訪問看護への転職を検討されている看護師さんから、このようなご相談をいただくことがあります。
総合病院から訪問看護への転職をした私が、当時感じた良かったことや大変だったことを振り返り解説します。
総合病院から訪問看護への転職を検討している看護師さんは、ぜひ参考にしてください。
目次
総合病院から訪問看護に転職した看護師の本音とは?
新卒から急性期総合病院で働いていた私は、子供が2歳の時に訪問看護への転職を検討しました。
結婚して通勤距離が伸びた当時も、自身の看護師としての経験を培った総合病院での勤務を続けていました。
産休育休を明けて子育てをしながら電車での通勤を続けていたのですが、体力的に限界を感じ住まいの地域にある訪問看護ステーションの求人を見つけたことが転職のきっかけでした。
初めての訪問看護でしたので、大変だと感じたことがありましたが良かったと感じることも多くありました。
次項より総合病院から訪問看護に転職して感じた大変だったこと、良かったことを解説していきます。
総合病院から訪問看護に転職して大変だったこと
総合病院から訪問看護に転職をしたばかりの頃は、毎日緊張の連続でした。
特に以下のような場面に慣れるまでは、大変だったと振り返ります。
- 居宅という環境に緊張してうまく話せない
- 訪問看護の制度やルールがわからない
- 状態変化やオンコールでの対応に不安になる
実際のエピソードを、具体的にお伝えします。
居宅という環境に緊張してうまく話せない
総合病院に勤めていた時と大きく異なるのは、利用者さんの生活環境に伺うという点です。
訪問看護では、利用者さんの住む家に上がり看護を提供します。
当然ですが利用者さん一人一人、抱えている疾患や家の環境、家族構成、生活状況は異なります。
そのため、一人の利用者さんの情報量が多く頭の中を整理するだけでも大変です。
それに加えて病院とは異なり利用者さんの生活の場に伺うため、マナーや立ち振る舞いも気をつけなければと緊張してしまうことが多くありました。
在宅では利用者さんのペースに合わせた関わりを、与えられた時間内で行う必要があります。
今思えばこちらの緊張感が伝わってしまっていたのですが、利用者さんとの関わりに慣れるまでは、会話することにも苦戦していたことを思い出します。
総合病院では治療のスケジュールに沿った短いコミュニケーションの繰り返しが多かったなぁと思い、その違いに大変さを感じました。
訪問看護の制度やルールがわからない
訪問看護では、医療保険や介護保険を利用してサービスを提供します。
保険制度については、看護師国家試験を受けた学生時代に暗記した程度でわからないことだらけでした。
また、病院という施設の中に関わるほとんどの職種が揃っていたため連携が図りやすかったのですが在宅では関係者のほとんどが事業所外の方です。
訪問看護の制度やルールがわからない状況で、他職種連携を図るのも手探りの状態でした。
総合病院から訪問看護に就職して、当時はビジケアのようなコンテンツもなかったため制度やルールについて勉強するのは本当に大変だったと感じます。
状態変化やオンコールでの対応に不安になる
訪問看護では、利用者さんの状態変化があった際に24時間365日で対応する事業所がほとんどです。
そのため、事業所で受け入れる利用者さんの状態変化があった際には医療機関への報告相談を行うなど、現場で迅速な判断を求められます。
総合病院に勤めていた時にはいつでも医師や先輩看護師がいて、「何かおかしい」「いつもと違う」という時には気軽に相談することができました。
訪問看護でも、同じように主治医や先輩訪問看護師がいますが、この状態変化を報告相談してもいいのかと迷ってしまうことも多くありました。
今となっては、些細なことでも気になることや不安に感じることがあれば相談して対応するべきだと思います。
しかし当時は、「こんなことを相談していいのだろうか」と不安になることや自信をなくしてしまうこともありました。
このような「これで良かったのだろうか」という気持ちを抱えて仕事をすることに、大変さを感じたことがありました。
総合病院から訪問看護に転職して良かったこと
前項までは、総合病院から訪問看護に転職して大変だと感じたことをお伝えしました。
訪問看護に対して不安を感じてしまった看護師さんもいるかもしれません。
しかし、訪問看護に転職して良かったこともたくさんあります。
- 利用者さんの自分らしい姿に触れることができる
- 総合病院での経験を活かすことができる
- ライフワークバランスを維持して仕事ができる
このような点は、総合病院から訪問看護に転職してとても良かったと感じた点です。
実際のエピソードを、具体的にお伝えします。
利用者さんの自分らしい姿に触れることができる
自分の住まいで生活される利用者さんは、病院での入院生活とは異なり自分らしく過ごされています。
それぞれの趣味や、大切にしているものをお話しくださる利用者さんはとてもキラキラとした目をしていて素敵です。
特に好物を食べて「美味しい」と目を細める顔を見ると、こちらまで幸せな気持ちになれます。
また、利用者さんは、病気を患う患者さんとしてだけでなく、「父」「夫」「母」「妻」「子」など色々な立場を持ちます。
その役割を担いながら在宅での療養をする様子を見ると、病気はその人の一部のことであり、優先順位は常に治療が上位なわけではないと感じます。
そんな利用者さんの人間らしい一面を伺うと、訪問看護に転職して良かったと感じます。
総合病院での経験を活かすことができる
訪問看護では、病院と同様に主治医の指示の下で医療処置を提供します。
そのため、総合病院で培った看護技術の経験はとても重宝しています。
訪問看護は、基本的に看護師一人で利用者さんの居宅へ訪問します。
基本的な看護技術を身につけておくことで、一人でも落ち着いて医療処置を提供することができます。
また、総合病院で様々な症例に関わってきた経験は、在宅の現場での考察や判断に役立っています。
総合病院で働いてから訪問看護に転職して良かったと日々感じています。
ライフワークバランスを維持して仕事ができる
訪問看護では、一般的な企業と同じように土日祝日休みの事業所も多くあります。
子育てをしている看護師さんにとっては、しっかりと家族との時間をとれる働き方は魅力的なのではないでしょうか。
私が働く事業所は子育て世代の看護師さんも多く、残業はせずに定時で帰宅します。
そのため、家族と過ごす時間も大切にしながら看護の仕事を続けられています。
利用者さんの状況によっては土日祝日に訪問が必要となる場合もあります。
しかし、スタッフが協力しあって交代で訪問に出るなど助け合いながら気持ちよく働くことができています。
総合病院に勤務していた時には変則勤務や夜勤もあったため、現在のような生活は難しかったと思います。
メリハリをつけてライフワークバランスを保てるところも、総合病院から訪問看護に転職して良かったと感じる点です。
終わりに
今回は、総合病院から訪問看護に転職した看護師の本音をお伝えしました。
訪問看護への転職は、とても勇気のいるものです。
もちろん大変なこともありますが、良かったことの方が今では強く感じられています。
訪問看護に興味のある看護師さんは、ぜひビジケアで他の記事もお読みになってみてください。
訪問看護の楽しさがさらにわかると思いますよ!
総合病院に勤めていますが、訪問看護への転職を考えています。
実際に総合病院から訪問看護に転職すると、大変なことはありますか?