訪問看護では、利用者さんと「対等な関係」を築くことが理想的であると考えています!
しかし、病院で働いていると看護師が「上」となり、患者さんが病院のルールや医療職に従ってもらい、訪問看護で働いていると看護師が「下」となり、利用者さんの家のルールや言い分に従順になる傾向があると考えています。
これは、訪問看護の仕事が、「利用者さんが安心して、心地よく生活できるケア」や「利用者さんの疾患だけでなく、性格の特性を考慮するケア」を目指す上で、接遇に気をつけているためだと思います。
私の働いている訪問看護ステーションでも、多くのスタッフが接遇マナーに気を遣っています。
皆さんの職場はいかがでしょうか?
接遇マナーに気を付けることは、医療人としても、社会人としても重要であると考えますが、「利用者さんの言いなりになっている」、「利用者さんに言いたいことが言えてない」ようではまずいです。
そこで今回は、訪問看護に役立つコミュニケーション術として、利用者さんと対等な関係になるためのポイントを紹介します!
目次
訪問看護の利用者さんとの対等な関係とは?
訪問看護の利用者さんとの対等な関係とは、お互いの欲求=言いたいことを素直に伝えあう関係と考えます。
しかし、利用者さんの家のルール、言い分を尊重しようとするがあまりに、遠慮した話し方となり、素直に欲求を伝えられてない場合もあります。
また、利用者さんと適切な距離感を保つことができず、敬意が込められてない言葉遣いになっていない場合には、利用者さんが素直に欲求を伝えられていない可能性があります。
つまり、対等な関係になるためには、欲求の「聞き方」と「伝え方」がポイントになります。
以下で詳しく紹介していきます!
対等な関係になるポイント①
1つ目のポイントは、欲求の「聞き方」になります。
訪問看護の利用者さんの欲求を聞く時には、「もし自分が、利用者の立場なら」と想像し、質問と傾聴を繰り返していきます。
この時、利用者さんとの関係性が薄い場合は、オープンクエスチョンではなく、クローズドクエスチョンが望ましいです。
また、質問の返答から次の質問につなげることで、相手の欲求を引き出しやすいです。
もちろん、マズローの欲求5段階を参考にすることもおススメです。
訪問看護における傾聴の進め方については、以下の記事も読んでほしいです。
対等な関係になるポイント②
2つ目のポイントは、欲求の「伝え方」になります。
欲求の「伝え方」では、以下の2つのポイントが大事になります。
- 疑問形を使わない。
- タイミングを見計らない。
それぞれについて詳しく解説します。
疑問形で伝えない
看護師が欲求を伝える時には、優しくて丁寧な印象を与えようと考え、「〇〇してもらえませんか?」のように疑問形を使うことが多いのではないでしょうか?
しかし、上記のように欲求をストレートに伝えない場合には、利用者さんに悪い印象を与えてしまうリスクがあります。
例えば、疑問形で欲求を伝えると、遠慮した話し方になってしまい、利用者さんに不信感を与えてしまう可能性があります。
また、曖昧な話し方になると、自信がなさそうな印象を与えてしまう可能性があります。
欲求を伝える時には、「〇〇してください。」のような命令形ではいけませんが、「〇〇してほしいです。」とストレートに伝えることがおススメです。
タイミングを見計らない
看護師が欲求を伝える時には、利用者さんの話の区切りが良いところや全部終わった後に話そうとタイミングを見計らっていることが多いのではないでしょうか?
しかし、上記のようにタイミングを見計らっている場合には、ドンドン欲求を伝えられなくなるリスクがあります。
欲求を伝えるタイミングは、看護師の言いたいと感じたタイミングであり、自分から切り出してください。
なぜ、タイミングを見計らうと良くない理由を3つ紹介します。
欲求を言うことを見計らっていると、会話のテーマが変わってしまうことがあり、欲求を伝えるチャンスを失ってしまうことがあります。
欲求を伝えずに我慢して待っていると不安が増大してしまい、いざ話し出すと緊張してしまいます。
緊張した状態で話すと説得力が落ち、利用者さんから同感、同意を得にくくなります。
そして、この失敗からさらに欲求を伝えられなくなり、対等関係から遠のいてしまうと考えます。
欲求を待っている間は利用者さんの話を集中して聴くことができなくなります。
話を聞いてくれていない態度は、利用者さんに見透かされる可能性が高く、徐々に利用者さんから欲求を言ってくれなくなる可能性もあります。
上記の事から、「タイミングを見計らない」ことをおススメします。
しかし、利用者さんの話の途中で話し出すことに抵抗を感じる方もいると思います。
そんな時は、このような前置詞を使い、切り出してください。
まとめ
訪問看護では、利用者さんを尊重することはもちろんですが、それぞれの家のルールに配慮することも重要です。
しかし、利用者さんに遠慮して、看護師自身が素直に欲求を言えない状態は良くないと思います。
訪問看護の利用者さんと対等な関係になるためには、お互いの欲求を言い合いましょう!
この時のポイントが欲求の「聞き方」と「伝え方」になります。
「聞き方」では、「もし自分が、利用者の立場なら」と想像し、質問と傾聴を繰り返していくことをおススメします。
「伝え方」では、疑問形で欲求を曖昧にせずに、「〇〇してほしいです。」とストレートに伝えることをおススメします。
また、欲求を伝えるタイミングは、看護師自身が言いたいことが思いついたタイミングで切り出してみましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。