このような疑問にお答えする記事です。
訪問看護の利用者さんは、それぞれの方の健康状態や生活の状況に合わせて、複数の在宅サービスを組み合わせて利用しています。
訪問看護師が在宅サービスについて理解することは、利用者さんについての理解を深めることに繋がります。
また、各サービスを理解することで、訪問看護師としてサービス担当者と適切に関わることができます。
本記事では、訪問看護師が知っておくべき主要な在宅サービスを紹介します。
- 訪問看護師が知っておくべき主要な在宅サービス
- 各サービスと関わるときのポイント
最後までぜひ読んでみて下さい。
目次
訪問看護師が知っておきたい主な在宅サービス
訪問看護は、医療依存度の高い方の在宅生活を支える重要な役割を担っています。
しかし、在宅ケアは訪問看護だけでなく、多様な在宅サービスが連携することで成り立っています。
訪問看護師として、これらのサービスを理解し、適切に活用することで、より質の高い支援が可能になります。
以下の7つの在宅サービスについて解説します。
- 訪問介護
- 訪問リハビリテーション
- 通所介護
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 訪問診療・訪問歯科
- 訪問入浴サービス
- 福祉用具貸与・販売
1つずつ解説していきます。
訪問介護
訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者さんの自宅を訪問し、日常生活の支援を行う在宅サービスです。
主に「身体介護」と「生活援助」に分かれます。
身体介護とは、利用者の身体に直接触れて行う介助サービスを指します。
利用者の安全と快適な生活を直接的に支援することを目的としています。
具体的には、以下のような支援がが含まれます。
- 食事介助:食事の摂取をサポートします。
- 入浴介助:入浴時の衣服の着脱や洗身の補助を行います。
- 排泄介助:トイレへの誘導やおむつ交換などをサポートします。
- 更衣介助:衣類の着脱を手助けします。
- 体位変換:床ずれ防止のための姿勢変更を行います。
- 移動・移乗介助:ベッドから車椅子への移動や歩行の補助を行います。
生活援助とは、利用者の身体に直接触れずに日常生活を支援するサービスを指します。
利用者さんが自立した日常生活を送るための環境整備を目的としています。
具体的には、以下のような支援が含まれます。
- 掃除:居室やトイレ、浴室などの清掃を行います。
- 洗濯:衣類や寝具の洗濯、干す、取り込む、収納などを行います。
- 調理:食事の準備、配膳、後片付けを行います。
- 買い物代行:日用品や食材の買い物を代行します。
- 薬の受け取り:処方箋に基づく薬を薬局から受け取ります。
生活援助は家事や環境整備など間接的な支援を行います。
また、生活援助は利用者さん本人が行うことが難しい家事を代行するものであり、家族のための家事や大掃除などの日常的でない作業は対象外となります。
- 訪問介護と連携することで、看護師が行うべき医療行為に集中できる。
- 利用者さんのADLの状況や、訪問看護師介入時以外の状況を共有する。
- 必要時、訪問介護員のケアの指導やアドバイスを行う。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が利用者さんの自宅に伺い、リハビリを提供する在宅サービスです。
運動機能の維持・向上や、日常生活動作の改善を目的とします。
訪問看護の一環として、訪問看護ステーションに所属するリハビリスタッフが訪問する場合と、病院からリハビリスタッフが訪問する場合があります。
- リハビリスタッフと情報共有し、適切なリハビリ計画作成を支援する。
- 看護ケアの中でリハビリ要素を取り入れる(ポジショニング、関節可動域運動など)。
- リハビリスタッフの計画を元に、利用者さんや家族へのリハビリの継続実施の支援を行う。
通所介護
通所介護(デイサービス)とは、利用者さんが自宅から施設に通い、日帰りで介護サービスを受けることができる在宅サービスです。
心身機能の維持・向上(リハビリや運動)、社会交流の機会の提供(他の利用者さんやスタッフとの交流)、家族の介護負担の軽減(介護者の休息)を目的としています。
- 送迎:自宅と施設間の送迎
- 健康チェック:血圧・体温測定などの体調管理
- 入浴・食事の提供
- 機能訓練(リハビリ):歩行訓練、筋力トレーニング
- レクリエーション:体操、ゲーム、手芸、カラオケなど
- 介護相談:家族向けの相談支援
- 健康状態や精神状態の共有を行う。
- 入浴の際の観察や、必要な処置に関する内容を共有する。
- デイサービススタッフと訪問看護師の間で、質問や報告を行いやすい環境を構築する。
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所生活介護(ショートステイ)は、 高齢者が一時的に施設に宿泊し、介護や生活支援を受けるサービス です。
主に要介護認定を受けた方が対象となります。
家族の介護負担を軽減(介護者が休養・旅行・仕事の都合などで一時的に介護できないとき)、利用者さんのリハビリや生活リズムの維持(自宅復帰を目指した支援)、在宅生活の継続支援(将来的な施設入所の準備として利用することもある)を目的としたサービスです。
- 食事・入浴・排せつ介助(日常生活の支援)
- 健康管理(バイタルチェックなど)
- 機能訓練(リハビリ)(歩行訓練や筋力維持)
- レクリエーション(体操・ゲーム・趣味活動)
- 介護相談(家族向けのアドバイスやケアプランの見直し)
- 健康状態や精神状態の共有を行う。
- 施設スタッフと訪問看護師の間で、質問や報告を行いやすい環境を構築する。
訪問診療・訪問歯科
通院が難しい利用者さんのご自宅に、医師、歯科医師などが定期的に訪問するサービスです。
利用者さんの健康管理や歯科治療を自宅で行うことができます。
通院することが難しい、通院の負担を軽減したい場合に多く利用されます。
- 適切な医療が提供されるように、医師と利用者さんの身体状況や生活状況を共有する。
- 利用者さんや家族と医師との連携役になり、お互いの希望や意図が正確に伝わるように関わる。
訪問入浴サービス
看護師を含むスタッフが利用者さんの自宅を訪問し、専用の浴槽を使用して入浴をサポートするサービスです。
自宅の浴室・浴槽に入ることが困難な場合や、複数人で入浴をサポートする必要がある場合に利用します。
- 情報共有を行い、安全に入浴ができるように支援する。
- 皮膚状態やスキンケアの方法などに関する情報伝達を行う。
- 訪問入浴スタッフと訪問看護師の間で、質問や報告を行いやすい環境を構築する。
福祉用具貸与・販売
車椅子や介護ベッド、歩行補助具などの福祉用具をレンタルまたは購入できるサービスです。
利用者さんの自立支援や介護負担の軽減に役立ちます。
- 利用者さんの身体状況に関する情報を提供し適切な福祉用具選定を支援する。
- 生活の中で、福祉用具を適切に利用できているかを観察する。
- 福祉用具専門相談員と連携し、利用者さんに最適な機器を提案する。
在宅サービスの連携役になろう
訪問看護師が知っておくべき主要な在宅サービスを紹介しました。
- 訪問介護
- 訪問リハビリテーション
- 通所介護
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 訪問診療・訪問歯科
- 訪問入浴サービス
- 福祉用具貸与・販売
紹介した在宅サービス以外にも、様々なサービスがあり、利用者さんの介護度によっても利用できるサービスは変わります。
在宅サービスは、利用者さんやご家族の生活の質を向上させる重要な役割を果たします。
また、訪問看護師が各サービスの特徴を理解し、サービス担当者と適切に連携することで、より充実した在宅ケアが提供できます。
定期的に利用者さんの自宅に伺う訪問看護師は、看護を提供するだけでなく、各サービスとの連携の役割も担っています。
利用者さんを取り巻くそれぞれの在宅サービスが包括的に関わることができるように、私たち訪問看護師も視野を広げて利用者さんの生活を捉えていきたいですね!
利用者さんは、訪問看護以外にもいろいろなサービスを利用されています。
家で生活する方が利用できるサービスはどのようなものがありますか?