訪問看護ステーションの開設や、次期管理者の選定を検討していると、「管理者になるための条件」について、意外と正確に把握できていないことに気づく方が少なくありません。「専従かつ常勤」とはどのような働き方を指すのか、兼務はどこまで認められるのか、管理者が急に不在になったらどうすればよいのか——実務で判断に迷う場面は多くあります。
本記事では、指定基準の解釈通知にもとづいて、訪問看護ステーションの管理者になれる条件を、資格要件・勤務形態の定義・欠格要件・兼務の可否・不在時の対応まで、正確かつ網羅的に解説します。
- 訪問看護ステーションの管理者になれる人の基本条件
- 「専従」「常勤」の正確な定義(週32時間基準・育休介休時の特例)
- 管理者になれない人(欠格要件)
- 管理者の兼務が認められるケース・認められないケース
- 管理者が長期不在になったときの対応方法
目次
訪問看護ステーションの管理者になれる人の基本条件
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第三条により、管理者は専従かつ常勤の保健師又は看護師であって、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者でなければならないとされています(やむを得ない理由がある場合の例外は後述します)。この基本条件を正しく理解するには、「専従」「常勤」という言葉の中身を正確に押さえておく必要があります。
「専従」「常勤」とは?条件の中身を正確に理解する
厚生労働省の解釈通知「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」では、「専ら従事する」ことについて、原則として、指定訪問看護の提供の時間帯を通じて指定訪問看護以外の職務に従事しないこととされています。
「常勤」については、次のように定義されています。
指定訪問看護ステーションにおける勤務時間が、当該指定訪問看護ステーションにおいて定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(週当たり32時間を下回る場合には32時間を基本とする)に達していること。
ただし、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づく短縮措置等が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合に限り、常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことができるという特例があります。

管理者になれない人|欠格要件
資格要件を満たしていても、次のいずれかに該当する場合は管理者になることができません。解釈通知では、過去5年以内に次のような処分・指導を受けた者が対象とされています。
- 保健師助産師看護師法第14条第1項の規定により業務の停止を命ぜられ、その期間終了後5年を経過しない者
- 健康保険法第91条又は第94条の規定により、指定訪問看護ステーションの管理者として変更の指導を受け、変更された後5年を経過しない者
- 指定取消処分を受けた訪問看護ステーションの当該管理者であった者(取消処分が当該管理者の責務に関わる場合に限る)で、取消日後5年を経過しない者
これらは、利用者に対する適切なサービス提供体制を確保するための欠格要件であり、事業所の指定申請時にも確認される事項です。
管理者は兼務できる?できるケース・できないケース
管理者は「専従かつ常勤」が原則ですが、管理上支障がない場合には、一定の範囲で兼務が認められています。主なパターンは次の通りです。
| 兼務のパターン | 可否 |
|---|---|
| 同時に複数の訪問看護ステーションの管理者を兼務する | 不可 |
| 当該ステーションの看護職員としての職務を兼ねる | 管理上支障がなければ可能 |
| 介護保険の指定を受けている場合、当該ステーションの管理者・看護職員の職務を兼ねる | 管理上支障がなければ可能 |
| 同一敷地内・隣接する施設の職務を兼ねる | 管理上支障がない範囲で可能(ただし看護業務を伴う併設施設との兼務は、原則として管理業務に支障ありと判断される) |

管理者が長期不在になったときの対応
管理者の長期間の傷病や出張など、やむを得ない理由により管理者を確保できない場合、地方厚生(支)局長の承認を受けることを条件に、保健師・助産師・看護師以外の者(理学療法士等)に、一時的に指定訪問看護ステーションを管理させることが認められる場合があります。
これはあくまで例外的な取り扱いであり、事前の承認が前提です。承認を得ないまま資格要件を満たさない者に管理を任せてしまうと、指定基準違反となるおそれがあります。該当しそうな状況が生じた場合は、速やかに指定権者(地方厚生局等)に相談しましょう。また、常勤の保健師・看護師である管理者を、可能な限り速やかに確保するよう努めることが求められています。
管理者として望ましい経歴・研修
資格要件としては保健師・助産師・看護師であればよいとされていますが、解釈通知では管理者としてより望ましい経歴として、医療機関における看護、訪問看護、または健康増進法に基づく保健指導等の業務に従事した経験があることが挙げられています。また、管理者としての資質を確保するために、関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましいとされています。

資格要件だけを満たしていても、いきなり管理者としてすべてがうまくいくわけではありません。訪問看護の現場経験に加えて、管理者向けの研修を受けておくと、いざというときの判断の引き出しが増えます。人選の段階で、こうした経歴や研修受講の意欲も見ておくとよいでしょう。
訪問看護ステーションの管理者は、常勤でなければなりませんか?
はい、原則として常勤でなければなりません。常勤とは、事業所で定められた常勤の従業者が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は32時間を基本とする)に達していることをいいます。
育児短時間勤務中でも常勤の管理者になれますか?
育児休業、介護休業等に基づく短縮措置が講じられている場合は、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っていることを条件に、常勤の従業者が勤務すべき時間数を週30時間として取り扱うことができる特例があります。
過去に業務停止処分を受けた看護師は、管理者になれませんか?
保健師助産師看護師法に基づく業務停止を命ぜられ、その期間終了後5年を経過しない者は、管理者になることができません。同様に、指定訪問看護ステーションの管理者として変更の指導を受けた後5年を経過しない者、指定取消処分に関わった管理者で取消日後5年を経過しない者も対象となります。
管理者が病気で長期間不在になった場合、どうすればよいですか?
管理者の長期間の傷病や出張などやむを得ない理由がある場合、地方厚生(支)局長の承認を受けることで、保健師・助産師・看護師以外の者に一時的に管理させることが認められる場合があります。この場合も、常勤の保健師・看護師である管理者を速やかに確保するよう努める必要があります。
管理者になるために、決められた実務経験年数はありますか?
指定基準上、具体的な実務経験年数の定めはありません。ただし、望ましい経歴として、医療機関における看護、訪問看護、保健指導等の業務経験があることや、管理者向けの研修を受講していることが挙げられています。

まとめ|管理者の条件は「資格」だけでなく「勤務形態」と「欠格要件」も要確認
訪問看護ステーションの管理者になれる条件は、保健師・助産師・看護師という資格要件だけでなく、専従・常勤という勤務形態の定義や、過去の処分歴に関する欠格要件まで、正確に理解しておく必要があります。
- 管理者は原則、専従かつ常勤の保健師・助産師・看護師でなければならない
- 常勤は週32時間が基本、育児・介護休業の短縮措置がある場合は週30時間の特例がある
- 過去5年以内に業務停止・変更指導・指定取消に関わった者は管理者になれない
- 兼務は「管理上支障がない場合」に限り、一定の範囲で認められる
- 管理者が長期不在の場合は、地方厚生局長の承認を条件に例外的な対応が可能
管理者の人選や体制づくりは、指定基準を満たすだけでなく、事業所の安定運営に直結する重要な判断です。条件を正確に理解したうえで、無理のない体制を整えていきましょう。























