「訪問看護は難しい」というイメージをお持ちではありませんか?
訪問看護をやってみたいと思う一方で「難しい」というイメージがあると、なかなかはじめの一歩が踏み出せませんよね。
結論から言うと、訪問看護の難しさは経験上以下の5つと感じます。
- ひとりで判断する難しさ
- 利用者さんやご家族との関係性の難しさ
- 多職種連携の難しさ
- 決められた時間がある難しさ
- オンコール対応の難しさ
当記事では、訪問看護をやってみたいけど難しそうで不安というあなたへ以下のことを解説します。
- 経験から感じる訪問看護の主な難しさ5つ
- 訪問看護の難しさの乗り越え方
なお、ビジケアには訪問看護にまつわるさまざまなお役立ち記事があります。
当記事の他にもきっとあなたの悩みを解決してくれる記事がありますよ。
ぜひいろいろのぞいてみてくださいね。
ではさっそく解説します。
目次
訪問看護の主な難しさ5選
訪問看護の主な難しさは、経験上以下の5つであると感じます。
- ひとりで判断する難しさ
- 利用者さんやご家族との関係性の難しさ
- 多職種連携の難しさ
- 決められた時間がある難しさ
- オンコール対応の難しさ
順番に解説します。
ひとりで判断する難しさ
訪問看護では、看護師ひとりで利用者さんのご自宅に訪問します。
その場の判断や対応は基本的に自分ひとりで行うため、迷ったり悩んだりすることが少なからずあります。
- 利用者さんの状態変化に対するアセスメントや対応
- 処置や医療機器の対応
- 利用者さんやご家族からいただく質問や相談への対応
- 保険制度等の知識が必要なことへの対応
知識や経験が不十分な事柄の対応をする時には特に難しさを感じます。
病棟勤務で経験した主な科が消化器内科であった訪問看護師のAさん。
神経難病の方の看護に携わる機会はこれまでまったくありませんでした。
訪問看護で初めてALS(筋萎縮性側索硬化症)の方を受け持たせていただき、人工呼吸器含めわからないことや対応に戸惑うことがとても多くありました。
わからないことはその都度調べたり先輩に聞くようにしていましたが、現場では結局自分ひとり。
「急な状態変化があったらどうしよう」「わからないことを聞かれたらどうしよう」
そういった不安が最初のうちは大きかったです。
利用者さんやご家族との関係性の難しさ
利用者さんやご家族との関係性の難しさもあります。
訪問看護の大きな特徴として、看護を提供する場が「病院」ではなく「在宅」ということがあります。
訪問看護師は、利用者さんが日々生活されているご自宅におじゃまさせていただく存在です。
- 家に上られても不快ではない接遇マナー
- 心を開いてもらえるコミュニケーション力
- 人対人の相性
これらのことが良好な関係を築いていく上でとても重要です。
利用者さんの価値観や人となり、訪問看護師への期待値の大きさは各々で違います。
中には訪問看護師に求めるレベルが非常に高い利用者さんやご家族もおられます。
ケア中、力量を見定められていると感じる場面も多々あり、難しさを感じることがあります。
無意識のうちに上から目線の態度をとってしまう訪問看護師のBさん。
声のトーンや言葉遣いも他者が聞くとあまり心地良いものではありませんでした。
助言内容も、医療的には正しいことでしたが、利用者さんやご家族にとっては難しいものでした。
上から目線の態度や助言内容に利用者さんもご家族もつらくなってしまい、「あの怖い看護師さんには来てほしくない…」と訪問を拒否されてしまいました。
一方、訪問看護師Cさんは物腰の柔らかい優しい人柄です。
しかしすぐ緊張してしまうタイプでした。
訪問先の利用者さんのご家族はケアに対する細やかな要望をお持ちで、訪問看護師がケアをしている時ずっと後ろで見ています。
「粗相をしてはいけない!」という気持ちでいっぱいになってしまったCさんは、訪問後ぐったり疲弊しきってしまいました。
多職種連携の難しさ
訪問看護には多職種連携の難しさもあります。
訪問看護で特に連携する機会が多いのは、医師やケアマネージャーです。
連携の際の主な難しさは以下のことがあげられます。
- 報告・連絡・相談の内容やタイミング
- 連絡手段
- 電話やFAXのマナー
報告・連絡・相談は、どんな状況のときにどこまで伝える必要があるのかを悩み迷うことがあります。
まだ待っていいのか、今すぐ報告したほうがいいのか、タイミングの難しさを感じます。
連絡手段も連携する各事業所で違うことがよくあります。
- 電話
- FAX
- ICTツール
各事業所に合わせて使い分ける必要があります。
電話での挨拶、簡潔に伝わる報告、FAXの文章の書き方など、マナーや報告スキルも必要です。
訪問看護ステーションに入職したばかりの訪問看護師Dさん。
徐々に独り立ちし、受け持ち利用者さんのもとへひとりで訪問する機会も増えました。
しかし、受け持ち利用者さんの主治医やケアマネージャーはそれぞれで違い、複数の事業所の医師やケアマネージャーと関わる必要があります。
名前を覚えるだけでも大変。
報告の際の連絡手段もそれぞれの事業所で違います。
報告のタイミングも、A事業所では「もっと早く教えてほしかった」と言われ、B事業所では「今じゃなくていい」と言われてしまうことがありました。
その都度上司や先輩に相談しながら、日々奮闘しています。
決められた時間がある難しさ
訪問看護には決められた時間がある難しさもあります。
訪問看護では、1回の訪問時間があらかじめ決まっています。
- 介護保険の場合:30分もしくは60分で介入のことが多い(厳密に言うと20分未満・60分以上90分未満という場合もあります)
- 医療保険の場合:30分〜90分で介入
利用者さんによって決められた訪問時間があるので、その時間内で必要なケアを提供します。
しかし、各利用者さんによって提供するケアの内容は異なり、ケア内容が多い利用者さんもおられます。
必要なケアや関わりを事前に考え時間配分をし、時間内に訪問を終えられるようにしなければならない難しさがあります。
訪問看護では、病棟のように時間をおいてあとで訪室するということは基本的にはできません。
次の訪問に遅れないためにも時間内に訪問を終えることは大切です。
これがなかなか難しく、慣れないうちは特に難しさを感じます。
訪問看護を始めたばかりの訪問看護師Eさん。
まだまだ不慣れなことも多い中、受け持たせていただいた利用者さんはとてもお話好きの方。
必要な情報収集をしたいけど利用者さんは話があっちに行ったりこっちに行ったりでなかなか聞きたいことが聞けません。
さらに「実は〇〇なことがあって…」と観察実施項目が増えてしまいました。
気づけば残り時間はもう10分。
時間がなくなってしまい焦ってしまいました。
オンコール対応の難しさ
訪問看護では、オンコール対応の難しさもあります。
時間外待機のことです。営業時間外に利用者さんからかかってきた電話に対応します。電話相談のみで解決する場合もありますが、必要があれば夜中でも臨時訪問をします。
オンコール対応のいちばんの難しさは状況判断です。
利用者さんやご家族が説明する内容に対し、電話対応で終わって良いか、臨時訪問をすべきか判断します。
利用者さんやご家族は医療従事者ではないのでうまく状況を伝えられないこともよくあります。
パニックになっているとなおさらです。
また、電話相手の利用者さんは受け持ち利用者さんではなく、初めて関わる利用者さんであることもあります。
普段よく知らない利用者さんの場合、対応の難しさは倍増します。
オンコール対応を始めたばかりの訪問看護師Fさん。
利用者さんから相談の電話がありました。
相手は自分が普段訪問していない利用者さんでした。
タブレット端末でだいたいの情報は見られるものの、関わったことのない方のアセスメントを電話で実施することは思った以上に難しく、困難さを感じました。
電話対応の末、臨時訪問をすることにしましたが、普段は訪問したことがないお宅なので家の場所もわからず、辺りが暗い中知らない家を尋ねる難しさも感じました。
普段訪問していないので家族構成やどのような人柄の利用者さん・ご家族なのかもよくわかりません。
いろいろ気を使いながら対応する難しさをさらに感じました。
訪問看護の難しさの乗り越え方
訪問看護では難しさを感じる場面が少なからずあります。
ひとつお伝えしたいことは、訪問看護の難しさは誰しもが感じる可能性があるということです。
決してあなただけではありません。
乗り越えていくためには経験を重ねていくことがいちばんの近道です。
温かく見守ってくれる上司や、お互い助け合い相談しあえる仲間の存在が難しさを乗り越えていく大きな力になります。
正しく学び、仲間とともに良い経験を積み重ねていける素晴らしい訪問看護ステーションで働けることが、訪問看護の難しさを乗り越えていくいちばんの方法です。
まとめ:訪問看護の難しさを乗り越えた先にはやりがいや楽しさがきっとある
訪問看護を始めたばかりの時はさまざまな難しさを感じます。
しかし、それを乗り越えた先には、きっとやりがいや楽しさがあるはずです。
ビジケアには訪問看護で困った時、迷った時に解決の糸口になるお役立ち記事がたくさんあります。
ぜひ一緒に乗り越えていきましょう。
あなたの未来を応援しています!