訪問看護ステーションの将来性について考えたことはありませんか?
「訪問看護ステーションを立ち上げようと考えているけど、将来性はどうなんだろう?」
「訪問看護ステーションのリハビリが厳しくなってきているって聞いているけど本当かな?」
「訪問看護ステーションが沢山増えているけど、これからも増えるのかな?」
上記のように、訪問看護ステーション勤務している方や、これから新規開設を検討している方にはとても気になるところだと思います。
実際、近年訪問看護ステーションは大幅に増えています。
令和3年度訪問看護ステーション数調査結果によると、2010年に6000事業所程度だったのが、2021年には、13000事業所を超えています。
今後もこの流れが続くのでしょうか?
この記事では、その辺りを踏まえて、訪問看護ステーションの将来性について考えていきたいと思います。
では、早速解説したいと思います。
目次
訪問看護ステーションの将来性
一括りに訪問看護ステーションの将来性といっても幅広いので、今回は「需要と供給」、「単価」から、どのような訪問看護ステーションが生き残れるか考えていきたいと思います。
需要と供給
一方で供給側はどうでしょうか?
先ほども記載通り、訪問看護ステーションはここ10年で2倍に増えています。
その間の65歳以上の人口の推移は2010年は2925万人程度に対し、2020年は3600万人程度になっています。
概算で1.2倍程度の増加率となります。
数字だけ見ると訪問看護ステーションの数が圧倒的に増えており、過剰供給になりかねないところもありそうですね。
令和3年度訪問看護ステーション数調査結果では、前年度に比べ、大都市を中心に急増している一方で、岐阜県や滋賀県は訪問看護ステーションが減っているところもあります。
地域の高齢化率など状況によって過剰供給になり始めているところもあるかもしれません。
単価
訪問看護ステーションの単価は、介護保険と医療保険の改定ごとに変わり、介護保険は3年に1度、医療保険は2年に1度の改定となります。
近年では、令和3年度に介護保険、令和2年度に医療保険の改定がありました。
介護保険の改定では、ここ数回は看護師訪問による算定点数(Ⅰ2、Ⅰ3、Ⅰ4)は上昇傾向です。
また加算についても、看護師割合、医療依存度が高い訪問看護ステーションに多く加算がつくようになっており、看護師訪問による収益性は高くなってきています。
一方、理学療法士等による算定点数(Ⅰ5)は減少しており、理学療法士単独での訪問サービスができなくなるなど、風当たりが強くなってきています。
医療保険も介護保険同様に、理学療法士等の訪問に対して、加算がつかないなど理学療法士等の訪問に対して制限が増えてきておりますが、まだ単価に対して大きな減算などはなくきております。
医療保険は令和4年度に改定がある為、どのように変わるか見守る必要がありそうです。
「需要と供給」、「単価」から見えてきたもの
上記の「需要と供給」、「単価」から、下記の4点が見えてきました。
・今後も20年は訪問看護ステーションの需要は高い。
・今後も65歳以上の高齢者が増えているが、過剰供給になる可能性も出てきている。
・理学療法士等による収益化が難しくなってきている。
・医療依存度の高い方をみることができる訪問看護ステーションが収益性が高い。
では、将来性のある訪問看護ステーションにする為に、どのような運営をしたら良いでしょうか?
将来性のある訪問看護ステーションとは?
看護師の人員割合は最低6割
近年看護師の人員割合について、議論になっており、機能強化型の加算を取るためには必須となっております。
今後状況によっては、訪問看護ステーションの運営に常勤換算2.5人必要なように、看護師割合が6割になることも可能性としてあります。
また、理学療法士等の訪問についても、算定点数が低下、訪問するにも条件が厳しくなってきています。理学療法士等のリハビリ職の専門職割合が多い訪問看護ステーションは、厳しくなっていくことが予測されます。
理学療法士等のリハビリ専門職が多い訪問看護ステーションの中には、看護師割合を上昇させるため、デイサービスを併設するところが増えてきています。
今後一時的に理学療法士在籍するデイサービスが増加するかもしれませんね。
大規模訪問看護ステーション
訪問看護ステーションの規模は、看護師10名以上、利用者さん100名以上が理想となります。
看護師が多く在籍すると下記のメリットがあります。
「連休や休みが取りやすい」
「訪問頻度の高い利用者さんも受けられる」
「夜間の緊急対応もスタッフで分散出来、無理が少ない」
「収益の安定化」
今後、訪問看護ステーションの大規模化は必須です。
市場の充実
訪問看護ステーションは地域によって、供給過多になっている可能性もあります。
また都市部では、訪問看護ステーションが乱立し、競争が激しくなっています。
これから訪問看護ステーションをどこでも市場が充実しているとは限りません。
今ある訪問看護ステーションも、これから開設予定の訪問看護ステーションも必ず市場調査を行い、競合が少ないところを攻めていくことが必要となります。
訪問看護ステーションの将来性まとめ
今回は、訪問看護ステーションの将来性についてみてきました。
・リハビリ職の収益低下、看護師割合を高めることが重要。
・訪問看護ステーションの大規模化で、医療依存度の高い利用者さんの獲得が必要。
・訪問看護ステーションは今後も需要が高いが地域差がある。市場調査を行い、地域の把握が必要。
いかがでしたでしょうか。
今回は、訪問看護ステーションの将来性についてみてきました。
地域包括ケアシステムにおいて、訪問看護ステーションはとても重要な役割を担っています。
地域に根付くためにも、安定した運営が出来るように一緒に勉強していきましょう。
訪問看護ステーションは、高齢者の増加によって成長してきたことは間違いないと思います。
その高齢者の増加は、現在も右肩あがりであり、令和2年版高齢社会白書では、65歳以上の高齢者は令和24(2042)年に3,935万人にピークを迎え、令和元年3,589万人よりもさらに増えると推測されています。
また、近年訪問看護ステーションの認知度も上昇しており、地域包括ケアシステムの構築、在宅での看取りなどが推進されていることから、あと20年程度は訪問看護ステーションの需要は高いと考えられます。