.0%
退院当日に訪問が必要であった利用者の要介護度
- 要介護度4:17.4%
- 要介護度2:16.9%
- 要介護度5:16.3%
退院当日に訪問が必要であった利用者の処置や医療機関管理の必要な状態
- 服薬援助:45.0%
- 心理的支援:30.8%
- 疼痛管理と浣腸・摘便:19.0%
そこで、下記のような対応の方向(案)が出ました。
利用者のニーズに対応し在宅での療養環境を早期に整える観点から、現行に加えて、一定の条件の下、退院当日の訪問看護を算定可能としてはどうか。
在宅療養を支える訪問看護提供体制の強化
- 訪問看護サービスは、医療ニーズのある要介護者等の在宅療養を支えるサービスの1つであり、今後増加が見込まれる利用者の医療ニーズに対応するため、訪問看護ステーションにおける体制の一層の強化が必要となる。
- 医療ニーズのある要介護者等の在宅療養を支える観点から、訪問看護体制の強化についてどのよ うな対応が考えられるか。
現行の看護体制強化加算は下記の通りです。
詳細はこちら↓の記事を参考にしてください。
上記の表に示されているように、看護体制強化加算の算定率が低いことが分かります。
その理由としましては、看護体制強化加算の要件である「特別管理加算の対象となる利用者が少ない」ことが主に挙げられています。
そこで、下記のような対応の方向(案)が出ました。
医療ニーズのある要介護者等の在宅療養を支える環境を整える観点から、看護体制強化加算について、利用者の実態等も踏まえて、要件の見直しを検討してはどうか。
役割を踏まえたサービス提供
- 訪問看護サービスは、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対 し、その者の居宅において看護師等による療養上の世話又は必要な診療の補助を行うものである。
- この役割を踏まえたサービスが提供されるようにする観点から、介護予防訪問看護サービスも含 め、どのような対応が考えられるか。
大切なことですので繰り返しますが、訪問看護の役割は、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等による療養上の世話又は必要な診療の補助を行うものです。
いくつかデータを見てみましょう!
看護職員の割合別加算の届出状況
上記のグラフは、訪問看護ステーションの看護職員の割合と加算の届出状況を示したものです。
看護職員の割合が「80%以上」の事業所では、緊急時訪問看護加算や特別管理加算の届出を行っている事業所の割合が高いことが分かります。
一方、「60%未満」の事業所ではこれらの加算の届出割合が1割以下であり、「20%未満」の事業所ではほとんど届出がなされていません。
訪問看護ステーションにおける理学療法士等従事者の状況
上記のグラフは、訪問看護ステーションにおける理学療法士等従事者の状況を示したものです。
訪問看護ステーションにおける従事者のうち理学療養士等(常勤換算)の割合は、下記の通りです。
- 20%未満:66.6%
- 60~80%未満:4.3%
- 80%以上:0.4%
また、理学療法士等が10名以上の事業所数は平成21年の20か所から平成29年の205か所へと約10倍に増加していることが分かります。
訪問看護の理学療法士等による請求が占める割合
上記のグラフは、訪問看護費の職種別請求回数と理学療法士等による請求が占める割合等を示したものです。
グラフからは下記のことが読み取れます。
- 請求回数は、理学療法士等による訪問が増加している。
- 特に、要支援における理学療法士等による訪問の割合が高い。
他にも様々なデータを参考に、議論が交わされております。
皆さんの意見
東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)
岡島さおり委員(日本看護協会常任理事)
江澤和彦委員(日本医師会常任理事)「すべての訪問看護ステーションに“看護職員割合”の基準を設けるべき」
安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
「リハビリ専門職による訪問看護の制限(一定回数以上、リハビリ専門職が訪問した場合には減算を行うなど)」「要支援者への訪問看護の給付除外」を提案
武久洋三委員(日本慢性期医療協会)
「軽度の利用者は訪問看護にリハビリを求め、重度者は医療的ケアを求めるという自然の成り行きとも思える。厳しいペナルティは設けるべきではない」
眞鍋老人保健課長(厚生労働省老健局老人保健課)
「訪問リハビリや市町村の地域支援事業などを活用する選択肢もある」
それらを踏まえ、下記のような対応の方向(案)が出ています。
訪問看護サービス及び介護予防訪問看護サービスについて、利用者に対して、その役割を踏まえたサービスが提供されるようにする観点から、理学療法士等によるサービス提供の状況等も踏まえて、各種加算も含めた評価の要件や内容について見直しを検討してはどうか。
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令和2年10月22日の社保審(第189回介護給付費分科会)で、訪問看護の報酬・基準について (検討の方向性)が検討されました。