
目次
咽頭痛の概要
咽頭痛とは
咽頭後部の疼痛のことを咽頭痛といい、嚥下に伴うもの、伴わないものがあります。
原因
原因の多くは、ウィルス感染によるもので、ライノ、アデノ、インフルエンザ、コロナ、RSなどがあります。
細菌では、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)があり、小児に多く膿瘍を伴います。
真菌では、ステロイド治療中や癌末期の人、血液疾患のある人など免疫機能低下している人がカンジダ(口腔咽頭カンジダ症)になることがあります。
注意する症状
気道閉塞を起こす疾患には、特に注意が必要です。
気道異物やアナフィラキシーショックによる気道閉塞、小児では特に急性喉頭蓋炎を見逃さないようにしましょう。
警戒すべき事項(レッドフラッグ)としては、吸気性喘鳴(連続性の副雑音)または呼吸窮迫の徴候を見逃さないようにしましょう。
その他、流延、くぐもった「熱いジャガイモが口に入っている」ような声(いつもと違う声)、咽頭の明らかな隆起がないか、視診、触診で確認しましょう。
画像でみる咽頭痛の症状
レンサ球菌咽頭炎
写真では明らかな充血、茶褐色の浸出液(扁桃滲出物)がみられます。
咽頭痛だけでなく、発熱や圧痛を伴う頸部リンパ節炎の症状がみられることがあります。
口蓋垂の偏移を伴う扁桃周囲膿瘍
上の画像では、右側が腫脹しています。
喉頭蓋炎
上の画像は、挿管されている患者でみられる喉頭蓋炎のものです。
喉頭が大きく腫れているのがわかります。
口腔咽頭カンジダ症

最近私が経験した症例を紹介します。
80歳代の男性、尿管がん術後多発リンパ節転移、骨転移の方の症例です。
上の画像のように、白い舌苔が全体に広がっており、発熱と咽頭痛がありました。
治療は、2019年に登場した口腔咽頭カンジダ症治療薬のオラビ、フロリードゲル(4回/日塗布または嚥下)、ファンギゾン®シロップ(2~4回/日)、エンぺシド®トローチ(5回/日)の薬剤を使用し、行われました。
オラビは、寝る前に錠剤の湾曲した面を上顎歯肉(犬歯窩)にはめ込むように装着し、6時間以上保持しました。
これらの治療をすることで、2日後には下の画像のようにきれいな状態になりました。
鑑別診断
咽頭痛だけでなく、咽頭・口腔内所見、頸部リンパ節、甲状腺、頸頭部の圧痛、皮疹の有無などを全身的にみることが重要です。
- 上気道炎(扁桃炎、咽頭炎)
- 扁桃周囲膿瘍:高熱、口蓋垂の対側偏移、軟口蓋腫脹、開口障害
- 溶連菌感染症:苺舌、口周囲蒼白、全身発疹
- 急性喉頭蓋炎:呼吸困難、嚥下痛(痛みの強さの割に咽頭発赤がない)、唾液を呑み込めない、流延、甲状軟骨周囲の圧痛、吸気性喘鳴
- 甲状腺疾患:甲状腺の圧痛(亜急性甲状腺炎)
- 口腔咽頭カンジダ症:舌苔、発熱
咽頭痛の問診、身体所見、対応
問診
他者との接触(外出先、近くにインフルエンザやコロナの人がいなかったか等)、持続期間、嚥下状態、水分・食事摂取量、易感染状態(ステロイドの使用状況や疾患)などを問診しましょう。
身体所見
鼻水や咳嗽、嚥下困難、発声困難、呼吸困難、吸気性喘鳴の身体所見がないか確認しましょう。
口の中を観察し、扁桃周囲の発赤、浸出液、腫脹、リンパ節の圧痛の有無を確認しましょう。
小児では、前のめりの姿勢(座位になり、前傾して頸部を過伸展し、下顎を前突させる)になっていないか確認しましょう。
咽頭痛による食事摂取量の低下による脱水症状がないかも確認しましょう。
敗血症による呼吸数の増加(22回以上)、意識レベル、血圧低下がないかも注意してみましょう。
対応
上気道炎では、アセトアミノフェン等の解熱剤を使用します。
扁桃周囲膿瘍では、耳鼻科受診が必要です。
溶連菌感染症では、迅速検査し、広域抗菌薬(ペニシリン)を投与します。
急性喉頭蓋炎では、レッドフラッグがあればICUでの管理が必要です。
まとめ
- 大半の咽頭痛は、ウィルス性の扁桃咽頭炎により引き起こされる。
- 咽頭炎のウィルス性の原因と細菌性の原因を臨床的に鑑別することは困難である。
- 膿瘍および喉頭蓋炎はまれであるが、重篤な原因である。
- 易感染状態では、重症感染症の移行に注意する。
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今回は咽頭痛について解説していきます。
緊急対応につなげることができるようにしましょう。