訪問看護の利用料は、介護保険または医療保険により算定します。
利用者さんが利用した訪問看護料金のうち、7割から9割を各保険者に請求します。
公費で負担をする場合を除き、基本的には残りの1割から3割は、利用者さんの自己負担となります。
各保険者に請求をした際に不備や誤りがあると、返戻となってしまいます。
今回は、訪問看護における返戻で多いパターンを詳しく解説します。
請求業務に係ることの多い訪問看護の管理者さんや事務員さんは、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護における請求業務とは?
医療保険での訪問看護の請求業務
医療保険での訪問看護では、訪問看護利用料を訪問看護療養費として訪問看護療養費請求書と訪問看護療養費明細書により請求を行います。
訪問看護療養費の請求先は、各医療保険の保険者や後期高齢者医療広域連合です。
しかし、上記への支払いは審査支払機関に委託されています。
そのため、医療保険での訪問看護療養費請求書および訪問看護療養費明細書の提出先は、事業所のある都道府県の社会保険診療報酬支払基金もしくは都道府県の国民健康保険団体連合会となります。
介護保険での訪問看護の請求業務
介護保険での訪問看護では、訪問看護利用料を介護給付費請求書と居宅サービス介護給付費明細書により請求を行います。
介護給付費の請求先は、市区町村の保険者です。
しかし、医療保険と同様に介護報酬の審査や支払いについては、都道府県の国民健康保険団体連合会に委託されています。
また、介護保険での訪問看護を利用した際には、ケアマネジャー等が作成する給付管理表と訪問看護の介護給付費請求書を突き合わせて確認します。
訪問看護における返戻とは?
前項であったように、訪問看護費は各審査支払機関に請求します。
訪問看護費の請求書を提出する際に、請求内容に不備がある場合には返戻(へんれい)として請求書が受理されないことがあります。
返戻となった場合には、請求したお金は支払われません。
一度請求審査を通過し、支払いが行われた請求についても、誤りが発見された際には返戻となります。
これは過去5年に遡って返戻となる可能性もあるため、5年分の請求資料は必ず保管するようにしましょう。
訪問看護における返戻による事業所への影響とは?
訪問看護費の請求において返戻が多くあるということは、請求業務の出し直しが必要となり、事業所に収益が入るのが遅れることになります。
その結果、事業所に在籍するスタッフへの人件費の支払いに影響が出たり、固定費の支払いが遅れると会社としての信用を失うことにもなりかねません。
また、返戻を修正して再請求を行う手間もかかるため、請求業務を行う事務員や管理者の業務負担の増大につながります。
このようなことから、返戻は極力少なくしたいものです。
訪問看護における返戻で多いパターンとは?
訪問看護費の請求では、返戻になりやすい項目を解説します。
保険証の間違いによる返戻
保険証にはそれぞれ保険証番号があります。
この保険証番号を請求の様式に記載しますが、この番号に1桁でも相違があれば利用者さんの氏名や生年月日と合致せず返戻となります。
保険証番号を電子カルテや請求ソフトに入力する際には、十分に確認する必要があります。
負担割合証の間違いによる返戻
介護保険証には負担割合証があり、負担割合には区分や特記事項があります。
この記載事項の入力間違いにより返戻となる場合があります。
負担割合証の情報をよく確認し、正しく入力しましょう。
公費番号の間違いによる返戻
公費を使用して訪問看護費を算定する場合には、請求の様式に公費番号を記載します。
公費には公費番号が割り振られており、この番号の相違により返戻となる場合があります。
特に介護保険で訪問看護を利用する利用者さんが生活保護を受けている場合には、介護保険と併用して請求するパターンと生活保護単独で請求するパターンがあります。
公費の仕組みを理解することで、請求業務をスムーズに行うことができます。
訪問看護指示書の内容との相違による返戻
特別管理加算を算定する場合や、厚生労働省の定める別表7及び8に該当する疾患や状態がある場合には、レセプトに記載する必要があります。
医療保険の訪問看護費の請求では、心身の状態を記載します。
このように訪問看護指示書に基づいて請求書に記載する際に、不足や内容に誤りがある場合には返戻になります。
ケアマネジャーが提出する管理給付表との相違による返戻
介護保険による訪問看護費を請求する場合には、ケアマネジャーが提出する管理給付表と突き合わせて確認されます。
この際に、ケアマネジャーが提出する管理給付表と訪問看護が提出した請求書とに相違がある場合には返戻となります。
返戻があった際にはどのように対応する?
返戻があった場合には、改めて請求書を作り直して再提出する必要があります。
介護保険で返戻があった場合は、再請求する際にケアマネジャーの提出する管理給付表と合っているか再度確認する必要があります。
サービスが行われた月の翌々月から2年間は支払いを受ける権利がありますが、それを過ぎると訪問看護費は請求できなくなります。
そのため、返戻があった場合には速やかに確認を行い、再提出を行いましょう。
まとめ
今回は、訪問看護における返戻で多いパターンについて解説しました。
請求業務で返戻が増えると、事業所としての収入が遅れてしまい給与や固定費の支払いに影響を及ぼします。
また、請求業務を担う管理者さんや事務員さんの負担も増えるため、返戻は極力少なく抑えたいですね。
ビジケアでは、返戻を少なくするための請求業務における工夫やポイントをお伝えしています。
訪問看護の請求業務での返戻が多くお困りの方は、ぜひビジケアにご相談ください。