緩和ケア第6回【がん疼痛 痛みの種類】

看護師 村上

こんにちは、株式会社ピクト緩和ケア認定看護師の村上です。

今回は、がん疼痛についてお話ししたいと思います。

 

なぜ今、がん疼痛について考える必要があるのか?

私が緩和ケア面談に同席する中で、患者さんやご家族から多く寄せられる質問があります。

それは「最後は痛みに苦しむのではないか」という不安の声です。

実際、がん患者さんの主な症状の頻度として、痛みは71%の割合で出現します。

 

 

私たち医療従事者は、この身体症状のマネジメントをしっかりと行う必要があります。

身体症状マネジメントの手順

痛みのマネジメントの基本は、まず患者さんの痛みを評価し(アセスメント)、それに基づいて適切な治療やケアを行い、さらにその効果を再度評価し、必要に応じて治療やケアを修正していく、というサイクルを繰り返すことです。

 

 

しかし、実際の医療現場では、患者さんが「痛い」と言えば、すぐに痛み止めを処方してしまい、アセスメントが不十分なままになってしまうケースも少なくありません。

 

多忙な日々の中で、アセスメントに時間を割く余裕がない、あるいは十分な知識がない、といった状況もあるかもしれません。

しかし、患者さんの痛みを理解し、適切なケアを提供するためには、このアセスメントが非常に重要です。

 

 

 

痛みの定義

まず、痛みの定義を再確認しましょう。

痛みとは、「実際の組織損傷、または組織損傷が起こり得る状態に付随する、あるいはそれに似た感覚かつ情動の不快な体験」と定義されています。

つまり、痛みの感じ方は患者さんによって異なり、客観的に判断することはできません。

 

看護師 村上

患者さんが「痛い」と言えば、その痛みを尊重し、そこから痛みのマネジメントを始めることが大切です。

 

痛みの時間的分類:急性痛と慢性痛

痛みには時間的な分類があり、急性痛と慢性痛に分けられます。

 

 

急性痛

受傷時などの短期間で消失する痛みで、体の警告信号として重要な役割を果たします。

バイタルサインに変動が見られることがあります。

 

慢性痛

3ヶ月から6ヶ月以上持続する痛みです。

体が痛みに慣れてしまうと、バイタルサインが正常に戻ってしまうため、バイタルサインだけで痛みの有無を判断することはできません。

 

痛みの伝達

痛みの伝達経路は、まず炎症や組織の損傷が起こり、発痛物質が放出されます。

次に、侵害受容器が興奮し、神経を介して大脳皮質に伝達され、そこで初めて「痛み」として認識されます。

 

 

がん疼痛の種類

がん疼痛の種類を理解することがなぜ重要かというと、種類によって治療方針が異なるからです。

がん疼痛は大きく分けて、以下の2つに分類されます。

 

  • 侵害受容性疼痛
  • 神経障害性疼痛

 

 

以下で詳しく説明していきます。

 

侵害受容性疼痛

さらに侵害受容性疼痛は下記の2種類に分かれていきます。

 

  • 体性痛
  • 内臓痛

 

上記2種類に分類されます。

 

体性痛

骨転移などが代表的です。

動かすと痛みが強くなる、ズキズキするなどの特徴があります。

痛みの部位が明瞭で、突き指や骨折のように、痛む場所を具体的に示せる痛みです。

 

内臓痛

内臓に生じる痛みです。

下痢や生理痛のような、重苦しい、ずーんとした痛みが特徴です。

痛みの部位が不明瞭で、「この辺り」というように漠然とした表現になることが多いです。

 

神経障害性疼痛

末梢神経や中枢神経の直接的な損傷に伴い発生する痛みで、痺れるような、ビリビリとした痛みが特徴です。

例として、正座を長時間した時の痺れるような痛みが挙げられます。

がんの浸潤や、抗がん剤などの化学療法の副作用によって生じることが多く、コントロールが難しい場合も多いです。

 

鎮痛補助薬が必要な場合が多く、ビタミン剤や抗うつ薬を使うこともあります。

 

痛みのアセスメント

 

痛みの詳細なアセスメントは、治療方針を決定する上で非常に重要です。

患者さんの痛みを評価する際には、以下の点に注意して聞き取りを行いましょう。

 

  • どこが痛むのか?
  • どれくらい痛むのか? (NRSで評価)
  • どのように痛むのか? (ズキズキ、鈍痛、ビリビリなど)
  • 痛みのパターンは? (時間帯、特定の動作など)
  • 痛みの原因は? (既往歴、治療状況)
  • 他に痛む部位はないか?

 

これらの情報を総合的に判断し、痛みの種類を特定することで、適切な鎮痛薬を選択することができます。

 

事例紹介

実際の事例を通して、痛みの詳細なアセスメントについて見ていきましょう。

事例:Aさんのケース

 

 

このケースでは、以下の点に着目してアセスメントを進めます。

 

痛みの種類を特定し、痛みの強さ、部位、性状、パターンを把握しましょう。

他に痛い部位はないかも確認しておく必要があります。

 

 

上記の情報を踏まえて医師に報告することで、医師は適切な鎮痛薬を選択できます。

痛みの種類を特定できない場合でも、以下の4つのポイントを医師に伝えることで、治療方針の決定に役立てることができます。

 

  • 強さ:NRSなどの指標を用いて客観的に伝える
  • 部位:痛む場所を具体的に伝える
  • 性状:痛みの質を具体的に伝える (ズキズキ、鈍痛、ビリビリなど)
  • パターン:痛みの時間帯、誘因などを伝える

 

詳細な報告のポイントはこちらを参考にしてください。

 

 

看護師 村上
強さ、部位、性状、パターンこの4点を大切な情報として医師にお伝えしてください。

 

まとめ

今日のまとめとして、痛みの表現から考えられる痛みの種類と、それに応じたケアのポイントを整理しましょう。

 

ズキズキする、拍動性の痛み、うずくような痛みは体性痛の可能性が高い。

骨転移の有無を確認し、NSAIDsの導入を検討しましょう。

 

重苦しい、締め付けられるような、鈍い痛みは内臓痛の可能性が高い。

オピオイドの導入やレスキュー薬の使用を検討しましょう。

 

ビリビリする、電気が走るような、痺れるような痛み:神経障害性疼痛の可能性が高い。

鎮痛補助薬の導入を検討しましょう。

 

患者さんの痛みを理解し、適切なケアを提供するためには、痛みの種類を特定し、それぞれの痛みに合わせた治療法を選択することが非常に重要です。

 

看護師 村上
詳細なアセスメントを行い、医師に報告して適切な治療を施していただくことで、結果的に患者さんやご家族への負担を和らげることができます。

 

動画で勉強する

 

看護師 村上
今回の内容が、皆様の訪問看護における日々の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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