少子高齢化の加速や医療・介護の在宅シフトによって、訪問看護ステーションの需要は年々高まっています。
一方で、「訪問看護は今後伸びるのか?」「将来性は本当にある?」「これからの時代に備えて何をすべき?」と不安を感じる管理者・看護師も少なくありません。
本記事では、訪問看護ステーションの将来性をデータと背景からわかりやすく整理し、これから訪問看護ステーションが取るべき対策について具体的に解説します。
これから開業する人、既に運営している人、働いている看護師すべてに役立つ内容です。
目次
訪問看護ステーションの将来性は“非常に高い”
まず結論として、訪問看護ステーションの将来性は非常に高いと言えます。
理由は大きく4つです。
1.国の方針が「入院から在宅」へシフトしている
国は病床削減を進めながら、医療と介護の拠点を在宅へ移す方針を明確にしています。
● 病院から地域へ
地域包括ケアシステムによって、「治療の中心は病院 → 生活の中心は地域」へと大きく転換が進んでいます。
● 在宅医療・訪問看護の強化
2040年に向けて在宅医療の拡充は国策であり、訪問看護はその中心的役割を担っています。
この流れは後戻りすることはなく、訪問看護需要は今後も増え続けると予測されています。
2.超高齢社会で医療依存度の高い利用者が増加
2025年には団塊世代が全員75歳以上になり、2040年には高齢者人口の割合がさらに増えます。
高齢者の増加に伴い、
・慢性疾患
・認知症
・医療的ケア
・終末期ケア
など在宅での継続支援が必要なケースが急増しています。
これに対応できるのは訪問看護ステーションであり、今後も需要は確実に拡大します。
3.小児訪問看護・精神科訪問看護など専門領域が伸びている
以前は「高齢者中心」のイメージが強かった訪問看護ですが、近年は以下の領域が急成長しています。
● 小児訪問看護
NICU退院児、医療的ケア児などの在宅移行が進んでおり、専門性の高い訪問看護が求められています。
● 精神科訪問看護
精神科病院の長期入院を減らすため、在宅移行が全国的に進められています。
● 中重度訪問看護
重度障害・難病・終末期ケアなど、医療依存度の高い利用者への訪問が増加。
今後は“専門領域に強いステーション”の価値が高まると予測されます。
4.訪問看護は、病院よりも「働きやすい」職場として人気が上昇
看護師不足が続く中で、
・日勤のみ
・残業少なめ
・自由度の高い働き方
など、訪問看護は働き方改革に適合している点から人気が高まっています。
看護師から選ばれるステーションは、今後ますます発展しやすくなります。
訪問看護ステーションが直面している課題
将来性は高いものの、訪問看護ステーションは課題も多く抱えています。
ここでは現場でよく挙がる課題を整理します。
1.人材不足・採用難
訪問看護は人気が出てきたとはいえ、
・独りで訪問が不安
・医療処置が多くて難しそう
・オンコールに抵抗がある
などの理由で人材確保が難しいステーションも多いです。
2.管理者の負担増大
・新規利用者の調整
・スタッフ教育
・医師・ケアマネとの連携
・書類管理
・経営判断
など、管理者に負荷が集中しているケースが増えています。
3.他ステーションとの競争 (特に都市部)
都市部ではステーション数が飽和気味で、
・利用者獲得
・病院営業
・ケアマネとの関係づくり
などの競争が激しくなっています。
4.制度改定による影響
訪問看護は診療報酬・介護報酬の影響を強く受けるため、制度改定ごとに経営判断が必要です。
訪問看護ステーションが取るべき“これからの対策”
ここからは、「これから伸びるステーション」が実際に行っている対策を紹介します。
1.専門領域の強みをつくる(小児・精神科・難病・終末期など)
今後伸びるステーションは「専門性 × 地域ニーズ」が組み合わさった事業所です。
例
・小児に強いステーション
・精神科訪問看護の加算取得
・がん終末期ケアを積極的に受ける
・難病看護に精通したスタッフ配置
強みが明確だと、病院やケアマネからの信頼も得やすくなり、利用者獲得が安定します。
2.スタッフが辞めない“働きやすい環境整備”が最優先
人材確保より大切なのは 人材流出を防ぐこと です。
具体策
・オンコールを無理なく回せる体制
・教育体制の整備(新人サポート・マニュアル)
・残業削減
・訪問件数の適正化
・スタッフの相談のしやすさ
定着率の高いステーションほど成長が安定しています。
3.ICT・DXを積極的に導入する
今後の訪問看護は、
・電子カルテ
・オンライン会議
・情報共有アプリ
・訪問スケジュール自動化
などのDX化が進み、業務効率を大きく改善することができます。
ICT活用により、
・書類業務の負担減
・訪問ルート最適化
・スタッフ間コミュニケーション改善
などが可能になり、働きやすい環境をつくれます。
4.病院・ケアマネへの営業強化
地域で信頼されているステーションほど利用者依頼が安定します。
営業では、
・専門性のアピール
・対応可能な処置の明確化
・緊急対応の体制
・スタッフの経験
などを丁寧に伝えることで差別化できます。
5.管理者の負担を軽減する仕組みをつくる
・事務スタッフの活用
・サブ管理者の配置
・書類業務の分担
・営業担当の設置
「管理者一人に負荷が集中しない」ステーションは長期的に安定します。
まとめ|訪問看護ステーションは将来性が高く、対策次第で大きく伸びる!
訪問看護ステーションの将来性は非常に高いです。
その理由は、
・在宅医療への国策
・高齢化の進行
・小児・精神科など専門領域の拡大
・訪問看護の働きやすさ
など、多くの追い風があるためです。
一方で、
・人材不足
・管理者負担
・競争の激化
・制度改定
といった課題も存在します。
今後生き残り、成長するステーションは、「専門性の強化 × 働きやすさ × ICT活用 × 営業力」をバランスよく整えた事業所です。
訪問看護ステーションは、今後ますます地域で必要とされる重要な存在です。
適切な対策を行いながら、将来に備えた運営を進めていきましょう。



















