訪問看護事業所は、毎年新規開設数が右肩あがりである一方、廃止及び休止する事業所も増加しています。
訪問看護ステーションに従事する方や、訪問看護ステーションを運営する経営者の方は耳にすることがあると思います。
今回は、訪問看護ステーションの閉鎖の現状とその理由について解説していきます。
訪問看護ステーションを新規開設する予定の経営者の方や、訪問看護ステーションに従事する管理者さんや運営に関わる職員の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
近年の訪問看護ステーションの稼働数は?
一般社団法人全国訪問看護事業協会の資料によると、令和元年度の全国の訪問看護事業所の稼働数は、11,161ヶ所となっています。
そのうち、令和元年度に新規開設した訪問看護事業所は、1,376ヶ所です。
また、廃止及び休止となった訪問看護事業所は、合わせて764ヶ所に上ります。
新規開設した事業所は年々増加傾向ですが、同時に廃止及び休止の事業所も増えてきていることがわかります。
では、訪問看護ステーションの閉鎖の理由は、どのようなものが多く挙げられるのでしょうか。
訪問看護ステーションの閉鎖の理由とは?
1.人員不足による閉鎖
訪問看護ステーションの人員基準である看護師2.5人を保てず、やむなく事業所の閉鎖に至ることがあります。
訪問看護に対する印象が思っていたものと違うと感じることや、1人での訪問に不安を抱く看護師さんは少なくありません。
そういう看護師一人一人の心身の負担を見過ごしてしまい、退職が続くと人員不足となり人員基準を満たせなくなることがあります。
人員基準を満たせない場合には、事業所の運営を続けることはできません。
2.大規模化に向けた事業所の統合
全国訪問看護事業協会のニュースによると、訪問看護は、今後更なる需要の高まりが予測されており、体制の整備のため訪問看護ステーションの大規模化が推進されています。
大規模化に向けて、訪問看護事業所の統合が行われることがあります。
これにより、一方の事業所は閉鎖として統合された事業所で引き続きサービスを提供していくことになります。
参考:訪問看護推進連携会議「訪問看護アクションプラン2025」
3.母体医療機関への異動
医療機関を母体にもつ訪問看護ステーションの場合、医療機関の人員不足により異動を求められることがあります。
その結果、訪問看護ステーションの人員基準を満たすことができなくなり、閉鎖に至ります。
4.利用者の確保困難
人員基準を守ることができていても、利用者さんがいなければ事業所としての収益を上げることができません。
その結果、事業所の運営ができずに閉鎖となってしまうことがあります。
訪問看護では開所した直後は特に利用者さんの確保に向け、医療相談員やケアマネジャーへの営業活動が必要です。
近隣地区に訪問看護ステーションがいくつもある場合には、利用者さんの取り合いになってしまうこともあります。
訪問看護ステーションの閉鎖を避ける対応策とは?
退職者を極力減らす
上記に挙げた通り、人員不足は直接的に閉鎖につながる深刻な問題となります。
転居や家庭の事情など変えることのできない退職理由もあります。
しかし、仕事に対する不安や負担感については、管理者や経営者の対策によって改善できる可能性があります。
また、ネガティブな理由の退職は、他の職員の士気も下がり更なる退職者を生み出す引き金にもなります。
退職に至る前には職員から必ずサインが出ているはずです。
退職につながる予兆を見逃さず、早期に対応することで退職者を極力減らすことが急な人員不足を回避するための対策と言えます。
サービスの質を維持する
利用者さんの確保困難による閉鎖を避けるためには、事業所としてのサービスの質を維持することが重要です。
営業活動に長けた管理者や職員がいても、実際利用が開始された際に提供されるサービスが見合ったものでなければ、次の依頼は期待できないでしょう。
医療相談員やケアマネジャーの方は、利用者さんからの評価をよく聞いています。
例えば自分が仕事を紹介する立場だったとして、「いつも時間通りに来ないし、連絡もない。」「言葉遣いや態度が悪い。」「情報共有ができていない。」と言った話を利用者さんから聞いたら次に紹介したいと思えないですよね。
事業所をアピールするための営業活動も大切ですが、それと同時に日々のサービスの質も維持、向上していく必要があります。
利用者さんに真摯に向き合いサービスの提供をしていれば、利用者さんから評価され自然と紹介数も増えていきます。
まとめ
今回は、訪問看護ステーションの閉鎖の理由について解説しました。
訪問看護ステーションを開設したなら、長く運営を続けていきたいですね。
ビジケアは、全国の訪問看護ステーションの円滑な運営や困りごとを解決するためのサポートをしています。
定期的に研修会や意見交換会を開催していますので、ぜひご参加ください!