訪問看護では、サービスの利用契約をした後に初回訪問を行います。
今回は初回訪問の流れやポイントを詳しく解説していきます。
初回訪問を行う前には、ぜひご確認ください。
目次
訪問看護の初回訪問とは?
言葉のとおり、訪問看護の利用が決まり事業所との契約の後、初めて訪問看護を提供する訪問をいいます。
契約日にそのまま初回訪問を行うこともあれば、サービス担当者会議を経て別日に初回訪問が設定されることもあります。
介護保険での訪問看護を行う場合、初回訪問時に初回加算を算定できます。
初回加算については、こちらの記事を参考にしてください。
訪問看護の初回訪問で注意すること
初回訪問の際には、主治医から訪問看護指示書が交付されていることを必ず確認してください。
訪問看護指示書が交付されていない状態での訪問は、医師の指示なく医療を提供することになります。
訪問看護指示書の期限外に初回訪問が設定されていないか、注意して確認しましょう。
初回訪問はコミュニケーション技術が重要!
初回訪問では、ご利用者さんの希望や現状を情報収集するために通常の訪問以上にコミュニケーション技術を要します。
しかし、担当看護師と利用者さんの初対面の機会になることが多く、緊張してしまうという看護師さんも少なくないのではないでしょうか。
同じように利用者さんも緊張している様子が見られることもあり、お互いが緊張状態でコミュニケーションを図ろうとするとうまくいかない場合があります。
ある程度の緊張感は必要ですが、過度の緊張をしないようにシュミレーションをする、情報収集する項目を検討しておく、など工夫をして初回訪問に臨みましょう。
訪問看護の初回訪問の流れ
それでは、初回訪問の流れを解説していきます。
1 入室、ご挨拶
利用者さん宅に初めてお伺いしますので、約束の時間はしっかりと守りましょう。
入室したら、利用者さんやご家族に名刺や名札を見せて、「◯◯訪問看護ステーションから参りました、看護師の◯田◯子です。」と笑顔ではっきりとお伝えします。
この時の表情や声のトーンで、利用者さんに与える印象は大きく変わります。
2 心身の状態の観察
初回訪問では、バイタルサイン測定やフィジカルアセスメントを行い、身体面で看護介入が必要な所見を抽出します。
また、精神面の観察も行い、精神的不安定がある場合にはその原因や精神面の不安定さから在宅生活に影響を及ぼす恐れがある、もしくは及ぼしていることも情報収集しましょう。
在宅で介護を行うにあたり、療養環境や主介護者にあたるご家族の介護状況、健康状態も観察します。
3 在宅生活を継続するためのアセスメント
初回訪問で得た情報をもとに、訪問看護計画を立案します。
利用者さんの病状や全身状態、必要な医療処置、精神面の状況、ADLや生活環境、ご家族の状況から、看護介入が必要と考えられる事項を抽出します。
初回訪問では、病状や全身状態の把握はもちろん重要ですが、疾患だけに囚われず広い視野で療養の状態を観察する必要があります。
- 病状の自己管理はどの程度できているか?
- 病状から予測される体調の変化は?どんな時には看護師へ緊急連絡してもらうか?
- 入院中に摂取していた食形態を、自宅では誰がどのように準備するのか?
- 病院と同じように準備するのが難しい場合の代替え案は?
- 膀胱留置カテーテルを挿入しているが、抜去や閉塞など起こりえるリスクは把握しているか?
- トイレは介助が必要か?
- オムツを使用する場合、介護者は使用方法を把握しているか?
- 皮膚の状態と、褥瘡形成リスクがある場合の対策はできているか?
- 自宅内の家具やベッドの配置は安全か?
- 在宅療養で不安なことは?
- 家族の健康状態と介護力は?主介護者の協力者は?
考えられる問題点から、在宅生活を継続するためにどのような支援が必要なのかをアセスメントし、看護計画を立案します。
看護計画を立案する際には、利用者さんの希望に沿った目標設定を行います。
医療者主体の目標ではなく、利用者さん主体となるよう看護の目標を設定することで、個別性の高い看護計画が立てられます。
4 ケアの実施
アセスメントを行い、その日に必要なケアを行います。
初回訪問の際にはケアに必要な物品や、医材料が揃っているか確認も必要です。
ご自宅にある物品をお借りする場合がほとんどですので、ご家族や利用者さんに確認しながら準備しましょう。
ケアの実施の際には、どのようなケアを行うのか利用者さんにわかりやすくお伝えし、安心してケアを受けられるよう支援しましょう。
ケアの後には、利用者さんが安全に過ごせる環境を整える必要があります。
家族介護が必要な場合には、家族の介護状況に応じて介護指導を行い、看護師の次回訪問まで安心して過ごせるよう支援します。
5 退室時には次回の訪問予定の確認を
退室時には必ず、次回の訪問予定とその訪問までに変化があった場合の対応をお伝えしましょう。
退院直後の初回訪問の場合、訪問看護含めた医療・介護保険サービスが同時に開始になることが多いです。
サービスに慣れるまでは、煩雑なスケジュールに混乱することもあります。
必要な場合には、次回訪問の日にちや時間をカレンダーに記載していただいたり、メモなどを作成してお渡しすると安心です。
初回訪問が終えたら、事業所の管理者や担当ケアマネジャーに情報共有を行いましょう。
まとめ
訪問看護の初回訪問について、解説しました。
初回訪問では、限られた時間の中で多くの情報収集を行う必要があります。
事前に入院していた医療機関からの看護サマリや、担当ケアマネジャーから情報共有があることも多いですが、実際に訪問看護師自身の目で現状を観察することはとても重要です。
もちろん初回訪問の1回で全てを観察することは困難ですが、できる限りの情報を集めることでスピーディに看護を展開していくことができます。
利用者さんにとって、必要な看護はどんなものなのかを見極める力をつけ、より良い在宅療養を支援していきましょう。