訪問看護で区分支給限度基準額に含まれない加算とは?一覧で解説

「限度額を超えそうだから訪問回数を減らしてほしい」——ケアマネジャーからこのような相談を受けたとき、区分支給限度基準額の枠外で算定できる加算を正しく理解していれば、利用者に必要なサービスを維持しながら調整できる場合があります。

この記事では、訪問看護において区分支給限度基準額に含まれない加算を、厚生労働省の社会保障審議会資料をもとに整理し、ケアプラン作成・利用者説明の際に役立つ視点まで解説します。

この記事でわかること
  • 区分支給限度基準額とはそもそも何か
  • 訪問看護で限度額に含まれない加算の一覧
  • 限度額を超えそうな利用者への対応の考え方
  • ケアマネジャーへの説明で押さえておきたいポイント

区分支給限度基準額とは

区分支給限度基準額とは、要介護度に応じて設定された、居宅サービス・地域密着型サービスに対する介護保険給付の上限額のことです。介護保険法第43条に基づき、要介護状態区分ごとに厚生労働大臣が定める額とされています。

この限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は保険給付の対象外となり、原則として全額が利用者負担になります。そのため、ケアマネジャーはケアプランを作成する際、月間の単位数が限度額に収まるよう調整するのが基本です。

この仕組みは、身体への侵襲を伴い利用に一定の歯止めがかかりやすい医療サービスとは異なり、介護サービスは生活に密接に関連し、利用に歯止めが利きにくいという特性を踏まえて設けられています。要介護度ごとに標準的なサービスの組み合わせ例を想定し、その範囲内でサービスを選択できるようにする仕組みと理解しておくと、限度額の枠外に置かれている加算の意義も理解しやすくなります。

看護師 上妻
看護師 上妻

限度額はサービス全体の合計単位数で見るので、訪問看護だけでなく訪問介護やデイサービスなど、利用者さんが使っている他サービスとの兼ね合いも大切なんです。

要介護度別の支給限度基準額

令和6年6月時点の要介護度別の支給限度基準額(1単位10円換算のめやす)は次のとおりです。

要介護度支給限度基準額(単位/月)
要支援15,032単位
要支援210,531単位
要介護116,765単位
要介護219,705単位
要介護327,048単位
要介護430,938単位
要介護536,217単位

この単位数の範囲内で、訪問看護・訪問介護・通所介護など複数の居宅サービスを組み合わせて利用します。限度額を超えて利用する場合は、超過分が全額自己負担になる点を利用者・家族に事前に説明しておくことが大切です。

注意

支給限度基準額は介護報酬改定のたびに見直される可能性があります。実際のケアプラン作成にあたっては、最新の告示・通知で単位数を確認してください。

訪問看護で区分支給限度基準額に含まれない加算

厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会の資料によると、訪問看護に関して区分支給限度基準額に含まれない(限度額の枠外で算定できる)加算として、次のものが挙げられています。

加算概要
特別地域加算離島など特別地域に所在する事業所が算定
中山間地域等の小規模事業所加算中山間地域等に所在する小規模事業所が算定
中山間地域等提供加算中山間地域等に居住する利用者へサービス提供した場合に算定
緊急時訪問看護加算24時間対応体制を届け出た事業所が算定
特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)別表第八に該当する状態等の利用者について算定
ターミナルケア加算在宅での看取りに関する頻回な訪問看護に対して算定

このほか、サービス提供体制強化加算や介護職員等処遇改善加算についても、限度額の枠外で算定できる取り扱いとされていますが、名称・区分は介護報酬改定のたびに見直されているため、算定の際は最新の告示・通知であわせて確認することをおすすめします。

なお、居宅療養管理指導や、短期利用を除く特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護など、そもそも限度額管理の対象外とされているサービスもあります。訪問看護そのものは限度額管理の対象サービスですが、「加算の一部が枠外」という今回のテーマとは別に、「サービス自体が枠外」というケースもあることは押さえておくとよいでしょう。

POINT

限度額の枠外に置かれている加算は、いずれも「地域性への配慮」または「緊急対応・重度者対応・処遇改善など政策上の理由」で例外的に設けられたものです。単なる例外ではなく、制度の趣旨を理解しておくと利用者への説明もしやすくなります。

限度額を超えそうな利用者にどう対応するか

ケアプラン作成の過程で、利用者の単位数が限度額を超えそうになるケースは少なくありません。そのようなときに検討できる視点を整理します。

  • 限度額の枠外で算定できる加算(特別管理加算・緊急時訪問看護加算など)の対象になっていないかを確認する
  • 訪問看護の回数・時間区分を見直し、必要性の高いサービスを優先する
  • 医療保険の訪問看護に該当する疾病等(別表第七)に該当しないかを主治医に確認する
  • 限度額を超える部分について、利用者・家族に自己負担が生じる旨を事前に丁寧に説明する

特に別表第七に該当する疾病がある場合は、訪問看護そのものが医療保険に切り替わり、区分支給限度基準額の対象外になります。限度額超過が見込まれる利用者については、疾病名・訪問看護指示書の内容をあらためて確認することが有効です。

看護師 上妻
看護師 上妻

限度額オーバーの相談を受けたときは、まず「そもそも訪問看護は介護保険で合っているか」を確認するようにしています。医療保険に該当する疾病であれば、限度額の心配自体がなくなることもあるんです。

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ケアマネジャーへの説明で押さえておきたいポイント

訪問看護ステーションの立場から、ケアマネジャーへ限度額の考え方を説明する際は、次の点を意識すると伝わりやすくなります。

  1. 限度額の枠外になる理由を明確に伝える「なぜこの加算が限度額に含まれないのか」を政策的な背景も含めて説明すると、ケアプラン全体の調整がしやすくなる。
  2. 算定見込み額を早めに共有する特別管理加算やターミナルケア加算が発生しそうな場合は、事前にケアマネジャーへ見込みを伝え、他サービスとの調整余地を持たせる。
  3. 利用者負担の変化を具体的に示す限度額を超える場合の自己負担額の目安を示すことで、利用者・家族の同意形成をサポートする。
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限度額の計算イメージ(シミュレーション)

実際にどの程度の余裕が生まれるのか、要介護3(限度額27,048単位)の利用者を例にイメージを整理してみます。

ケース訪問看護・他サービスの単位数限度額に対する状況
特別管理加算を含めて計算した場合訪問看護+訪問介護+通所介護の合計が限度額に近づく特別管理加算分もカウントすると限度額を超過しやすい
特別管理加算を枠外で計算した場合特別管理加算を除いた単位数で限度額を判定限度額に余裕が生まれ、他サービスを組み合わせやすくなる

このように、限度額の枠外に置かれている加算があることで、医療依存度の高い利用者でも、訪問介護や通所系サービスを併用しやすくなっています。ケアマネジャーがケアプランを作成する際は、この枠外加算の存在を前提に単位数を積算することが重要です。

注意

枠外加算があるからといって、際限なくサービスを積み増せるわけではありません。あくまで利用者の心身の状態に応じた必要なサービス量であることが前提です。ケアプランの妥当性は、サービス担当者会議で多職種による検討を経て決定してください。

よくある質問

限度額を超えた分は本当に全額自己負担になりますか?

はい。区分支給限度基準額を超えた部分のサービス費用は、介護保険の給付対象外となり、通常の介護報酬算出方式で計算した額の全額が利用者負担になります。事前にケアプランで限度額内に収まるよう調整するのが基本です。

特別管理加算はなぜ限度額に含まれないのですか?

医療依存度が高い利用者に対して、限度額を理由に必要な医療的管理が制限されないようにするための政策的な配慮とされています。同様の考え方から、緊急時訪問看護加算やターミナルケア加算も限度額の枠外に置かれています。

介護職員等処遇改善加算も限度額に含まれませんか?

処遇改善に関する加算についても限度額の枠外で算定できる取り扱いとされていますが、名称や算定方法は介護報酬改定のたびに見直されています。最新の取り扱いは告示・通知や保険者への確認をおすすめします。

限度額の管理はどこが行いますか?

基本的にはケアマネジャーがケアプラン作成時に、各サービスの単位数を積算して限度額内に収まるよう管理します。訪問看護ステーション側も、自事業所の加算算定が限度額にどう影響するかを把握しておくと、円滑な連携につながります。

限度額の枠外加算があることを利用者にどう説明すればいいですか?

「特別管理加算や緊急時訪問看護加算は、限度額の計算には含まれないため、他の訪問介護やデイサービスの利用に影響しにくい仕組みになっています」という形で説明すると伝わりやすくなります。あわせて、それでも限度額を超える見込みがある場合の自己負担額をあらかじめ提示しておくと、利用者・家族の安心につながります。

まとめ|限度額の枠外の加算を理解し、適切なケアプラン調整につなげる

区分支給限度基準額に含まれない加算を正しく理解しておくことは、限度額の制約を理由に必要な訪問看護が制限されないようにするために重要です。

この記事のまとめ
  • 区分支給限度基準額は要介護度ごとに定められた介護保険給付の上限額
  • 訪問看護では特別地域加算・緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算などが限度額の枠外で算定できる
  • 限度額超過が見込まれる場合は、医療保険への切り替え対象でないかもあわせて確認する
  • ケアマネジャーへの早めの情報共有が、利用者に必要なサービスを維持する鍵になる

制度の趣旨を理解したうえでケアマネジャーと連携し、利用者にとって最適なサービス提供体制を整えましょう。

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出典・参考(公的機関)

加算の名称・限度額の水準は介護報酬改定のたびに見直されるため、実際の算定・ケアプラン作成にあたっては最新の告示・通知をご確認ください。

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