厚生労働省の第264回社会保障審議会介護給付費分科会(令和8年9月3日開催)で、令和9年度介護報酬改定に向けた5つのテーマについて、現状と課題の整理・論点提示が行われました。
訪問看護に関係が深いのは「医療・介護連携(看取り)」と「LIFE(訪問系サービスの対象化)」の2つです。今回はまだ具体的な単位数や算定要件を決める段階ではなく、次期改定に向けた初期の論点整理ですが、早い段階から動向を押さえておくことが重要です。
- 第264回介護給付費分科会(9月3日開催)で示された5つの検討テーマ
- 訪問看護に関係する「医療・介護連携・看取り」の論点
- 「LIFEの対象を訪問系サービスに広げるか」という論点
- 次期改定に向けて、今から確認しておきたいポイント
目次
何が決まったのか(会議の概要)
第264回社会保障審議会介護給付費分科会は、令和8年9月3日(木)14時〜16時にWeb会議形式で開催されました。今回のテーマは、令和9年度介護報酬改定に向けた次の5項目です。
- 資料1:認知症への対応力強化
- 資料2:医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護(訪問看護に関係)
- 資料3:科学的介護情報システム(LIFE)(訪問看護に関係)
- 資料4:口腔・栄養、一体的取組
- 資料5:多床室の室料負担
いずれも、現状のデータや過去の審議会での意見を整理したうえで「論点」を提示する段階であり、この日に報酬改定の内容が決定したわけではありません。今後、分科会での議論が重ねられ、審議報告・改定案の取りまとめへと進んでいく流れです。

「論点整理」の段階なので、まだ数字は何も決まっていません。ただ、どんな切り口で議論が進んでいるかを早めに知っておくと、改定案が固まってから慌てずに済みますね。
内容の詳細|5テーマの主な論点
| テーマ | 主な論点 |
|---|---|
| 認知症への対応力強化 | 各サービスでの日常生活動作・社会参加の向上策、認知症研修要件の在り方、若年性認知症支援、算定率の低い加算の扱い |
| 医療・介護連携(看取り) | 協力医療機関の設置義務(経過措置は令和9年3月31日まで)の今後の在り方、ACPの各サービスにおける位置づけ、本人が望む場所での看取りを実現する評価の在り方 |
| LIFE | LIFE関連加算のデータ提出・アウトカム評価の在り方、訪問系サービスをLIFEの対象とするかどうか |
| 口腔・栄養、一体的取組 | 歯科専門職との連携促進策、口腔機能向上・栄養管理の充実策、加算の簡素化 |
| 多床室の室料負担 | 介護老人保健施設・介護医療院における多床室室料負担の在り方(在宅との負担の公平性を踏まえた検討) |
この中で、訪問看護ステーションの経営に直接関わってくる可能性があるのは「医療・介護連携(看取り)」と「LIFE」の2テーマです。
訪問看護ステーションへの影響
資料2「医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護」では、過去の審議会意見として、次のような指摘が示されています。
「訪問介護等における看取りや医療ニーズの高まりに対応するために、訪問看護は他の介護保険サービス等と幅広く連携することが求められており、引き続き、効果的かつ効率的な連携の在り方を検討していくべきである」
また、令和6年度介護報酬改定で義務化された高齢者施設の「協力医療機関」設置(経過措置は令和9年3月31日まで)についても、今後の在り方が論点に挙がっています。訪問看護ステーションが高齢者施設等と連携する機会がある場合、この動向は無関係ではありません。
もう一つ注目したいのが「LIFE」です。LIFE関連加算は現在、主に施設サービス・通所系サービスが対象の中心ですが、今回の分科会資料では「訪問系サービスについて、LIFEの対象としてどのように考えるか」という論点が明記されています。今後の議論次第では、訪問看護においてもLIFEへのデータ提出や関連加算の創設が検討される可能性があります。

訪問看護がLIFEの対象になるかどうかはまだ「論点」の段階ですが、もし対象になれば記録業務の見直しが必要になります。早めに情報を追っておいて損はありません。
今からやるべき実務対応
- 分科会の議論を継続的にウォッチする次回以降の分科会で、各テーマの議論がどう深まるかを定期的に確認します。
- 多職種連携・情報共有体制を点検する他の介護保険サービスや医療機関との情報共有(ICT活用を含む)の現状を棚卸ししておきます。
- 看取り・ACPへの取り組みを可視化する利用者・家族との話し合いのプロセスや、在宅看取りの実績を整理しておくと、今後の評価の議論にも備えやすくなります。
- 記録業務の負担を把握しておくLIFEが訪問系サービスに拡大された場合に備え、現状の記録・報告業務の負担感を把握しておきます。
今回の分科会で介護報酬改定の内容が決まったのですか?
いいえ。今回は令和9年度介護報酬改定に向けた「現状と課題及び論点」の整理段階で、具体的な単位数や算定要件はまだ決定していません。
訪問看護に直接関係する論点はありますか?
「医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護」のテーマで、訪問看護と他の介護保険サービスとの連携の在り方や看取りに関する評価の在り方が論点に挙がっています。また「LIFE」のテーマでは、訪問系サービスをLIFEの対象とするかどうかも論点になっています。
高齢者施設の協力医療機関設置の経過措置はいつまでですか?
令和6年度介護報酬改定で義務化された協力医療機関の設置には、令和9年3月31日までの経過措置が設けられています。この経過措置後の取り扱いも、今回の論点の一つとして挙げられています。
令和9年度介護報酬改定はいつ施行されますか?
執筆時点で正式な施行日は公表されていません。介護報酬改定は例年3年に1度のペースで行われており、前回が令和6年度改定であることから次回は令和9年度になる見込みですが、具体的な施行時期は今後の審議を経て決まります。
まとめ|次期改定はまだ序盤、看取り・LIFEの動向に注目
第264回介護給付費分科会では、令和9年度介護報酬改定に向けた5テーマの論点整理が行われました。訪問看護ステーションとしては、看取り・多職種連携とLIFEの対象拡大に関する議論を継続的に注視していく必要があります。
- 第264回介護給付費分科会(9月3日開催)で、次期改定に向けた5テーマの論点が示された
- 訪問看護に関係するのは「医療・介護連携(看取り)」と「LIFE」の2テーマ
- 「訪問系サービスをLIFEの対象とするか」という論点が明記されている
- まだ論点整理の段階のため、今後の分科会の議論を継続的にウォッチする必要がある
次期改定に向けた議論はまだ序盤です。続報が入り次第、あらためて記事でお伝えします。





も可能にしてはどうか?-485x300.png)
















