訪問看護からのリハビリと訪問リハビリの違い5つ

「訪問看護からのリハビリ」と「訪問リハビリテーション」、どちらも自宅でリハビリを受けられるサービスですが、ケアマネジャーや利用者さんから「何が違うんですか?」と聞かれて、うまく説明できずに困った経験はありませんか。

どちらも名称に「リハビリ」が含まれるため混同されがちですが、事業所・職種・制度・単位数・利用者の状態という5つの観点で明確な違いがあります。この記事では、それぞれの違いを整理し、現場で説明に困らないための基礎知識を解説します。

この記事でわかること
  • 訪問看護からのリハビリと訪問リハビリテーションの事業所・人員基準の違い
  • それぞれの制度上の位置づけと算定できるサービスの違い
  • 単位数・料金の違いとその背景
  • どちらが向いているか、利用者の状態から考えるポイント

事業所による違い

訪問看護からのリハビリは、訪問看護ステーション(または病院・診療所からの訪問看護)が提供します。訪問看護ステーションの人員基準は、看護職員を常勤換算2.5人以上配置することが求められています。

一方、訪問リハビリテーションは病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院が事業所となり、実施にあたっては常勤の医師の配置が前提となります。事業所の母体が「看護」中心か「医療機関」中心かという違いが、そのままサービスの性格の違いにつながっています。

看護師 上妻
看護師 上妻

「同じリハビリなのに、なぜ事業所が違うの?」と聞かれることがありますが、根っこにあるのは「看護業務の一環としてのリハビリ」か「医師の管理下にある独立したリハビリ」かという発想の違いなんですよね。

訪問する職種による違い

訪問看護は「疾病または負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助」と位置づけられています。そのため訪問看護からのリハビリは、看護業務の一環として理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問する形をとり、看護師や保健師自身がリハビリ的な関わりを行うこともあります。リハビリが中心の利用者であっても、定期的に看護師が訪問し状態を把握する体制が前提です。

一方、訪問リハビリテーションは「居宅要介護者について、その者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション」と位置づけられ、リハビリ専門職による専門的なリハビリが中心です。事業所の医師が計画的な医学的管理を行っていることが算定の前提となります。

制度による違い

両者は介護保険・医療保険それぞれで異なるサービス区分に基づいています。

区分訪問看護からのリハビリ訪問リハビリテーション
介護保険訪問看護費(Ⅰ5)・予防訪問看護費(Ⅰ5)訪問リハビリテーション費・介護予防訪問リハビリテーション費
医療保険訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料

単位数および料金による違い

介護保険における単位数は、訪問看護からのリハビリ(訪問看護Ⅰ5・20分)よりも、訪問リハビリテーション費(1回につき)のほうがやや高く設定されています。また、訪問リハビリテーションでは退院・退所後3か月以内は医師の指示により週12回までの頻回実施が認められるという特例があり、通常の週6回という上限を超えた対応が可能です。

訪問看護からのリハビリは、1日に3回まで、週6回までの回数制限のもとで実施され、1日に2回を超えて実施した場合は超過分が減算される仕組みになっています。医療保険では、訪問看護は訪問看護基本療養費と訪問看護管理療養費の組み合わせで算定される一方、訪問リハビリテーションは在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料という独立した項目で算定され、実施時間(20分・40分・60分の区分)によって料金が変わる仕組みです。

注意

単位数・料金は診療報酬・介護報酬改定のたびに見直されます。この記事で紹介した数値は執筆時点のものですので、請求・算定の際は必ず最新の告示・通知をご確認ください。

回数・時間の制限の違い

訪問看護からのリハビリは、1日3回まで・週6回までという回数制限のもとで実施されます。1日に2回を超えて実施した場合には、超過分の単位数が減算される仕組みです。訪問リハビリテーションも通常は週6回が基本ですが、退院・退所後3か月以内は医師の指示により週12回まで実施できる特例が設けられており、回復期の集中的なリハビリに対応しやすい制度設計になっています。

現場で混同されやすいポイントと説明のコツ

ケアマネジャーや利用者家族から「結局どちらも同じリハビリでは?」と聞かれることは少なくありません。現場で説明に困らないよう、混同されやすいポイントを整理しておきましょう。

「リハビリ職が来る」という結果は同じに見える

利用者さんやご家族から見ると、理学療法士や作業療法士が自宅に来てリハビリをしてくれるという点では、訪問看護からのリハビリも訪問リハビリテーションも同じように映ります。しかし、「誰の指示のもとで、どの事業所が提供しているか」という制度上の枠組みは全く異なります。この点を最初に説明すると理解してもらいやすくなります。

指示を出す医師の違いを明確にする

訪問看護からのリハビリは、利用者のかかりつけ医が交付する訪問看護指示書に基づいて実施されます。一方、訪問リハビリテーションは、訪問リハビリテーション事業所に所属する医師が計画的な医学的管理を行っていることが前提です。「誰が指示を出しているか」を確認すると、どちらの制度に基づくサービスかを整理しやすくなります。

医療処置の有無で優先度を判断する

点滴・褥瘡処置・カテーテル管理など医療的な処置が必要な利用者には、看護師によるモニタリングを伴う訪問看護からのリハビリが適しています。一方、医療処置の必要性が低く、退院直後の集中的な機能回復を目的とする場合は、訪問リハビリテーションの特例(週12回までの頻回実施)を活かせるケースが多くなります。

利用者さんの状態による違い

訪問看護からのリハビリは、医療処置や病状観察が必要な、比較的重症度の高い利用者に選ばれる傾向があります。看護師によるモニタリングとリハビリを一体的に受けられる点が特徴です。

一方、訪問リハビリテーションは、退院・退所直後の利用者に多く選ばれています。退院後まもない時期に集中的なリハビリを行うことで在宅復帰後の生活機能の低下を防ぐ、という制度設計上の狙いが反映された結果といえます。

看護師 上妻
看護師 上妻

「どちらが向いているか」はケースバイケースですが、医療的なケアが必要かどうか、退院直後かどうか、という2つの軸で考えると、ケアマネジャーさんへの説明もしやすくなりますよ。

あわせて読んでおきたい関連記事

訪問看護からのリハビリの時間区分(40分・60分)に迷う場合は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

40分と60分の選び方を読む

よくある質問

訪問看護からのリハビリと訪問リハビリテーションは同時に利用できますか?

制度上、併用自体が一律に禁止されているわけではありませんが、回数制限やケアプラン上の適正性の検討が必要になります。詳しくは関連記事もご参照ください。

訪問看護からのリハビリは誰が行いますか?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、訪問看護ステーションに所属する形で訪問します。看護業務の一環として位置づけられているため、定期的な看護師の訪問と組み合わせて提供されるのが基本です。

訪問リハビリテーションは退院直後でないと利用できませんか?

退院直後でなくても利用は可能です。ただし、退院・退所後3か月以内は医師の指示により通常より頻回な実施が認められる特例があるため、退院直後の利用者に選ばれる傾向が強くなっています。

どちらを選ぶべきか、判断基準はありますか?

医療処置や病状観察が必要な状態であれば訪問看護からのリハビリ、退院直後で集中的な機能回復を図りたい状態であれば訪問リハビリテーションが選ばれやすい傾向にあります。最終的には主治医・ケアマネジャーと相談のうえで決定します。

訪問看護からのリハビリと訪問リハビリテーションで、指示を出す医師は違いますか?

はい、異なります。訪問看護からのリハビリは利用者のかかりつけ医が交付する訪問看護指示書に基づいて実施されるのに対し、訪問リハビリテーションは訪問リハビリテーション事業所に所属する医師の計画的な医学的管理が前提となります。「誰が指示を出しているか」を確認すると区別しやすくなります。

出典・参考

単位数・料金は改定のたびに見直されます。実際の算定にあたっては、最新の告示・通知をご確認ください。

ケアプラン作成時に押さえておきたいポイント

ケアマネジャーがケアプランを作成する際は、単に「リハビリを入れたい」という要望だけでなく、上記5つの違いを踏まえたうえでどちらのサービスを組み込むかを検討する必要があります。

  • 利用者に医療処置・病状観察の必要性があるか
  • 退院・退所直後で集中的なリハビリが必要な時期かどうか
  • 既に訪問看護を利用している場合、リハビリのためだけに新たな事業所を追加するか、訪問看護ステーションのリハビリ職を活用するか
  • 地域内で訪問リハビリテーションを提供できる病院・診療所が確保できるか

特に、医療的なケアと機能訓練の両方が必要な利用者の場合、訪問看護ステーションであれば看護とリハビリを同一事業所でまとめて提供できるという利点があります。一方、退院直後で短期集中的なリハビリを希望する場合は、訪問リハビリテーションの頻回実施の特例が活きる場面といえます。

まとめ|似ているようで違う、2つの在宅リハビリサービス

訪問看護からのリハビリと訪問リハビリテーションは、どちらも自宅で受けられるリハビリサービスですが、事業所・職種・制度・単位数・利用者の状態という5つの観点で明確に異なります。この違いを理解しておくことで、利用者さんやケアマネジャーからの相談にも自信を持って対応できるようになります。

この記事のまとめ
  • 訪問看護からのリハビリは訪問看護ステーション、訪問リハビリテーションは病院・診療所等が事業所
  • 前者は看護業務の一環、後者は医師の医学的管理のもとで行う独立したリハビリという位置づけの違いがある
  • 介護保険・医療保険それぞれで異なるサービス区分・単位数が設定されている
  • 医療処置が必要な利用者は前者、退院直後で集中的な機能回復を図りたい利用者は後者が選ばれやすい

制度の違いを正しく理解し、利用者さんに合ったサービスを選べるようにしておきましょう。

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訪問看護Ⅰ5と訪問リハビリテーションの同時利用を検討している場合は、回数制限や注意点をこちらでご確認ください。

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