求人を出しても応募が来ない。ようやく採用できても、半年も経たずに辞めてしまう。訪問看護ステーションを経営していると、こうした「採用」と「離職」の悩みが、資金繰りや診療報酬改定への対応以上に、日々の体力と気力を削っていくのではないでしょうか。夜間のオンコールを自分で抱えながら、日中は求人媒体の管理や面接対応に追われる。そんな一人二役、三役の毎日に、正直もう限界を感じている経営者の方も少なくないはずです。
実はこの採用難・離職の問題は、あなたの事業所だけが特別に苦しんでいるわけではなく、訪問看護業界全体が構造的に抱える課題だということが、公的なデータからも裏付けられています。そしてこの課題は、大手・中堅グループの傘下に入るM&A(事業承継)によって、採用力・教育体制・処遇の3つの面から根本的に解決できる可能性があります。この記事では、なぜ訪問看護の採用がここまで厳しいのかというデータの裏付けから、M&Aによって何が変わるのか、費用感まで具体的に解説します。
- 訪問看護ステーションの看護師採用が全施設種類の中でも突出して厳しい理由(一次データつき)
- 訪問看護で離職が起きやすい構造的な要因(オンコール・一人体制・教育不足)
- M&A(大手・中堅グループ入り)によって採用力・教育体制・処遇がどう変わるか
- スタッフに知られずに検討を進める方法と、費用の実際
目次
訪問看護ステーションの看護師採用が「求人倍率4.54倍」という異常な厳しさに直面している理由
「うちの採用力が足りないのでは」と自分を責めてしまう経営者の方もいますが、まずお伝えしたいのは、訪問看護業界の採用難は個々の事業所の努力だけではどうにもならないレベルに達しているということです。
公益社団法人日本看護協会が2025年11月に公表した「2024年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」結果によると、2024年度の看護職全体の求人倍率は2.51倍(前年度2.22倍から上昇し、2015年度以来10年ぶりの高水準)でした。この中で、施設種類別にみて最も求人倍率が高かったのが訪問看護ステーションの4.54倍です。次いで病院(20〜199床)3.00倍、病院(200〜499床)2.49倍、病院(500床以上)1.93倍、ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム1.78倍という結果でしたので、訪問看護ステーションの人手不足がいかに突出しているかがわかります。
しかもこれは一時的な現象ではありません。同協会の集計では、訪問看護ステーションの求人倍率は2022年度3.9倍→2023年度4.18倍(このとき初めて4倍を超えたと報道発表されました)→2024年度4.54倍と、3年連続で右肩上がりに悪化しています。求人を1件出しても、応募が来る看護師は1人にも満たない計算です。今のやり方のまま求人広告を増やしても、パイの奪い合いが激しくなるばかりで、根本的な解決にはなりにくい状況だと言えます。

私も現場で「人が全然採れない」という管理者さんの声をよく聞きます。求人媒体を変えても、紹介会社を増やしても、パイ自体が足りていないので苦しい戦いになりがちなんですよね。個々の事業所の頑張りだけで挽回できる差ではなくなってきている、というのが実感です。
なぜ訪問看護は辞めやすいのか|オンコール・一人体制・教育不足という構造的な負担
採用の難しさと並んで経営者を悩ませるのが、せっかく採用したスタッフの離職です。訪問看護で離職が起きやすい背景には、病院勤務とは違う「訪問看護特有の負担構造」があります。
日本看護協会が全国の訪問看護事業所6,000か所を対象に実施し、1,879件(有効回収率31.3%)の回答を得た「2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」(令和5年3月)では、夜間・休日の勤務体制として「オンコール」を採用している事業所が90.6%にのぼり、そのうち「1人の看護職員が対応」する体制が75.3%(「2人以上で対応」は23.4%)という結果でした。つまり多くの訪問看護ステーションで、夜間の急変対応をほぼ一人の看護師が背負っている状態です。
同調査では、この夜間・休日対応体制に関する課題も具体的な数字で示されています。
- 看護職員の精神的・身体的負担が大きい:83.5%
- 対応できる看護職員が限られ、負担が偏る:69.6%
- 夜間・休日対応がネックとなり、新規採用が難しい:36.0%
- 看護職員の離職につながってしまう:30.7%
- 他事業所とオンコール対応をシェアできない:15.1%
この結果は、「採用難」と「離職」が同じ根っこ(オンコール負担の集中と、それを分散する仕組みの不在)から生まれていることを示しています。加えて、新人看護師にとっては、病院のように医師や先輩がすぐそばにいない一人体制の訪問先で判断を求められる不安が大きく、独り立ちまでの教育・同行体制が薄い事業所ほど早期離職につながりやすいことも、現場ではよく知られている実感です。小規模な事業所ほど、プリセプター(教育担当)を専任で置く余裕がなく、この負担が経営者自身に集中しがちです。

経営者一人・一事業所だけで採用難・離職を解決するには限界がある
ここまでのデータが示すのは、「採用力を磨けば何とかなる」という段階を、訪問看護業界全体がすでに超えてしまっているという現実です。求人媒体への広告費、紹介会社への成功報酬、面接や見学対応にかける時間——これらはすべて、経営者自身の時間とキャッシュを削っています。しかも、採用できても離職してしまえば、その投資はゼロに近い形で失われます。
特に看護職員が数名規模の小さな訪問看護ステーションでは、経営者自身が管理者・オンコール担当・採用担当・教育担当を兼務しているケースが珍しくありません。一人で何役もこなしながら、夜も気が休まらない生活を何年も続けていれば、心身が限界に近づくのは自然なことです。
採用難・離職の悪循環を放置すると、稼働できる看護師の人数が徐々に減り、新規利用者を受け入れられなくなったり、既存利用者への訪問回数を維持できなくなったりします。収支が悪化してから慌てて対策を打とうとしても、資金繰りに余裕がない状態では選べる選択肢が限られてしまいます。経営が傾ききる前に、事業の継続方法そのものを見直すという選択肢を早めに検討しておくことが、結果的にスタッフと利用者を守ることにもつながります。
この「経営者一人が抱え込む構造」そのものを変える方法の一つが、大手・中堅の訪問看護グループの傘下に入るM&A(事業承継)です。訪問看護ステーションにおけるM&Aとは?基本から分かりやすく解説で基本的な流れを解説していますので、M&A自体が初めての方はあわせてご覧ください。
M&A(大手・中堅グループ入り)で何が変わるのか|採用力・教育体制・処遇の3つの価値
大手・中堅の訪問看護グループの傘下に入ることで得られる価値は、単なる「事業の成長」ではありません。今まさに採用難・離職に苦しんでいる経営者にとって重要なのは、次の3つの価値が同時に得られるという点です。
1. 雇用の維持と処遇改善(大義)
グループ全体でのスケールメリットにより、求人媒体への投資力や採用専任スタッフの配置、複数拠点をまたいだ研修制度など、一つの小さな事業所だけでは用意できなかった採用力・教育体制を持てるようになります。給与テーブルや昇給ルールがグループ内で統一・明文化されることで、スタッフにとってのキャリアの見通しも立てやすくなります。何より、前章で見た「1人の看護職員がオンコールを背負う」という構造は、複数拠点を持つグループの中でオンコール当番をエリア内でシェアする仕組みに変えられる可能性があり、日本看護協会の調査で15.1%の事業所が課題として挙げていた「他事業所とオンコール対応をシェアできない」状態を、グループ内の連携によって緩和できる余地が生まれます。
2. 地域医療の持続(社会的責任)
人手不足のまま経営が行き詰まり、ある日突然サービス提供が止まってしまえば、その地域で訪問看護を頼りにしている利用者・ご家族が一番のしわ寄せを受けます。信頼できる譲渡先に経営を引き継ぐことは、採用・教育の体力がある組織のもとでケアを継続させる、地域医療への責任を果たす選択でもあります。
3. 債務・個人保証からの解放とリスタート(実利)
そして経営者自身にとって最も切実なのは、この実利の面かもしれません。採用・教育・オンコールをすべて自分で背負い込む経営から離れ、事業用の借入や個人保証といった重荷も整理した上で、一人の看護師・現場のプレイヤーとして安心して眠れる生活を取り戻せる可能性があります。経営責任という重圧そのものから解放されることは、綺麗事ではなく、疲弊しきった経営者にとっての現実的な救済策です。
| 項目 | 単独の小規模ステーション | 大手・中堅グループ傘下 |
|---|---|---|
| 採用力 | 求人広告・紹介料を経営者個人が捻出。応募が集まりにくい | グループ規模での採用投資・専任担当の配置が可能 |
| 教育体制 | 先輩看護師の余裕がなく、独り立ちが早い傾向 | 複数拠点での研修・プリセプター制度を整備しやすい |
| オンコール負担 | 1人の看護師に集中しやすい(実態調査で75.3%) | エリア内の複数拠点でシフト・当番をシェアしやすい |
| 処遇・キャリア | 給与テーブルが個別事業所ごとで昇給ルートが不明瞭になりがち | グループ内で給与テーブル・キャリアパスが明文化されやすい |

実際にどう進めるのか|スタッフに知られずに検討できる無料相談からの流れ
「M&Aを検討していることがスタッフに知られたら、動揺させてしまうのでは」という不安は、多くの経営者が最初に感じる点です。ビジケアのM&A支援では、まず無償のPre-M&A相談・無料査定の段階から始まり、この時点では相手先への情報開示は行われません。具体的な買い手探しに進む段階になって初めて、提携仲介契約を締結する流れになるため、社内での検討はスタッフに知られずに慎重に進めることができます。
- STEP1 要望ヒアリング売却を考えた経緯、希望金額、引退や次のステップといった将来像について、じっくりヒアリングします。
- STEP2 書類準備無料査定に必要な直近3年分の決算書(損益計算書・貸借対照表)と税務申告書を準備します。
- STEP3 査定書類(電子コピー)を送付後、約2週間ほどで査定結果が返答されます。この結果を受けて、買手企業への情報開示を伴う段階(有償)に進む場合は、仲介委託契約を締結します。

「相談=すぐ売却が決まる」わけではないので、まずは自分の事業所の価値を客観的に知っておくだけでも、今後の経営判断の材料になると思います。無料査定の段階で立ち止まる選択肢もありますから、気負わずに相談してみるのも一つの手ですね。
費用はどれくらいかかるのか|成功報酬制と「最低手数料の罠」
費用面で気をつけたいのが、業者ごとに手数料体系が大きく異なる点です。M&A仲介会社の中には、最低手数料を1,000万〜2,000万円程度に設定しているところもあり、訪問看護ステーションのように売却額がそれほど大きくない案件では、手数料を支払うと手元にほとんど残らない「手数料負け」が起こり得ます。
ビジケアの場合、無料相談・無料査定は無償で、その後の基本合意締結前後のサポート(ノンネームシート作成、買手への初期アプローチ、デューデリジェンス対応など)にはフィーが発生します。ご成約時には成功報酬として売却価格の5%(レーマン方式)を頂戴しますが、最低手数料は200万円としており、訪問看護ステーションのような小規模事業所でも手数料負けが起きにくい料金体系になっています。
費用体系を比較する際は、料率だけでなく「最低手数料」の金額を必ず確認してください。売却価格が数千万円規模の案件では、最低手数料の設定次第で手元に残る金額が大きく変わります。
よくある質問
小規模な訪問看護ステーションでもM&Aの対象になりますか?
はい、対象になります。むしろ看護職員数名規模の小さな事業所ほど、採用力・教育体制の面で単独での限界が出やすく、大手・中堅グループの傘下に入ることで解決できる課題が大きい傾向にあります。まずは無料査定で、自社の状況を客観的に把握することから始められます。
M&A後、今いるスタッフの雇用や給与はどうなりますか?
雇用の維持やその後の処遇改善は、譲渡交渉の中でも重要な論点として扱われるのが一般的です。具体的な条件は相手先や契約内容によって異なるため、交渉の初期段階で希望条件をしっかり伝え、書面で確認しておくことが大切です。
検討していることをスタッフに知られずに進められますか?
無償のPre-M&A相談・無料査定の段階では、相手先への情報開示は行われないため、社内に知らせずに検討を進めることができます。実際に買手企業への情報開示に進む段階では仲介委託契約を締結し、進め方についても事前に相談できます。
相談だけでも費用はかかりますか?
いいえ。事前相談と無料査定はいずれも無償でご利用いただけます。費用が発生するのは、具体的な買手探しに進む段階(提携仲介契約の締結後)からです。
査定から成約まで、どのくらいの期間がかかりますか?
書類(直近3年分の決算書・税務申告書)を送付いただいてから、査定結果の返答までは約2週間が目安です。その後の買手探しから成約までの期間は、案件ごとの状況によって異なります。
M&Aの手数料はどのように決まりますか?
ビジケアでは、ご成約時に成功報酬として売却価格の5%(レーマン方式)をいただいており、最低手数料は200万円です。無料相談・無料査定の段階では費用は発生しません。

まとめ|採用難・離職は、一人で抱え込まなくていい課題
訪問看護ステーションの求人倍率4.54倍という数字は、あなたの事業所固有の問題ではなく、業界全体が直面している構造的な課題であることを示しています。そしてその根っこにあるオンコール負担の集中・教育体制の手薄さは、単独の事業所のままでは解決が難しくても、大手・中堅グループの傘下に入ることで、採用力・教育体制・処遇の3つの面から改善できる可能性があります。
- 訪問看護ステーションの求人倍率は4.54倍(2024年度)と全施設種類の中で最も高く、3年連続で悪化している
- オンコールを1人の看護師が背負う体制が75.3%を占め、これが新規採用難(36.0%)・離職(30.7%)に直結している
- M&Aによるグループ入りで、採用力・教育体制・オンコール負担の分散・処遇の明文化という具体的な改善が期待できる
- 無料相談・無料査定はスタッフに知らせずに検討でき、成約時の手数料も最低手数料200万円と小規模事業所に配慮した設定になっている
採用と離職の悪循環に一人で向き合い続ける必要はありません。まずは無料査定で、自分の事業所の現在地を客観的に知ることから始めてみてください。
訪問看護特化の事業承継・M&A支援「ビジケア」について
ビジケアは、これまで訪問看護ステーションの経営サポートを通じて、数多くの事業所の課題に寄り添ってきました。その経験・知見・ネットワークを活かし、訪問看護ステーションに特化した事業承継・M&A支援サービスを提供しています。
国が創設したM&A支援機関登録制度の登録を受け、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」の遵守にも取り組んでおり、ご相談・お相手探しにかかる着手金や中間金は一切無料(0円)です。
支援の範囲は、秘密保持契約の締結から、企業価値算定、お相手探し・マッチング、トップ面談・条件交渉、最終契約・引き継ぎ完了まで、一貫してサポートします。
ビジケアは、訪問看護業界に特化した経験・知見・ネットワークを活かし、売手側の利益最大化に専念してご支援します。ご相談・お相手探しの着手金・中間金は無料(0円)でご利用いただけます。
- 現場を知り尽くしているからこその「適正評価」
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