精神科訪問看護における作業療法士の役割とは?リハビリ視点での支援を6つ紹介します!

精神科病院に入院している患者さんの退院先の希望は、自宅もしくは賃貸住宅(アパート)が5割弱で最多であると言われています。

しかし、退院者の4割は退院後1年以内に再入院しており、退院後の地域生活において必要な医療等による支援が途切れ、精神症状が再発することにより、地域で生活することが困難になることが多いようです。

上記のことから精神科訪問看護は、精神疾患を持つ利用者さんやその家族からのニーズが高いです。

精神科訪問看護では、地方厚生局に届け出をした看護師や作業療法士が、それぞれの強みを生かして利用者さんの望む生活が送れるように支援していきます。

精神科訪問看護の役割については、下記の記事を参照ください。

 

 

今回は、精神科訪問看護における作業療法士の役割としてリハビリ視点での関わりを6つ紹介します。

 

精神科訪問看護における作業療法士の役割 ①

1つ目は、「日常生活動作の支援」になります。

 

 

精神疾患を持つ利用者さんは、在宅生活の不安が強かったり、意欲が低くなっている場合に日常生活動作ができなくなっていることがあります。

そこで、作業療法士は歩行、食事、排泄、入浴などの日常生活動作を見せてもらい、楽にできるコツや手順の助言をしたりしながら一緒に練習していきます。

利用者さん自身でできる日常生活動作を身に付けることは、不安の軽減や意欲の向上だけでなく、生活リズムを整えることが期待できると考えます。

 

精神科訪問看護における作業療法士の役割 ②

2つ目は、「家事動作の支援」になります。

 

 

精神疾患を持つ利用者さんは、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの認知機能を障害されてしまうことがあります。

これにより、手順が多く複雑な家事動作をスムーズに遂行できなくなります。

そこで、作業療法士は一緒になって家事動作をやってみたり、アドバイスをしながら利用者さんのペースで練習し、手順の習得や作業耐久性の向上を図っていきます。

家事動作の支援は達成感や自信を感じやすく、日中を有意義に過ごすきっかけになることが多いと考えます。

 

精神科訪問看護における作業療法士の役割 ③

3つ目は、「外出の支援」になります。

 

 

精神疾患を持つ利用者さんは、妄想や幻覚により外出への恐怖や警戒心を感じてしまったり、意欲の低下から閉じこもりになってしまい、外出が難しくなることがあります。

そこで、作業療法士は利用者さんの考えに共感しつつ、「外出」に対して様々な角度からの考え方をアドバイスしていき、外出=恐怖、警戒という固まった考え方をほぐすように関わっていきます。

そして、一緒に外出して散歩に行ったり、買い物に行ったりしながら、自信や意欲の向上を図っていきます。

 

精神科訪問看護における作業療法士の役割 ④

4つ目は、「創作活動の支援」になります。

 

 

精神疾患を持つ利用者さんは、漠然とした不安や焦燥感から何も手をつけられず悩んでいることがあります。

そこで、作業療法士は折り紙や絵画、パズル、園芸などの創作活動をリハビリの時間に一緒に行い、気分転換や集中力の向上を図ります。

これらの創作活動では、利用者さんの興味や関心を知るきっかけになったり、家族や他の支援者との会話のネタとなり、承認欲求を満たすことができたりします。

 

精神科訪問看護における作業療法士の役割 ⑤

5つ目は、「生活リズムの支援」になります。

 

 

精神疾患を持つ利用者さんは、睡眠障害や日中の活動性の低下により昼夜逆転してしまいやすいです。

また、精神症状が不安定になったり、疲労やストレスが溜まっている状態になると生活リズムが乱れていきやすいです。

そこで、作業療法士は利用者さんと一緒に生活リズムを整えるための計画を立てていきます。

この計画では、生活の中の行動を結び付けて「夜にシャワーを浴びた後にはベッドに横になる」のように決めたり、何時に寝て何時に起きたかを記録する睡眠確認表を作成したりしていきます。

規則正しい生活を送ることは、利用者さんが元気な状態を維持するために重要と考えます。

 

精神科訪問看護における作業療法士の役割 ⑥

6つ目は、「運動機能の支援」になります。

 

 

精神疾患を持つ利用者さんの中には、筋力が低下し歩行が不安定になっていることや腰痛などの体の痛みが生じていることで、活動性が低くなっている場合があります。

最近では、主治医より運動機能の支援に関する作業療法士への指示があることも多い印象です。

そこで、作業療法士は筋力向上の運動や痛みを軽減するためのストレッチを行っていきます。

また、ストレスや不安などを長期間感じている場合、ドパミンが放出されにくくなり、痛みを感じやすくなることがあります。

このような場合は、痛みの有無や程度を評価し、痛みに対する運動やストレッチをするだけでなく、ストレスや不安などの気分や生活状況を確認し、必要に応じて楽しいと感じられるような適度な運動やウォーキングを行ったりします。

 

まとめ

精神科訪問看護における作業療法士の役割について6つ紹介しました。

 

作業療法士の役割
  1. 日常生活動作の支援
  2. 家事動作の支援
  3. 外出の支援
  4. 創作活動の支援
  5. 生活リズムの支援
  6. 運動機能の支援

 

精神科訪問看護の作業療法士の役割は、看護師と重なる部分が多いと思いますが、それぞれの強みを生かしていくこともできます。

作業療法士は、リハビリの視点から利用者さんの生活の幅を広げられるような支援を行ったり、気分転換やポジティブになれる活動を行うことで利用者さんが希望を持って生活できるように関われると思います。

 

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