みなし指定の訪問看護のデメリットを紹介します!

訪問看護には、「訪問看護ステーション」と「みなし指定の訪問看護」の2つがあります。

みなし指定の訪問看護は、病院や診療所が「訪問看護部門」を設けたり、外来部門が兼任するなどして介護保険・医療保険での訪問看護を実施するものです。

みなし指定に関しては下記の記事に詳しく書いてありますので、あらかじめチェックしてください。

訪問看護の需要は高まる一方で、その流れに伴い訪問看護ステーションの事業所数は増加傾向にありますが、みなし指定の訪問看護は年々減少傾向にあります。

そこでこちらの記事では、みなし指定の訪問看護のデメリットにはどのようなものがあるのか解説します。

 

みなし指定の訪問看護のデメリット

 

みなし指定の訪問看護は、病院や診療所から提供される訪問看護サービスですが、その数は年々減少傾向にあります。

 

引用)日本訪問看護財団:訪問看護の現状とこれから2022年版「介護保険制度における訪問看護事業所数の推移」

みなし訪問看護には、訪問看護ステーションから提供される訪問看護と比べ、以下のようなデメリットがあります。

 

保険請求の費用が安いため利益が少ない

 

収入面は、みなし訪問看護より訪問看護ステーションの方が、高く設定されています。

 

 

Ns上妻
24時間の訪問看護の提供など、手厚い訪問看護の提供体制を有する医療機関を評価するため、2020年度診療報酬改定で訪問看護・指導体制充実加算(150点、月1回)が新設されました。

 

訪問看護ステーションによる訪問看護では、訪問看護基本療養費に加え、訪問看護管理療養費が設定されています。

一方、医療機関による訪問看護には、訪問看護管理療養費に相当する報酬がありません。

そこで、24時間対応体制や重症度の高い患者の受け入れなどの実績を有する医療機関への評価として設定された加算が、訪問看護・指導体制充実加算です。

しかし、訪問看護管理療養費が月の初日7400円、2日目以降3000円であるのに対し、訪問看護・指導体制充実加算の算定は月1回150点のみ、依然として報酬の差は大きいのです。

 

 

以上のように、みなし訪問看護の訪問看護費は訪問看護ステーションと比較して低く設定されています。

多くは介護報酬の単位の違いや民間の訪問看護ステーションとの競合関係から、みなし指定の訪問看護から独立し、訪問看護ステーションに移行しているケースが多くなっています。

 

自院の医師が診察している患者さんに限定される

みなし訪問看護とは、医療機関の看護師が医師の指示により訪問するものです。

医師の指示は、訪問看護ステーションのように訪問看護指示書として交付してもらう必要はなく、医療機関の診療録(カルテ)に記載されます。

このように医療機関の医師の診察による指示がベースになるため、その病院や診療所で診察している患者のみが訪問看護の対象となります。

地域で訪問看護を必要としているすべての利用者さんが対象となる訪問看護ステーションと比較すると、みなし指定の訪問看護では、サービス対象者の絶対数が少なくなります。

上項で保険請求の費用が安いため利益が少ないということについて紹介しましたが、サービス対象者の数が少ないという点でも利益につながりにくいです。

また、病院や診療所等、医療機関の併設された訪問看護提供システムですので、地域において訪問看護ステーションほど独立した存在にはなりにくいのです。

 

リハビリテーションを実施できない

 

みなし訪問看護では、理学療法士等の単独訪問によるリハビリテーション実施・報酬の請求ができません。

リハビリテーションを実施するために、理学療法士等が同行して看護師の代わりにリハビリテーションを実施することはできますが、診療報酬は訪問看護費のみの請求となるのです。

そのため診療報酬取得のためには、訪問リハビリテーションの施設基準を取得して「訪問リハビリテーション」を開設することが必要になります。

リハビリテーションを訪問看護事業の一部として行う場合は、訪問看護ステーションのみが実施することが可能です。

 

 

まとめ

引用)日本訪問看護財団:訪問看護の現状とこれから2022年版「 日本の高齢化の推移と将来推計」

人口減少、高齢化が進む現代において、在宅医療が果たす役割への期待はさらに高まっています。

2020年10月1日現在活動中の介護予防訪問看護ステーションは前年比7.2%増、訪問看護ステーションは前年比7.0%増となっています。

この高い伸びは訪問看護サービスへの需要の高まりであり、その背景としては、地域包括ケアの推進に伴い、医療依存度の高い患者さんが在宅で過ごすケースが増えてきていることが挙げられます。

その反面、みなし訪問看護は年々減少傾向にあります。

みなし訪問看護では、原則として敷地内に医師が在籍しているため、指示の確認や利用者さんの状態報告の情報共有など、医師との連携がスムーズにできるメリットがあります。

しかし、いずれは訪問看護ステーションとして独立し、地域の医療資源としてサービスを拡大していくことが望ましいと言えます。

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ABOUT US
甲谷 多恵子看護師/ライター
看護師/急性期の総合病院で血液内科、レジデントの研修(内科混合)病棟等の病棟・外来勤務を経験。総合病院で15年間勤務後、訪問看護ステーションに転職。新規立ち上げからの管理者経験あり/デンマーク研修機会に恵まれたことを機に、訪問看護の可能性を再確認、多職種連携の中で専門性を発揮できるよう何事も勉強の毎日/北海道在住