精神疾患がある方の訪問看護に介入したい場合、訪問看護ステーションであればどこでも誰でも入れるものなんでしょうか?
答えは、訪問看護ステーションであっても、どこでも誰でもは入れません。
精神疾患のある利用者さんへの精神訪問看護の実施には、ある条件を満たしていないと介入できません。ある条件については、記事の中で説明していきます。
私はこれまで内科や外科での看護経験はありますが、精神科の看護経験はありません。
将来的に考えても、精神疾患がある利用者さんへの訪問看護はこれから必須になってくるでしょう。
私も将来を見据えて、精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たすWEB研修を受講しましたので、これから受講しようと思っている看護師さんたちの参考になればと思い、精神のWEB研修について受講の感想もふまえながらお伝えしていきたいと思います!
精神科訪問看護基本療養費について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
目次
精神科医療の現状
精神疾患を有する総患者数は2017年時点で約419.3万人(入院:約30.2万人、外来:約389.1万人)です。精神病床の入院患者数は減少傾向にあるのですが、外来患者数は増加傾向にあります。
精神疾患を持っている外来患者の数は、アルツハイマー病による認知症が15 年前と比べて約7倍、躁うつ病を含む気分障害が約1.8 倍、神経症性障害・ストレス関連障害及び身体表現性障害が約1.7 倍と増加の割合が顕著なのが分かります。
精神科患者数は年々増加してますが、精神病床における平均在院日数は年々短縮されており、確実に医療機関から在宅へ移行している様子がうかがえますね。現在、精神科患者が訪問看護を必要としている時代となってきています。
精神科訪問看護基本療養費の算定するには
訪問看護で精神疾患のある利用者さんに介入したい場合は、精神科訪問看護療養費の算定要件を満たす訪問看護ステーションとして、地方厚生局に届け出をしていることが必要となります。
訪問看護ステーションの保健師、看護師、准看護師または作業療法士は、以下のいずれかに該当するものでなければならず、職員の届出が必要です。理学療法士・言語聴覚士は対象外となっています。
以下のいずれかに該当しなければ精神科訪問看護基本療養費の算定はできないことになります。
④の研修には、次の内容を含むものであります。
- 精神疾患を有する者に関するアセスメント
- 病状悪化の早期発見・危機介入
- 精神科薬物療法に関する援助
- 医療継続の支援
- 利用者との信頼関係構築、対人関係の援助
- 日常生活の援助
- 他職種との連携
- GAF尺度による利用者の状態の評価方法
病院勤務のときは、内科や外科勤務で精神科の患者さんの看護にあたったことがなかったり、病棟には精神疾患を持ち合わせていた患者さんはいたけど精神中心の看護は経験しなかったといった看護師さんも少なくないのではないでしょうか?
私も内科、外科での勤務経験はありますが、精神科の勤務経験はありませんので①~③には当てはまりません。
上記の①~③に該当しない看護師さんは、④を満たせば精神科の利用者さんへの訪問看護にも介入できるということになります。
では、「国、都道府県又は医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした20時間以上の研修を修了している者」にあたる研修はどこで受けられるのでしょうか?
次にどこで研修を受けることができるのかをお伝えしていきます!
精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たす研修はどこで受ける?
精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たす研修は、各団体主催で開催されており、参加方法は集合研修やWEB(オンライン)研修があり、自分の受けやすい方法を選ぶことができます。
研修の開催は様々な団体でされており、一部紹介すると以下のような団体があります。研修費用は、各団体により違いがあり、また会員と非会員で料金が1万円~2万円違いますので、ご自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
日本精神科看護協会: 会員22,000円 非会員44,000円
JVNF 公益財団法人 日本訪問看護財団: 会員15,000円 非会員25,000円
全国訪問看護事業協会: 会員15,000円 非会員25,000円
など
精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たす研修は、これまでは決められた精神の研修ができる会場に出向き3日ほど受講をすると精神の修了証がもらえましたが、2020年では研修をWEB(オンライン)で行えるようになりました。
WEB(オンライン)研修を受講する場合は、約20時間で精神の受講が完了するとPDFで修了証がもらえます。
WEB(オンライン)での受講は、自分の都合に合わせ受けられるため受講時間の短縮、スケジュールの調整も付きやすいなどのメリットがありますね。
次に、私が実際受講したVNF 公益財団法人 日本訪問看護財団のWEB研修についての流れや感想をお伝えしたいなと思います。
精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たすWEB研修受講の流れ
私は、VNF 公益財団法人 日本訪問看護財団の団体が開催しているWEB研修を受講しました。
受講の流れは以下のように進めていきます。
受講可能な期間内(3カ月間)に以下の3つすべての要件を満たすことで修了となります。
①すべての必須動画を1回以上、最後まで視聴
②すべての確認テストに80%以上の正答率で合格
③コース末のコースレビュー(アンケート)に回答し、送信
コースレビュー(アンケート)は、①②の条件を満たすまでは回答できない仕組みになっています。
修了要件を満たしたら、自動的にログイン後のページ(マイルーム)に修了証書ボタンが表示され、そのボタンをクリックすると修了証書が画面上に表示されます。修了証書は印刷することも可能ですし、PDF で保存することもできます。
研修内容は第1章~7章まであり、研修時間(動画視聴時間)は各章により異なりますが108~200分です。
研修(動画視聴)を修了すると、各章ごと最後にテストを受けることになっており、80%以上の正解で各章ごとに合格となり、次の章に進んでいきます。第7章まで視聴すると最後は第1~7章までの全内容のテストを受けます。これに合格すると修了証書をもらうことができます。
研修期間は3カ月間となっていますので、私はコース内の「目次」を見てコースの全体構造などを確認し、計画を立てて受講しました。
WEB受講であれば、仕事や家事や育児の合間に受講することができましたので、自分の生活の中で無理なく期間内(3カ月間)に受講することができました。
精神科訪問看護療養費の届出要件を満たす研修に関するQ&Aがありましたので、以下にご紹介しておきます。
引用)令和2年版訪問看護実務相談Q&Aより
Q精神科訪問看護療養費の届出要因を満たす研修にスタッフが参加する予定ですが、実際に届出をした場合は、研修を受けたスタッフしか訪問できないのでしょうか。事務所内で伝達講習を行えば、ほかのスタッフも訪問できますか。
A記載伝達講習では要件を満たすことはできません。研修を受け、届け出をしたスタッフしか精神科訪問看護基本療養費は算定できません。
まとめ
今回は、精神科訪問看護療養費の届出要件を満たすWEB研修について、私の感想をふまえてお伝えしました。
精神科患者数は年々増加しています。確実に医療機関から在宅へ移行してますので、精神疾患のある利用者さんへの訪問看護にも介入できるステーションになれるように、まだ精神科訪問看護療養費の届出要件を満たしていない場合はご自身やステーションスタッフのステップアップとして受講してみてはいかがでしょうか!
①精神科を標榜する保険医療機関において、精神病棟又は精神科外来に勤務した経験を1年以上有する者
② 精神疾患を有する者に対する訪問看護の経験を1年以上有する者
③精神保健福祉センターまたは保健所等における精神保健に関する業務の経験を1年以上有する者
④国、都道府県又は医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした20時間以上の研修を修了している者