確かに看護小規模多機能型居宅介護の人員基準わかりづらいですよね。
現役看護小規模多機能型居宅介護の管理者が詳しく解説して行きますね。
看護小規模多機能型居宅介護の人員基準は、代表者や管理者、専従のケアマネジャー等を配置しなければいけません。
それでは解説して行きます!
目次
看護小規模多機能型居宅介護の人員基準とは
代表者
看護小規模多機能型居宅介護は開設時に代表者を配置しなければなりません。
指定看護小規模多機能型居宅介護事業者の代表者とは、基本的には、運営している法人の代表者であり、理事長や代表取締役が該当します。しかし、法人の規模によって、理事長や代表取締役をその法人の地域密着型サービス部門の代表者として扱うのは合理的でないと判断される場合においては、地域密着型サービスの事業部門の責任者などを代表者として差し支えありません。したがって、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所 の指定申請書に記載する代表者と異なることがあります。なお、管理者とは、各事業所の責任者を指すものであ り、各法人の代表者とは異なりますが、例えば、法人が一つの介護サービス事業所のみを運営している場合は、 代表者と管理者が同一であることも想定されます。
①次のいずれかの経験を有していること
(ア) 特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、小規模多機能型居宅介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所、看護小規模多機能型居宅介護事業所等の従業者若しくは訪問介護員等として、認知症である者の介護に従事した経験を有する者
(イ) 保健医療サービス若しくは福祉サービスの提供を行う事業の経営に携わった経験又は保健師若しくは看護師
② 厚生労働大臣が定める研修を修了していること(認知症対応型サービス事業開設者研修)
代表者の条件にはみなし措置があります。
次の研修の修了者は、事業者の代表者として必要な研修を修了したものとみなされます。
(ア) 実践者研修又は実践リーダー研修、認知症高齢者グループホーム管理者研修(17年局長通知及び17年課長通知に基づき実施されたものをいう。)
(イ) 基礎課程又は専門課程(12年局長通知及び12年課長通知に基づき実施されたものをいう。)
(ウ) 認知症介護指導者研修(12年局長通知及び12年課長通知並びに17年局長通知及び17年課長通知に基づき実施されたものをいう。)
(エ) 認知症高齢者グループホーム開設予定者研修(「介護予防・地域の支え合い事業の実施について」(平成13年5月25日老発第213号厚生労働省老健局長通知)に基づき実施されたものをいう。
看護師や保健師も代表者になり得ます。
保健師及び看護師については、代表者としてふさわしいと認められるものであって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第14条第3項の規定により保健師又は看護師の業務の提示を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しない者である必要がある。また、医療機関における看護、訪問看護又は訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要があり、さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましいです。
実務経験が必須になります。訪問看護経験が活きてきますね。
以下厚生労働省のQ&Aです。
複合型サービス事業者の代表者や管理者が保健師又は看護師の場合であっても「認知症対応型サー ビス事業開設者研修」又は「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了している必要があるか。
保健師又は看護師の場合には当該研修を修了している必要はない。
実は医師も代表者になり得ます。
看護小規模多機能型居宅介護事業所の管理者及び代表者について、保健師及び看護師については、 医療機関における看護、訪問看護又は訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要があり、さらに管理者としての資質を確保するための関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましいとされているが、医師の場合はどのように考えればよいか。
看護小規模多機能型居宅介護事業所が診療所である場合であって、当該指定看護小規模多機能型居宅介護の利用者へのサービスの提供に支障がない場合には、当該診療所が有する病床については、宿泊室を兼用することができることとされたことから、当該看護小規模多機能型居宅介護の管理者及び代表者について、保健師及び看 護師ではなく医師が従事することは差し支えない。この場合、厚生労働大臣が定める研修の修了は求めないものとするが、かかりつけ医認知症対応力向上研修等を受講していることが望ましい。
管理者
看護小規模多機能型居宅介護の運営には管理者の設置が必須であり、管理者には細かい用件があります。以下に詳細に述べます。
①事業所ごとに配置すること
②常勤であること
③専ら管理者の職務に従事する者であること
ただし、事業所の管理上支障がないことを前提に次の場合は兼務が可能
(ア)当該事業所の介護従業者の職務に従事する場合
(イ)併設する指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定地域密着型特定施設、指定地域密着型介護老人福祉施設、指定介護療養型医療施設又は介護医療院の職務に従事する場合
(ウ)当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合に、当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の管理者又は従事者としての職務に従事する場合
④特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所等の従業者又は訪問介護員等として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有すること
⑤厚生労働大臣が別に定める研修(認知症対応型サービス事業管理者研修)を修了していること又は保健師若しくは看護師
厚生労働大臣が別に定める研修とは、認知症対応型サービス事業管理者研修になります。
受講要件として認知症対応型サービス事業管理者研修を受講するには「認知症介護実践者研修(旧基礎課程を含む)」を修了していること及び上記④に記載の実務経験が必要です。
保健師又は看護師は研修受講せずとも管理者になり得ます。その他の職種は研修の受講が必須です。また、筆者のように訪問看護ステーションと看護小規模多機能型居宅介護の管理者を兼務することも可能です。
以下厚生労働省のQ&Aです。
【24.3.16 事務連絡 介護保険最新情報vol.267 「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)】 (問176)複合型サービス事業者が訪問看護事業者の指定を併せて受け、かつ、複合型サービスの事業と訪問看護の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合について、複合型サービス事業所の保健師又は看護師の管理者が当該訪問看護事業所において兼務することはできるか。
両方の事業が同一の事業所において一体的に運営されており、事業所の管理上支障がない場合には兼務できる。
【30.5.29 事務連絡 介護保険最新情報 vol.657 「平成30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4】 (問10)看護小規模多機能型居宅介護の管理者については、事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置くこととされており、看護小規模多機能型居宅介護事業所の管理上支障がない場合には、同一敷地内にある他の事業所、施設等若しくは事業所に併設する指定介護療養型医療施設(療養病床を有する診療所に限る)、 介護医療院等の職務に従事することができるとされているが、医師が管理者になることは可能であるか。
看護小規模多機能型居宅介護事業所が診療所であって、当該診療所が有する病床を当該看護小規模多機能型居宅介護事業所の宿泊室として兼用する場合には、当該事業所の管理業務に支障がない場合、当該事業所に併設する指定地域密着型介護老人福祉施設、指定介護療養型医療施設(療養病床を有する診療所に 限る)及び介護医療院に配置された医師が管理者として従事することは差し支えない。
従業員の員数等
看護小規模多機能型居宅介護の必要従業員数や資格については以下となります。
従事者に必要な資格
通い及び訪問サービスにあたる従業者のうち、1以上の者は看護職員(保健師、看護師又は准看護師)でなければいけません。その他の条件としては、従業者のうち1以上の者は、常勤の保健師または看護師でなければならない。また、従業者のうち常勤換算方法で2.5以上の者は看護職員(保健師、看護師又は准看護師)でなければならないといった規定があります。
従業者(看護職員を除く)の資格について
従業者(看護職員を除く)については、介護福祉士や訪問介護員の資格等は必ずしも必要としませんが、介護等に対する知識、経験を有する者であることが原則です。なお、これ以外の従業者にあっても研修の機会を確保することなどにより質の向上を図る必要があります。
時間帯別の必要人数
利用者の生活時間帯(夜間及び深夜の時間帯以外)のいわゆる日中の必要人数は以下になります。
日々の通いサービスの実際の職員配置については、その日ごとの状況に応じて判断する必要がありますが、単に通いサービスの利用者がいないからといって職員を配置しないということではなく、通いサービスを利用しない者に対する訪問サービスも含め、利用者に何らかの形で関わることができるような職員配置が必要です。
夜間の必要人数は以下になります。
宿泊サービスの利用者が1人であっても、訪問サービス対応のため、夜間及び深夜の時間帯を通じて、夜勤1名と宿直1名の計2名が最低必要となります。この場合、必ずしもいずれか1名以上が看護職員である必要はありません。しかし、電話等による連絡体制の確保は必要です。また、宿泊サービスの利用者がいない場合であって、夜間及び深夜の時間帯を通じて利用者に対して訪問サービスを提供するために必要な連絡体制を整備している時は、宿泊及び夜勤を行う従業者を置かないことができます。なお、宿泊サービスの利用者のための夜勤職員に加えて配置される宿直職員は、主として登録者からの連絡を受けての訪問サービスに対応するために配置されるものであることから、連絡を受けた後、事業所から登録者宅へ訪問するのと同程度の対応ができるなど、随時の訪問サービスに支障がない体制が整備されているのであれば、必ずしも事業所内で宿直する必要はなく、自宅等でのオンコール対応も可能です。
筆者の勤務する看護小規模多機能型居宅介護では、訪問看護ステーションのオンコール担当者が宿直者としても担当しています。
例えば、通いサービス利用定員を15人とし、日中の勤務帯を午前6時から午後9時までの15時間、常勤の職員の勤務時間を8時間とした場合、常勤換算方法で通いの利用者3人に対して1名の介護従業者を配置すればよいことから、通いの利用者が15名の場合、日中の常勤の介護従業者は5名となり、日中の15時間の間に、8時間×5人=延べ40時間分のサービスが提供されていることが必要です。それに加え、日中については、常勤換算方法で2名以上に訪問サービスの提供を行わせ、夜間については、夜勤1名+宿直1名に宿泊サービス及び夜間の訪問サービスに当たらせるために必要な介護従事者を事業所全体として確保することが必要となります。
具体的には、通いサービスに要する時間(延べ40時間)+日中の訪問サービスに要する時間(8時間×2 人=延べ16時間)+夜勤及び宿直職員の勤務時間の合計となる延べサービス時間を確保します。
なお、日中の通いサービスと訪問サービスを行うために必要な人数をそれぞれのサービスに固定しなければならないという趣旨ではなく、日中勤務している介護従事者全体で通いサービスと訪問サービスを行うこととなります。
介護支援専門員等
看護小規模多機能型居宅介護には専従のケアマネジャーの設置が必要です。利用者の処遇に支障がなければ管理者との兼務が可能です。また、厚生労働大臣が定める研修(小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修)を受講している必要があります。
①登録者の看護小規模多機能型居宅介護以外の居宅サービスを含めた「居宅サービス計画」の作成
②法定代理受領の要件である看護小規模多機能型居宅介護の利用に関する市町村への届出の代行
③看護小規模多機能型居宅介護の具体的なサービス内容等を記載した 「看護小規模多機能型居宅介護計画」の作成。
訪問看護ステーションとの一体的な運営
一体的に運営している指定訪問看護事業者(訪問看護ステーション)が看護職員の配置基準2.5以上を満たしている場合、看護小規模多機能型居宅介護事業所も当該基準を満たしているものとみなすことができます。
①利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
②職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。
③苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
④事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
⑤人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型のため、実施地域の利用者さんのみのサービス利用となります。訪問看護ステーションと一体的に運用していれば、訪問看護ステーションとしては、看護小規模多機能型居宅介護の実施地域以外の利用者さんもサービスを利用できます。
以下厚生労働省のQ &Aです。
事務連絡 介護保険最新情報vol.267 「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)】 (問170)複合型サービスの事業と訪問看護の事業とが一体的に運営されている場合には、訪問看護事業所の人員配置基準である看護職員常勤換算法2.5以上を満たすことにより、複合型サービス事業所の看護職員の人 員配置基準を満たすものとみなすことができるのか。
複合型サービス事業所の看護職員の人員配置基準を満たしているものとみなすことができる。
まとめ
看護小規模多機能型居宅介護の人員基準について解説しました。
地域密着型事業の為自治体ごとのローカルルールがあることも多いです。開設の際には管轄する自治体に問い合わせて必要事項を確認してください。
①人員基準として代表者、管理者、介護支援専門員、その他必要従業員を置かねばならない。
②日中と夜間で配置人員が異なる。
③指定訪問看護事業所と一体的な運営が可能である。
④ローカルルールも多く、開設の際には自治体への確認が必要
臨機応変に必要なサービスを提供できる看護小規模多機能型居宅介護事業所ですが、その分必要な人員基準も多く、職種も多岐に渡ります。
地域に合わせた事業所運営をしていく一助として、是非ビジケアの記事をご活用ください!!
今回参考にさせていただいた文献:看護層規模多機能型居宅介護運営の手引き(横浜市介護事業指導課)
看護小規模多機能型居宅介護の開設を考えているのですが、いまいち人員基準が複雑でよくわからないんですよね。