訪問看護のプライマリ・ケア!利用者さんと家族の言い合いを仲裁する時のポイント!

訪問看護は、利用者さんやその家族にとって望ましい療養生活が送れるように医療処置や生活支援だけでなく、精神的なケアも積極的に行っていきます。

そのため、利用者さんやその家族にとって、訪問看護師は”身近で何でも相談できる医療=プライマリ・ケア”になると思います。

訪問看護の現場では、利用者さんと家族が言い合いをしている場面に度々、遭遇します。

みなさんは言い合いが始まってしまった時、どのように仲裁するべきか困った経験はないですか?

今回は、訪問看護のプライマリ・ケアとして、利用者さんと家族の言い合いを仲裁する時のポイントについて紹介します。

 

訪問看護の利用者さんと家族が言い合いする時とは?

 

訪問看護の利用者さんと家族が言い合いになる時は、以下の2つのパターンが考えられます。

 

  1. 利用者さん、家族ともに、自分自身の考えが常識的、客観的、利他的であると思い込んでいる”冷戦”パターン
  2. 利用者さんが感情のコントロールが難しくなっており、家族に対して暴言を吐いている”熱戦”パターン

 

冷戦と熱戦の2パターンに応じた仲裁のポイントについて以下で紹介します。

 

1.冷戦パターン時の仲裁のポイント

 

人間には、自分よりも相手のほうが自己中心的、利己的な傾向にあると思い込んでしまう、ナイーブ・シニシズムという認知バイアス(思い込み)があります。

そのため、利用者さん、家族ともに、自分自身の考えが常識的、客観的、利他的であると思い込んでしまうため、相手の発言を素直に受け入れられず、お互いが反発することで言い合いが起きてしまいます。

このパターンでの仲裁では、看護師が利用者さん、家族のどちらかの意見の肩を持ってしまうとその後の関係性が悪くなる可能性があります。

そこで、利用者さんと家族の意見をしっかりと聞き、共通点を見つけ出すことで仲裁を図りましょう!

例えば、デイサービスに行くかどうかで利用者さんと家族が言い合いをしていた場合。

利用者さんは、今のままの生活で良い、自分のことは自分がよく分かっている、家族が楽をしようとしているなどの理由から、デイサービスに行きたくないと主張しています。

家族は、今よりも活動的になることで体力がつく、利用者自身が楽になるなどの理由から、デイサービスに行ってほしいと主張しています。

この利用者さんと家族の主張の共通点は、「現状の自宅生活が危ぶまれる」ことであると考えられます。

つまり、利用者さんは新しくデイサービスを始めることで、生活リズムが崩れることで現状の自宅生活が危ぶまれると考え、家族はこのままの活動量では体力が落ちていくことで現状の自宅生活が危ぶまれると考えています。

そこで、看護師が仲裁に入る時には、「二人とも自宅での生活を続けるために色々と考えているんですね。」と言い合いに割って入ることで仲裁していきましょう。

看護師からお互いの意見の共通点=良い点を共有されることで、利用者さんと家族はお互いが自己中心的な主張でないと気づき、言い合い=ではなく、話し合いをしやすくなると思います。

「二人とも自宅での生活を続けるために色々と考えているんですね。」は、様々な言い合い場面で使えるテンプレートだと思いますので、是非、アレンジしながら使ってみてくださいね!

 

2.熱戦パターン時の仲裁のポイント

 

利用者さんが家族に暴言を吐いている=合理的な主張でない場合は、利用者さんと家族の言い合いにすぐさまに割って入り、一旦、利用者さんと2人で話をしましょう。

利用者さんが暴言を吐く理由には、認知症や加齢による脳機能低下(前頭葉の萎縮)による感情コントロールの低下以外にも、以下の4つが考えられます。

 

  1. 体調が悪い時
  2. 自尊心が傷ついている時
  3. 不安や心配がある時
  4. イライラしている時

 

利用者さんと二人で会話する時には、言い合いになったテーマについて話すのではなく、上記のテーマで話を聞きだしていくことで、利用者さんの感情が安定し、家族との話し合いがスムーズになると思います。

それぞれの利用者さんによって、感情が不安定になるトリガーが異なります。

例えば、天候の変化による体の痛みが強い(季節痛)、睡眠不足なども関係することもあります。

利用者さんの体調や精神面のアセスメントを日頃から丁寧に行うことで、言い合いの仲裁がスムーズにできると思います!

 

まとめ

 

今回は、訪問看護のプライマリ・ケアとして、利用者さんと家族の言い合いを仲裁する時のポイントについて紹介しました。

訪問看護の利用者さんと家族が言い合いになる時は、お互いの意見を冷静にぶつけ合う”冷戦”パターンと利用者さんが暴言を吐いてしまう”熱戦”パターンの2つになります。

 

冷静パターン

”冷戦”パターンでは、お互いの主張をしっかりと聞き、共通点を共有することで仲裁に入っていきましょう!

「二人とも自宅での生活を続けるために色々と考えているんですね。」という文章は、様々な言い合い場面で使えるテンプレートだと思いますので、参考にしてみてほしいです!

 

熱戦パターン

”熱戦”パターンでは、言い合いを一旦、中断してもらい、利用者さんと二人で話をしましょう。

利用者さんが暴言を吐いてしまう場合には、体調が悪かったり、イライラしていたり、不安があるなど精神的に不安定になっている可能性があります。

利用者さんと話をする時には、言い合いになったテーマで話をするのではなく、体調面や精神面を気にかける話をし、感情を落ち着かせるように関わってみましょう!

 

 

訪問看護の利用者さんと家族の言い合いには、看護師が仲裁に入っていきましょう。

仲裁に入ることで、利用者さんや家族の考えを共感し、信頼関係を築きやすくなります。

仲裁で困った時には、今回紹介したポイントを是非、活用してみてくださいね!

 

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