訪問看護でリハビリ職として初めて働くセラピストさんは、このような疑問を抱きますよね。
私も、訪問看護で働く前は同じような疑問を持っていました。
現在は、訪問看護で働く理学療法士ですが、働く場所が変わってもリハビリの内容は大きく変わりません。
しかし、必要な能力は病院や施設とは異なる部分があります。
今回は、訪問看護におけるリハビリで必要な能力を、現役理学療法士が解説します!
これから訪問看護で働きたいと考えているセラピストさんや、訪問看護で働いているけど経験が浅いセラピストさんに役立つ内容です!
目次
訪問看護におけるリハビリで必要な能力5選
では早速、実際に働いて感じた訪問看護におけるリハビリで必要な能力を5つ挙げます。
- マナー力
- コミュニケーション力
- アセスメント力
- リスク管理力
- 連携力
ひとつずつ解説していきます!
マナー力
訪問看護におけるリハビリでは、基本的に利用者さんの自宅に1人で伺います。
病院や施設とは異なり、利用者さんが実際に生活をしていて、さらには家族が同居している空間に入ります。
マナー力が欠けていると、信頼関係が築けず、訪問お断りということも少なくありません。
訪問看護におけるマナー力については、以下の記事に詳しく書かれています。
一般的なマナーに加え、訪問看護におけるリハビリで配慮すべきマナーの具体例をあげていきます。
- ポケットの中身や名札等で利用者さんを傷つけないよう配慮する
- 物の配置を変更する時は、利用者さんや家族の許可を得る
- ベッドに上がる時には「失礼します」と一声かける
- 慣れてきても、馴れ馴れしい言葉は控える
上記は、あくまでも一例です。
他にも、守るべき細かいマナーはたくさんあります。
このマナー力は、自然と出るため、その場しのぎでできることばかりではありません。
日々ある程度の緊張感を持って接することが大事ですね。
特に初回訪問では、信頼関係を築くのにとても重要な場面となります。
リハビリの初回訪問でのポイントは、こちらの記事を参考にしてください!
コミュニケーション力
コミュニケーション力は、働く場所を問わず、とても重要とされていますね。
コミュニケーション力は、話す内容だけではありません。
メラビアンの法則では、以下のように示されています。
- 言語情報:7%(話の内容)
- 聴覚情報:38%(言葉遣い、声の大きさ、話の間など)
- 視覚情報:55%(身だしなみ、表情、ジェスチャー、位置関係、距離など)
話す姿勢や、話を聞く姿勢も重要です。
そして、訪問看護におけるリハビリのコミュニケーション力で特徴的なのは、相手が利用者さんだけではないことです。
利用者さんと関わりのある多職種とのコミュニケーションも重要です。
病院等であれば、どのように利用者さん(患者さん)と上手くコミュニケーションを図るか重要視されると思います。
訪問看護では、利用者さんだけでなく、利用者さんを取り巻く全ての人と関わりを持ちます。
そのため、病院等と比べ、他事業所との関わりがとても多くなります。
利用者さんだけでなく、多職種と円滑なコミュニケーションを図ることができる技術が必要です。
もちろん、利用者さんとのコミュニケーションも重要なので、こちらの記事を参考にしてみてください!
アセスメント力
アセスメント力とは、利用者さんの身体を評価すること、そして利用者さんを知ることです。
心身の状態を確認し、日々の変化を把握することが重要です。
訪問看護におけるリハビリでは、身体的なアセスメントのみでは足りません。
ICF(国際生活機能分類)にならい、包括的にアセスメントしていく必要があります。
在宅の現場では、病院等よりもICFを活かすことができると日々感じています。
利用者さんだけでなく、背景因子として家族の状態のアセスメントも重要な場面があります。
また、在宅で生活をしていても、体調の急変や新しい病気に罹患することも珍しくありません。
バイタルサインをはじめ、利用者さんへ抱く違和感に気付くことも重要です。
何かおかしいと感じた場合は、その場でできるアセスメントをして、まずは管理者に報告しましょう。
セラピストでも、その場でできるアセスメントは、具体的には以下のものになります。
- 体温
- 血圧
- 呼吸状態や呼吸数、呼吸音
- 酸素飽和度
- 疼痛部位(動作時、安静時、運動方向など)
- 計測(周径、関節可動域など)
- 表情や顔色
- 意識レベル
- チアノーゼなど
これらは、ある程度の仮説を立てながらアセスメントする必要があります。
そのために、利用者さんのことを知るということが根本に必要になってくるということですね。
利用者さんのことを知らなければ、症状が出ている原因の推測ができません。
これらのアセスメントを、事業所内で共有するということも重要です。
リスク管理力
訪問看護におけるリハビリでも、病院等と同じくリスク管理力は大事です。
特にセラピストに求められることは、転倒や転落のリスク管理ですね。
これは、病院等でも同じだと思います。
リハビリ中はもちろん、病室での環境も、転倒・転落に対するリスク管理は徹底されていると思います。
訪問看護におけるリハビリでは、リハビリ以外の時間で、転倒・転落のリスクをいかに減らすことができるかが重要です。
在宅では、離床センサーは滅多に使うことがありません。
トイレに行くために介助が必要であれば、普段介助をするのは専門職ではない家族です。
そして、リハビリの時間は、週に数回と限られています。
そうなると、圧倒的に1人で過ごす、もしくは家族と過ごす時間が多くなります。
専門職がいない環境の中、どのような対策をするかで、利用者さんの生活が変わってくると言っても過言ではありません。
自宅にあるものをはじめ、福祉用具で対策をするのかなど様々なアイディアが必要です。
こういったリスク管理力は、訪問看護におけるリハビリではとても大事です。
連携力
最後は、連携力です。
これは、訪問看護におけるリハビリで特に必要だと日々感じています。
訪問してリハビリをすること自体は1人ですよね。
しかし、利用者さんを取り巻く環境の中には、多職種と連携をしていかなければいけません。
関わりのある多職種とは、以下のような職種です。
- 看護師
- 医師
- ケアマネジャー
- 訪問ヘルパー
- 薬剤師
- 福祉用具業者
- 通所のスタッフなど
特に、同じ事業所の看護師とは、より強固な連携が求められます。
理由として、訪問看護におけるリハビリは、看護業務の一環として位置付けられているからです。
訪問看護からの理学療法士等による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置付けのものである。
看護師だけでなく、他の事業所の職員とも関わることが多いですね。
多職種と連携するポイントは以下になります。
- 報告・連絡・相談を使い分ける
- 緊急度に応じて直接の対話か、電話、FAX、メール、ICT連携ツールの活用
- 適切なタイミングを図る
また連携力を身につけるためには、情報を整理しなければいけませんよね。
手順として、5W1Hを意識することも重要です。
- 目的:Why 「なぜ」連絡しようと考えたの?
- 概要:What 「なに」を伝えるのか?
- 対象:Who 「誰」に連絡すべきか?
- 場所:Where 「どこで」行うべきか?
- 方法:How 「どのように」行動すべきか?
まずは、同じ事業所内で情報を共有して、どのように他の事業所に伝えるべきか検討すると良いですね。
訪問看護におけるリハビリで必要な能力を押さえておこう
今回、訪問看護におけるリハビリで必要な能力を5つ解説しました!
訪問看護におけるリハビリで必要な能力は、上記に述べたこと以外にも様々です。
何もかも完璧にこなすことは難しいですが、ポイントは押さえておくと良いですね。
今回は、こちらの本を参考資料として活用しています。
より深い知識を身につけたい方はぜひ参考にしてみてください!