訪問看護のエンゼルメイク|役割とポイントを解説します

新人訪問看護師

利用者さんが亡くなったときに行う、エンゼルメイクのコツはありますか。

あまり経験がないので自信がなくて。

 

このようなお悩みを解決する記事です。

訪問看護でも、利用者さんが亡くなった後にエンゼルメイクを行います。

この記事では、訪問看護で行うエンゼルメイクの役割とポイントを解説していきます。

 

この記事を読んで分かること
  • エンゼルメイクの役割
  • エンゼルメイクのポイント

 

ぜひ最後まで読んでみて下さい。

 

エンゼルメイクとは

 

エンゼルメイクとは、死後に行うエンゼルケアの一環として、亡くなった利用者さんに対してお化粧をすることです。

エンゼルメイクには以下のような役割があります。

 

エンゼルメイクの役割
  • 皮膚の乾燥を防ぐ
  • 死後の乾燥や、死因による皮膚色変化を補正して、その人らしさを再形成する
  • ご遺族とともに故人にメイクをすることで、ご遺族の悲しみや苦労を労わるグリーフケアにもなる

 

死亡後は皮膚の乾燥が進行します。

皮膚が乾燥することにより、皮膚色や様相の変化にもつながります。

エンゼルメイクはご遺体の状態保全や、故人の顔の見た目を整える大切な役割があります。

また、メイクをしながら故人に触れたり話をすることは、ご遺族の心のケアにもつながります。

 

 

エンゼルメイクのポイント

次にエンゼルメイクのポイントを解説します。

エンゼルメイクのポイントは以下の3つです。

 

  • 乾燥を防ぐ
  • 血色を整える
  • その人らしさを大切にする

 

1つずつ解説していきます。

 

乾燥を防ぐ

 

エンゼルメイクをする上で、一番重要なことは皮膚の乾燥を防ぐことです。

死亡後の皮膚は、水分の補給がされないため、時間とともに乾燥が進んでいきます。

乾燥の進行・乾燥による見た目の変化を防ぐために、まずは保湿を行います。

清拭をした後に、ベビーオイルやワセリン、保湿クリームを皮膚・唇に優しく塗布します。

乾燥した皮膚や唇は元に戻らないため、死亡後なるべく早い段階で保湿を行う必要があります。

皮膚の保湿は、エンゼルメイクを行う看護師の大きな役割と言えます。

保湿をした後にファンデーションで顔色を整えます。

面積の広い部分や、顔の中心から外に向けてファンデーションをのばしていきます。

ファンデーションも油分が多いリキッドタイプのファンデーションを使用することで、さらに乾燥を防ぐことができます。

 

乾燥を防ぐために行うこと
  • 清拭後、保湿剤を皮膚・唇に塗布する
  • 油分の多いファンデーションを使って顔色を整える

 

血色を整える

死亡後は血液循環が停止します。

血液中の、血球成分が沈殿していくため皮膚表面は徐々に血色が薄れ蒼白になっていきます。

チークや口紅を用いて、自然な血色を入れることで故人の顔に温かみが戻ります。

チークをいれる場所は以下のような場所です。

 

 

チークを入れる箇所

・骨が盛り上がっている部分(おでこ・頬骨・顎の先端)

・皮膚のうすい部分(瞼・首元・口周り・髭の生え際)

・小鼻・耳の輪郭

 

故人が男性の場合、頬に目立つようにチークを入れると、ご遺族が違和感を感じてしまうこともあるかもしれません。

普段のメイクとは異なり、ブラシなどを用いてうっすらと色をのせることがポイントです。

耳の輪郭やおでこに色を載せるだけでも、血色が変わるのを実感できると思います。

唇の血色は、うすく口紅を塗ると再現することができます。

口紅を指に取って、唇にスタンプを押すようにポンポンとのせることで薄く色を付けることができます。

 

血色を整えるために行うこと
  • 顔のポイントにチークを薄くのせる
  • 口紅で唇の血色を再現する

 

その人らしさを大切にする

死亡後、目を閉じたお顔でその人らしさを表現するポイントは眉です。

眉がしっかりと残っている場合はブラシで眉の毛の流れを整えるだけでも表情が穏やかになります。

眉が薄くなっているときは、眉ペンなどで眉毛を1本ずつ書き足していきます。

ご遺族の意向も伺いながら、故人の生前の雰囲気を再現できるように眉を整えていきましょう。

 

エンゼルメイクを行う上で配慮したいこと

エンゼルメイクは故人の表情を穏やかに整えるだけでなく、ご遺族とともに故人に向き合うことでご遺族のケアにもつなげることができます。

ご遺体に触れることは緊張するという方でも、エンゼルメイクという行為を通して故人に触れることができる人もいます。

また、故人が生前もお化粧をされていた場合は、その時の様子や好きだった化粧品や、色など様々な話題で故人について話をすることもできるでしょう。

一方で、ご家族によっては故人にお化粧をすることをよく思われない方もいます。

大切な家族がなくなった後の混乱や悲しみの中で様々なことをされるのは嫌だと感じる方もいるかもしれません。

そのようなときは無理にエンゼルメイクを共に行うことを提案せず、皮膚の保湿を行い、目立たないように血色を整えるなど、ご遺族の心情や状況に添った最低限のケアを行います。

そして、可能であればその時のご遺族の状況や看護師が行ったケア・行えなかったケアの内容などの情報を次に引き継ぐ葬儀社の方にお伝えします。

葬儀社の方は、火葬の日までご遺体の状態を保つことができるように改めて処置を行います。

その際に、訪問看護師からの情報提供が役に立つことがあるかもしれません。

利用者さんがお亡くなりになった後も、ケアを繋げていくことは、故人とご遺族の最後のお別れを支援することにもなります。

 

エンゼルメイクを通して感謝を伝えよう


エンゼルメイクの役割とポイント
を解説しました。

エンゼルメイクの役割は以下の3つです。

 

エンゼルメイクの役割
  • 皮膚の乾燥を防ぐ
  • 死後の乾燥や、死因による皮膚色変化を補正して、その人らしさを再形成する
  • ご遺族とともに故人にメイクをすることで、ご遺族の悲しみや苦労を労わるグリーフケアにもなる

 

エンゼルメイクのポイントは以下の3つです。

 

エンゼルメイクのポイント
  • 乾燥を防ぐ
  • 血色を整える
  • その人らしさを大切にする

 

エンゼルメイクは、訪問看護師から利用者さんに感謝を伝えることができる最後の機会です。

利用者さんに声をかけながら、丁寧にエンゼルメイクを施すことは訪問看護師にとっても思い出に残る時間になると思います。

死後のケアは経験することが少ないかもしれませんが、ポイントを理解することができていれば安心してケアをすることができると思います。

この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。

 

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ABOUT US
清水 千夏ライター
東京都在住/看護師・保健師/ 卒業後大学病院9年勤務 その後、派遣看護師としてクリニックやデイサービス、訪問入浴などを経験。 現在は訪問看護ステーションの立ち上げメンバーとして奮闘中です。