「訪問看護は儲かるって聞いたけど本当?」「病棟よりも給料がいいの?」「開業したらどれくらい稼げるの?」
このような疑問を持つ看護師は多いでしょう。
訪問看護は需要が急増しており、今後も伸び続ける分野ですが、「儲かる」というのは一概には言えません。働き方や立場(スタッフ・管理者・経営者)によって大きく収入が変わるからです。
この記事では、訪問看護が本当に儲かるのか、年収相場から経営の実態まで正直に解説します。
目次
訪問看護の「儲かる」は立場によって意味が違う
訪問看護で「儲かる」といっても、スタッフ看護師として働く場合、管理者として勤務する場合、そして自分でステーションを開設して経営する場合とでは、収入のレベルがまったく異なります。
また、事業所の規模や地域、患者数、稼働率によっても大きく収益は変わります。まずはそれぞれの立場ごとの「儲かる度」を整理してみましょう。
| 立場 | 平均年収 | 儲かる度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スタッフ看護師 | 約400〜550万円 | ★★★☆☆ | 病棟より少し高め。残業が少なくワークライフバランス良好 |
| 管理者 | 約550〜700万円 | ★★★★☆ | スタッフのマネジメントと経営サポートも担当 |
| 経営者(開業) | 利益0〜1000万円超 | ★★★★★ | 成功すれば高収益。ただしリスクと責任も大きい |
スタッフ看護師としての収入は「安定+やや高め」
訪問看護のスタッフ看護師の年収は、おおむね400〜550万円が相場です。
病棟勤務よりも基本給が高めに設定されていることが多く、さらにオンコール手当・出動手当・車両手当などの上乗せが期待できます。
ただし、地域差や事業所の規模によっては、病院より低い場合もあります。特に新規立ち上げステーションや小規模事業所では、利用者数が安定しないうちはボーナスが少ないこともあります。
とはいえ、夜勤がない、残業が少ない、土日休みなどの条件を考慮すると、「働きやすくて平均以上の給料」というバランスの良さが魅力です。
管理者看護師は「責任と収入が比例」するポジション
管理者になると、ステーション全体の収支やスタッフマネジメントに関わるため、責任は重くなりますが、その分報酬も上がります。
多くの事業所では基本給+管理者手当+オンコール手当で月40〜50万円前後の収入があり、年収ベースで600万円前後になることもあります。
業績が良ければボーナスやインセンティブがつく場合もあり、訪問看護業界の中でも「稼げる立場」といえるでしょう。
ただし、管理者は現場だけでなく書類や加算管理、スタッフ教育、医師・ケアマネとの調整など業務が多岐にわたります。「儲かるけど大変」な職種でもあります。
経営者(訪問看護ステーション開業)は「ハイリスク・ハイリターン」
訪問看護ステーションを開業して経営者になると、収入の上限はなくなります。
成功すれば年収1,000万円以上も夢ではありませんが、初期投資や人件費などのリスクも大きいのが現実です。
開業初期は利用者が少なく、赤字になることも珍しくありません。一般的に「黒字化までに半年〜1年ほどかかる」と言われています。
安定的に利益を出すには、
・利用者数40人以上
・看護師3〜4名体制
・リハスタッフ(PT・OT)併設
・加算取得率の最適化
などの条件を満たすことがポイントです。
経営が軌道に乗れば、月商500〜700万円、年間利益で数百万円を超えるケースもあります。
しかし、管理・営業・人材確保など全ての責任を負う立場であるため、「儲かる=大変」という構図を理解することが必要です。
訪問看護が「儲かる」と言われる理由
理由1:診療報酬単価が高い
訪問看護は介護保険・医療保険の制度上、1件あたりの報酬単価が高めに設定されています。
1件60分訪問で約6,000円前後(介護保険の場合)になることが多く、1日4〜5件訪問すれば、1人の看護師でも1日2万円以上の売上が立ちます。
理由2:利用者数が増えれば利益率が上がる
人件費や固定費はある程度一定のため、利用者が増えるほど利益率が上がる構造です。特に常勤スタッフが安定して稼働できる環境を整えられれば、売上が急増します。
理由3:高齢化社会で需要が伸び続けている
2025年以降も在宅医療の需要は右肩上がりで、訪問看護のニーズは増加の一途です。利用者が増える=安定した売上が見込めるため、将来性が高い業種と言われています。
訪問看護が「儲からない」と言われる理由
理由1:人件費・経費の負担が大きい
人件費は全体のコストの7〜8割を占めます。訪問看護は人が訪問するサービスなので、効率化に限界があります。スタッフが増えるほど固定費も上がるため、利益率を維持するのが難しい構造です。
理由2:利用者数の確保が難しい
開業しても、すぐに利用者が集まるとは限りません。営業先であるケアマネや病院との関係構築に時間がかかり、稼働率が低いままだと赤字が続くケースもあります。
理由3:書類・加算管理などの事務負担
報酬を正しく請求するためには、書類作成や加算要件の管理が必須です。事務作業が煩雑で、スタッフの稼働時間が削られると利益が圧迫されてしまいます。
儲かる訪問看護ステーションの特徴
まとめ|訪問看護は「仕組み次第」で儲かる仕事
訪問看護は確かに「儲かる」要素を多く持っていますが、それはあくまで仕組みを作れるかどうかにかかっています。
スタッフとして働く場合は、病棟より少し良い給料と働きやすさが魅力。管理者や経営者として携わる場合は、責任を背負う代わりに高収入を得られる可能性があります。
つまり、「訪問看護=楽して儲かる仕事」ではなく、努力と仕組みづくりによって収益化できる業界というのが実情です。
看護師としてスキルを活かしながら、やりがいと収入を両立できる働き方を探してみてください。



















稼働率が高い(利用者40人以上)
常勤看護師1人あたり月100件以上の訪問があると黒字化しやすいです。
営業力がある
ケアマネや病院との信頼関係を築き、安定した紹介ルートを確保しているステーションは強いです。
スタッフの定着率が高い
離職が少ないと教育コストが抑えられ、利用者満足度も安定します。
リハビリ職と連携している
PT・OT・STが在籍していると、訪問リハ加算が取れ、売上の幅が広がります。
加算取得やICT導入で効率化している
特別管理加算、緊急時訪問加算、情報連携加算などを正しく取得し、電子カルテを導入することで利益率を上げている事業所も多いです。