訪問看護で働く前に勉強しておくとよいこと5選

 

訪問看護に興味はあるけれど、「病院勤務しか経験がない」「訪問看護ではどんな知識が必要なのかわからない」という不安はありませんか?

訪問看護では、在宅で必要なケアを提供するため様々な知識や対応力が必要となってきます。

そのため、事前に勉強をしておくことでスムーズに訪問看護師としての一歩を踏みだすことができます。

今回は、訪問看護で働く前に勉強しておくとよいポイントを5つご紹介します。

 

訪問看護で働く前に勉強しておくとよいこと5選

 

1 訪問看護の基本知識を押さえよう

 

訪問看護とは?

訪問看護とは看護師などが居宅を訪問して、主治医の指示に基づき、利用者さんに必要な医療的ケアや日常生活の支援を提供するサービスです。

また、 医療機器を使用しながらでも、居宅で最期まで暮らせるように多職種と協働しながら療養生活を支援するサービスです。

 

訪問看護と病院看護との違いは?

 

【勤務場所や環境】

  • 訪問看護:利用者さんの自宅や介護施設に訪問して看護を提供する。そのため、生活環境に合わせたケアが求められる
  • 病院看護:病院やクリニックなどの医療機関内で看護を提供する。医療機器やスタッフが整っている。

 

【対象患者】

  • 訪問看護:退院後の療養者、慢性疾患や障害を持つ人、終末期の患者など
  • 病院看護:急性期・慢性期の患者、手術前後のケアが必要な人など

 

【看護の内容】

  • 訪問看護:健康管理、服薬指導、リハビリ、医療処置(点滴・褥瘡ケアなど)、家族のサポートや指導
  • 病院看護;診療補助、検査・手術の準備、急変対応、入院患者のケア

 

【働き方】

  • 訪問看護: 一人で利用者さんの家に行くことが多い。夜間オンコール対応がある場合もある。
  • 病院看護:チームでの勤務が基本。夜勤やシフト制が一般的

 

【医師との関係】

  • 訪問看護:医師の指示を受けながら、看護師が自律的に判断し行動する場面が多い
  • 病院看護:医師の指示に基づいて動く場面が多く、緊密な連携が必要

 

病院看護と訪問看護の「看護の目的の違い」に最初は戸惑うかもしれません。

病院の場合、「治療や機能回復が目的」であり、一方で、在宅療養における訪問看護は、「生活を中心に医療や看護が存在」します。

これらの看護の目的の違いを知っておくことで、利用者さんを看る視点や訪問看護師としての役割も理解しやすくなります。

 

 

2 アセスメントのポイント

訪問看護では以下の4つの視点から総合的にアセスメントすることが重要になってきます。

 

1.利用者さんの身体状況

  • バイタルサイン
  • 基礎疾患とその経過・既往歴
  • 要介護度やADLの程度
  • 排便状況、食事摂取状況、睡眠状況、服薬状況
  • 疼痛の程度 など

 

2.利用者さんの心理状況

  • 精神状況
  • 認知機能
  • 感情の起伏の有無
  • 介護者への接し方、対応 など

 

3.利用者さんの生活環境
  • 家での過ごし方
  • 家の中、家周囲の環境
  • 家具の配置状況
  • 浴室、トイレの位置、環境
  • 介護用品の使用状況、位置
  • 医療機器の使用状況、位置 など

 

4.家族の介護力

  • 家族の健康状況
  • 家族の介護力
  • 利用者さんと家族の関係性
  • 家族の在宅療養への思い など

 

情報収集する際は、利用者さんとの会話を通じて緊張をほぐしながら必要な情報を収集しましょう。

また、何気ない会話や表情や仕草など非言語的コミニケーションから得られる情報もあります。

アセスメントをする上で、バイタルサインの正常値の把握やフィジカルアセスメントの方法を勉強しておくことをおすすめします。

訪問看護で働く前に改めて勉強しておくことで、正常、異常の判断ができ迅速なアセスメントにつながります。

 

3 在宅で必要なケアの技術

 

訪問看護では、主治医からの「訪問看護指示書」に基づいて、利用者さんに必要な医療処置や療養指導を行います。

訪問看護でよくある医療処置の一例を紹介します。

 

  • 創傷部の処置
  • 浣腸、摘便
  • 注射、点滴の実施・管理
  • 吸引
  • ストマ管理
  • 胃瘻管理
  • 利用者や家族への技術指導 など

 

訪問看護で働く前に、不安な技術や経験の少ない技術は手順や留意点を見直しておくと安心です。

 

 

4 コミュニケーションスキル

訪問看護では、利用者さんや家族、多職種との連携を行う上で、コミュニケーションスキルは欠かせません。訪問看護師として働く上で、人として信頼を得ることがとても大事になってきます。

 

  • 傾聴スキル:利用者さんや家族の話を注意深く聞くこと
  • 共感スキル:利用者さんや家族の気持ちに寄り添い、共感すること
  • 説明スキル:専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明すること
  • 質問スキル:状況を把握するために、適切な質問を投げかけること

 

利用者さんの言葉だけでなく、表情や態度などの非言語的サインにも注意を払うことが大切です。

また、相手の価値観を尊重しながら、分かりやすく丁寧な言葉で説明することで、納得感や安心感をを高め、ケアの信頼性にも繋がっていきます。

訪問看護師として信頼される存在であるために、思いやりのある姿勢と専門的な視点を持ち続けることが大切になります。

 

 

5 介護保険・医療保険制度の理解

訪問看護では、介護保険と医療保険のどちらかを使用してサービスを利用します。

なお、対象者の年齢や病気の種類、要介護度によって、利用できる回数や時間数に制約があります。

そのほかにも精神科訪問看護や自立支援や難病などの様々な制度を利用します。

訪問看護師として働く上で、介護保険・医療保険制度の理解は必須となります。

働く前に少しでも制度に関して勉強しておくと、現場にでた際により理解が深まります。

 

まとめ

訪問看護で働く前に勉強しておくとよいこととして、以下の5つを紹介しました。

 

  1. 訪問看護の基本知識
  2. アセスメントのポイント
  3. 必要なケアの技術
  4. 効果的なコミュニケーションスキル
  5. 介護保険・医療保険制度の理解

 

これらの勉強方法として、書籍やe-ラーニング、セミナー等への参加など学ぶ場所が沢山あります。

事前に勉強しておくことで、訪問看護の知識が深まり、働いてからの学びもスムーズになります。

訪問看護は病院勤務とは異なる環境で、利用者さん一人ひとりの生活に寄り添い、多職種と連携しながら在宅療養を支えるやりがいのある仕事です。

この記事を通して、訪問看護への理解を深め、訪問看護師を目指す方がスムーズに一歩を踏み出せるよう、お役に立てれば幸いです。

 

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